楽天カードの返済が厳しくなったとき、任意整理をするとどうなるのか――
任意整理を行えば、原則として利息は0%にカットされ、最長で60回(5年間)の分割払いにできるのが一般的です。
これにより毎月の返済額を大幅に減らせる可能性があります。
ただし、任意整理にはデメリットもあり、楽天カードの解約やブラックリスト登録、さらに楽天銀行に借入がある場合は口座凍結のリスクがあるため注意が必要です。
参考元:キャッシングやローンでお困りの方へ-政府広報オンライン
楽天カードを任意整理する際の和解条件
- 楽天カードの借金を任意整理するとどうなりますか?
-
任意整理後は利息がなくなって、借金の元金だけを分割で返済していくことになります。
そのため、毎月の返済額が少なくなる可能性が高いです。
- 将来利息は原則0%
- 分割回数は60回が最大
- 借入が少額だと回数は短くなることもある
滞納した場合のリスク
楽天カードの返済を3か月を超えて滞納すると、債権が「パルティール債権回収」に譲渡されます。
譲渡後の任意整理はパルティ-ル債権回収との交渉になりますが、利息のカットができなくなり、頭金を要求されたりします。
譲渡前と譲渡後の違い(比較表)
タイミング | 和解条件の目安 |
---|---|
譲渡前 楽天カードと直接交渉 | ・利息カット(0%)が可能 ・最長60回の分割払い |
譲渡後 パルティール債権回収 | ・利息カット不可 ・頭金を要求される |
司法書士からのアドバイス
パルティール債権回収に、債権が譲渡される前に任意整理を行うことが重要です。
滞納してしまったら、速やかに専門家へ相談して任意整理を検討するべきです。
任意整理については以下の記事でも詳しく解説しています。

楽天カードでの借金の減額や過払い金について
基本ルール
- 楽天カードでは借金が減額されたり過払い金が発生することはない
- 任意整理をすれば利息は0%にできますが、元金そのものが減ることはありません
利息制限法の上限金利
借入額 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 年20%まで |
10万円以上~100万円未満 | 年18%まで |
100万円以上 | 年15%まで |
この上限を超える金利で貸付を受けていた場合には「過払い金」が発生します。
楽天カードとは別会社ですが、楽天KCや国内信販でキャッシングをしていた人は借金が減額されたり、過払い金が発生する可能性があります。
楽天カードと楽天KCの違い
- 楽天カード
- 利息制限法を超える金利での貸付は行っていない
- よって、過払い金は発生しない
- 旧楽天KC(KCカード)・旧国内信販
- 過去に高金利で貸付を行っていたケースあり
- 借金が減額されたり過払い金が発生する可能性がある
過払い金の請求先
旧楽天KCや国内信販で過払い金がある場合、会社分割等により請求先は以下のいずれかになります。
- PayPayカード
- 新生フィナンシャル
- アプラスインベストメント

まとめ
- 楽天カード本体では過払い金は発生しない
- 旧楽天KC・旧国内信販での取引なら、過払いが出る可能性あり
楽天カードを任意整理すると返済はどう変わる?
任意整理せずに支払っていく場合と、任意整理をして利息をカットをした場合とで比較します。
任意整理しない場合(例:借入50万円・年18%・毎月17,000円返済)
項目 | 内容 |
---|---|
支払う利息総額 | 18万円以上 |
完済までの期間 | 約4年 |
毎月の返済額 | 17,000円 |
- 返済当初は毎月の返済額のうち約7,500円は利息に消える
- 元金がなかなか減らないため、返済が長引く
任意整理をした場合(借入50万円・利息0%・48回払い)
項目 | 内容 |
---|---|
支払う利息総額 | 0円 |
完済までの期間 | 4年 |
毎月の返済額 | 約10,000円 |
- 利息が完全になくなるので、返済した分がそのまま元金に充当される
- 48回(4年間)で確実に完済できる
60回払いにした場合
項目 | 内容 |
---|---|
支払う利息総額 | 0円 |
完済までの期間 | 5年 |
毎月の返済額 | 約8,400円 |
- 毎月の返済額をより小さくできる
- 完済までは少し長くなる
任意整理前と後の比較
48回払いとの比較
任意整理前 | 任意整理後 48回払い | |
---|---|---|
支払う利息総額 | 18万円以上 | 0円 |
完済までの期間 | 約4年 | 4年 |
毎月の返済額 | 17,000円 | 約10,000円 |
60回払いとの比較
任意整理前 | 任意整理後 60回払い | |
---|---|---|
支払う利息総額 | 18万円以上 | 0円 |
完済までの期間 | 約4年 | 5年 |
毎月の返済額 | 17,000円 | 約8,400円 |
毎月の返済額が半分になった事例

楽天カードの返済が月8,000円台の返済になりました。月々の返済が半分に減ったおかげで、無理なく支払いを続けられる自信が持てました。
ポイント整理
- 毎月の返済額
- 48回(4年)なら毎月約10,000円
- 60回(5年)ならさらに減って約8,400円
- 返済期間
- 60回払いは毎月の負担を軽くできるが、返済完了まで1年長くかかる


楽天カードを任意整理するデメリット
デメリット① 楽天カードは解約になる
- 任意整理をする会社のカードは必ず解約される
- 楽天カードを複数持っている場合
- すべての楽天カードが解約になる
楽天ポイントは継続利用が可能
楽天カードが解約になっても楽天会員であればポイントは利用可能です。
デメリット② ブラックリストに登録される
任意整理をすると、信用情報機関に「事故情報」として記録され、いわゆるブラックリストに載ります。
ブラックリスト中の制約
- 借入やカードローンができなくなる
- 住宅ローンや自動車ローン、スマホの分割購入も難しい
- 任意整理をしていない他社カードも、信用情報の確認で解約される可能性がある


デメリット③ 楽天銀行の口座が凍結される可能性
- 楽天銀行の借入には、楽天カードが保証会社として付いている
- 楽天カードを任意整理する際、楽天銀行の借入があると
- 楽天銀行の借入は楽天カードに移行(代位弁済)される
- 代位弁済をされると
- 楽天銀行口座が約1~3か月凍結される
- 預金と借入とで相殺されることがある
楽天銀行の口座凍結等については以下の記事でも詳しく解説しています。


ブラックリスト期間中の代替手段
- デビットカード:審査不要で口座残高の範囲内で利用可能(ただし分割不可)
- PayPayなどのスマホ決済:ネットショッピングや日常の支払いに利用できる
- 現金払い中心の生活:一時的にキャッシュ生活に切り替える




司法書士からのアドバイス
楽天カードを任意整理すれば返済は楽になりますが、
- カードの解約
- ブラックリストによる信用情報への影響
- 楽天銀行口座凍結のリスク
といったデメリットがあるため、事前に理解し準備をしておくことが大切です。
ブラックリストでカードが使用できなくなった事例



事前に司法書士の人から、任意整理をしたら楽天カード以外も使えなくなる可能性があると聞いていたので、先にデビットカードを作成していました。


楽天カードの任意整理の流れ
弁護士・司法書士と相談し、借金総額や収入・支出を確認
任意整理で返済可能かどうかを精査
この時点で督促は止まる
利息カットや分割回数を交渉
約3か月で和解成立


依頼者が行うこと
返済を止めても督促はこない
積立金:費用の分割払いと、任意整理後の返済シミュレーションを兼ねる
和解内容に沿って返済を再開
依頼から返済の再開までは3~6か月ほどです


司法書士からのアドバイス
楽天カードの任意整理は、1.面談 → 2. 受任通知 → 3. 和解交渉 → 4. 返済再開という流れで進みます。
依頼者は「返済を一時停止し積立金を用意すること」が重要で、積立金ができなければ任意整理を進めることはできません。


よくある質問
楽天カードを任意整理すると楽天市場での買い物はできなくなりますか?
クレジット決済は使えなくなりますが、銀行振込・代引き・デビットカード・PayPayなどで利用は可能です。
楽天カードを任意整理するとETCカードはどうなりますか?
楽天カードに付帯しているETCカードは、任意整理と同時に利用停止になります。
楽天カードを任意整理しても、他社のカードは使えますか?
信用情報に事故情報が登録されるため、他社のカードも停止になる可能性があります。
楽天カードを任意整理したことは勤務先や家族に知られますか?
直接連絡がいくことはなく、基本的には知られません。


ただし、クレジットカードの利用停止やローンが組めないことで気づかれる場合があります。
まとめ
楽天カードの任意整理を行うと、利息0%・最長60回の分割払いで返済負担を大きく減らすことができます。
ただし、カード解約やブラックリスト入り、楽天銀行口座凍結といったデメリットも伴います。
返済が難しいと感じたら、早めに司法書士や弁護士に相談し、任意整理によって生活再建を図るのが得策です。
司法書士からのアドバイス
- 「滞納してから」ではなく「支払いが厳しいと感じた時点」での相談が重要です。
- 債権が回収会社に移ると任意整理が困難になります。
- 任意整理をしても、生活費の見直しや家計管理を怠ると再び返済が難しくなるケースがあります。
- 返済計画を立て直すことが生活再建の第一歩です。
- ブラックリストの影響は一時的なものです。
- 完済から一定期間が過ぎれば信用情報は回復します。
- 「5年後に再スタートできる準備期間」と前向きに捉えることも大切です。