「過払い金請求をしたいが、どこから借りていたのか覚えていない」という相談は珍しくありません。
契約書や明細を失くしていても、借入先さえ特定できれば、過払い金請求はできます。
この記事のポイント
- 会社名の特定
- 手元の書類、通帳、信用情報の順に探す
- 信用情報
- 返済中か完済から5年以内なら借入先が載っている
- 対象の目安
- 2007年以前からの取引で、利率が上限を超えていること
- 明細・カード
- なくても取引履歴を取り寄せれば請求できる
- 時効の期限
- 最後の取引から10年で請求できなくなる
借入先を調べる方法
過払い金請求は、借入先の会社名がわからないと始められません。
会社名は、弁護士や司法書士が代わりに調べることはできません。ご本人で次の順で確認してみてください。
・カード 印字された社名や
発行元を見る
名義を見る
の開示 返済中・完済5年
以内なら載っている
手元の資料から探す
| 資料 | 会社名がわかる箇所 |
|---|---|
| 明細書・請求書・督促状 | 印字された社名、 封筒の差出人住所や電話番号 |
| ローンカード ・クレジットカード |
カード裏面や台紙に 記載された発行元の会社名 |
| カードを作った店舗 | デパート・スーパー・家電量販店・ ガソリンスタンドの提携カードは、 店名から発行元をたどれる |
| 通帳・ネットバンキング | 引き落とし先や振込先の名義 (略称で表示されることもある) |
カードや明細の社名が今はない会社でも、合併や事業譲渡で引き継いだ会社に請求できます。
ただし、武富士のように倒産で手続きが終わっている業者には請求できません。
50代 女性デパートで作ったカードで、デパート名から提携先がクレディセゾンだと判明。そこから過去のキャッシング履歴を調べてもらい、過払い金を請求することができました。
信用情報機関で調べる
返済中か、完済から5年以内の借入であれば、信用情報の開示で借入先を確認できます。
手数料は500円〜1,500円前後で、ウェブや郵送で申し込めます。
| 機関 | 主な加盟先 | 一致が必要な情報 |
|---|---|---|
| CIC | クレジットカード会社 ・信販会社 |
カナ氏名と生年月日に加えて、 電話番号または 運転免許証番号 |
| JICC | 消費者金融などの 貸金業者 |
氏名と生年月日に加えて、 郵便番号・電話番号・ 本人確認書類番号のいずれか |
CICの申込書には電話番号を3件まで書けます。当時の固定電話や解約した携帯番号を、思い出せる範囲ですべて入力してください。
運転免許証番号は引っ越しや改姓では変わりません。当時から免許を持っていれば、電話番号を思い出せなくても照合できます。
信用情報は下記から取得できます。
なお、銀行の情報はKSC(全国銀行個人信用情報センター)が保有しています。
しかし、銀行の貸付は上限金利内のため、過払い金の調査で開示することはほとんどありません。
当時の電話番号が不明の場合
当時の電話番号がわからず、運転免許証番号でも照合できない場合は、先にJICCを開示してください。
JICCは郵便番号でも照合できるため、当時の住所さえわかれば開示される可能性があります。
JICCの開示結果には、その当時登録されていた電話番号が記載されています。
その番号でCICを開示すれば、CICにしか載っていない取引も確認できる可能性があります。
照合できる
CICを開示 登録されていた番号が
開示結果に載っている
完済から5年で信用情報から消える
信用情報に残る期間と、過払い金を請求できる期間は別のものです。
信用情報は完済からおおむね5年で削除されます。
開示しても該当なしと表示されるため、信用情報ではどこからの借入だったか確認できません。
一方、過払い金の時効は最後の取引から10年です。
信用情報から消えていても、完済から10年経っていなければ請求できます。
この期間は信用情報という手がかりが使えないため、手元の資料や通帳で探すことになります。
心当たりのある業者が絞れていれば、取引履歴の開示を求めて取引の有無を確かめる方法もあります。
過払い金が発生しているかの目安
借入先がわかったら、その取引で過払い金が発生しているかを確認します。
目安になるのは、契約書の利率と取引を始めた時期です。
契約書や明細の利率を見る
過払い金は、利息制限法の上限を超える金利で取引していた場合に発生します。
| 利息制限法の金利の上限 | |
|---|---|
| 10万円未満の借入 | 20%まで |
| 10万円以上~100万円未満の借入 | 18%まで |
| 100万円以上の借入 | 15%まで |



契約書の利息欄を見たら『年27%』と記載されており、すぐに過払い金があると判断できました。専門家に依頼してスムーズに請求まで進められました。
取引を始めた時期で判断する
利率がわからなくても、取引を始めた時期でおおよそ判断できます。
多くの業者が2007年前後に金利を引き下げたためです。
2007年以前
からの取引
過払い金が発生している
可能性が高い(ジャックスなど一部の業者を除く)
2008年以降の
新規契約
原則として発生しない
(アプラス・ニッセンなど
一部の業者を除く)
2008年以降の契約でも、業者によっては過払い金が発生することがあります。
過払い金が発生する条件については、以下の記事でも詳しく解説しています。


明細がなくても取引履歴で請求できる
明細やカードが残っていなくても、会社名がわかれば過払い金請求はできます。
貸金業者から取引履歴を取り寄せれば、取引の期間も利率もわかるためです。
取引履歴はご本人でも請求できます。司法書士や弁護士に依頼すれば、取り寄せから返還交渉まで任せられます。



明細もカードもなく諦めかけましたが、司法書士に相談したら取引履歴だけで請求できると聞き依頼しました。想定以上の金額が戻ってきました。
取引履歴の取り寄せ方
取引履歴の開示は法律で認められた手続きです。業者に理由を伝える必要はありません。
業者には次の情報を伝えます。
必ず伝える情報
- 氏名
- 生年月日
- 現住所
- 旧姓
登録が旧姓のとき - 旧住所
登録が旧住所のとき
住所が合わないとき
- 電話番号
- 運転免許証の番号
- 返済に使っていた口座
- 当時の勤務先
登録していた住所がわからないときは、心当たりのある旧住所をすべて伝えてください。
どれか一つが一致すれば照会できます。
時効の壁に注意
過払い金は、最後の取引(多くは完済日)から10年で時効になり、請求できなくなります。
完済日がはっきりしないときも、取引履歴で最後の取引日を確認できます。
時効が迫っているときは、内容証明郵便で請求して時効の完成を6か月猶予させ、その間に訴訟を起こします。
借入先の調査に時間がかかることもあります。完済から10年が近い方は、早めに信用情報の開示や無料相談から始めてください。
時効については、以下の記事でも詳しく解説しています。


