「借金の整理をしたいけれど、マイホームだけは絶対に手放したくない」 「債務整理をすると、家を追い出されてしまうのではないか?」
債務整理には家を残すための制度が用意されており、どの手続きを選ぶか、担保が付いているか、返済を続けられるかで結果が変わります。
このページでは、自宅を残せるかどうかの判断基準と、家を守りながら借金を減らす方法を整理します。
参考元:債務整理-東京司法書士会
この記事のポイント
- 分かれ目
- 住宅ローン以外の借金だけを整理して家計が回るかどうかで、選べる手続きが決まります。
- 期限
- 保証会社の代位弁済から6か月を過ぎると、自宅を残す選択肢は使えません。
- 注意点
- 住宅ローンと同じ銀行のカードローンを整理すると、住宅ローンまで一括請求の対象になることがあります。
- 評価額
- 個人再生では、不動産の価値が高いほど返済額も上がります。
- 相談先
- 不動産会社より先に、売らずに済む方法があるかを確認します。
債務整理ごとの不動産(自宅・資産)の扱い
| 手続き | 自宅の扱い | 条件 |
|---|---|---|
| 任意整理 | 残せる | 住宅ローンを整理の対象から外す |
| 個人再生 | 条件付きで残せる | 住宅資金特別条項が使えること |
| 自己破産 | 原則処分される | 完済していても処分の対象 |
自宅を残したい場合の第一候補は
任意整理と個人再生です
住宅ローン以外の借金だけを整理できるか、住宅ローンを払い続けられるかが、そのまま分かれ目になります。
リボ払いのみを任意整理した事例
40代 女性住宅ローンはなんとか返済していましたが、リボ払いが300万円に膨れ上がり生活困難に。リボ払いだけ任意整理してもらい家計に余裕が生まれました。
自宅を残すべき?迷ったときの検討方法
1住宅ローンを延滞していないか確認する
滞納が2か月以上続くと、銀行から一括返済を求められる可能性があります。
選択肢が急に狭くなるため、「苦しい」と感じた時点で早めに動くべきです。
2任意整理で家計が回るか試算する
住宅ローンは今までどおり払い、カードローンなどの負担を下げます。
それで毎月の収支が黒字になるかを計算します。
3難しければ個人再生を検討する
住宅資金特別条項を使えば、住宅ローンは払い続けたまま他の借金を大幅に減らせます。
裁判所を使う手続きになるため、収入の安定性が必要です。
4維持が難しければ任意売却か自己破産
住宅ローンの維持が無理なら、競売になる前に有利な条件で売る任意売却があります。
借金をゼロにして生活を立て直す自己破産も選択肢です。
任意整理と不動産
任意整理は、対象にする債権者を自分で選べる手続きです。
住宅ローンや不動産担保ローンは金利が低く、利息のカットを求めてもほとんど効果がないため、対象に含めることは通常ありません。
住宅ローンを整理の対象から外せば、自宅を守りながら消費者金融やクレジットカードの返済だけを軽くできます。
そのため、住宅ローンや不動産担保ローンを任意整理の対象とすることは通常ありません。
住宅ローンと同じ銀行のカードローンを任意整理すると、住宅ローンまで一括請求の対象になることがあります。
借入先の銀行が住宅ローンと同じ場合は、任意整理の対象から外すかどうかを慎重に判断します。


任意整理の具体例
消費者金融4社に300万円・
住宅ローン残高2,500万円のケース
任意整理で元金そのものが減るわけではないため、月々の返済額は分割回数で決まります。
分割回数は36回から60回が中心で、60回まで延ばせれば負担は大きく下がりますが、36回では整理前とほとんど変わらないこともあります。
住宅ローンを払い続けられるかどうかは、この差で決まります。
相談では、何回払になあるかを債権者ごとに確認したうえで、任意整理か個人再生に進むべきかを判断します。
消費者金融のみを整理したケース



任意整理で消費者金融の利息をカットし、月の返済額を圧縮。住宅ローンはこれまでどおり支払いを続け、自宅を維持できています。
任意整理については以下の記事でも詳しく解説しています。


個人再生|住宅資金特別条項を使えば自宅を残せる
個人再生は、借金を大きく圧縮し、残った額を分割で返済していく手続きです。
住宅資金特別条項を使えれば、住宅ローンは従前どおり払いながら、その他の借金だけを圧縮できます。
一方、不動産担保ローンは個人再生の対象に含まれます。
返済中に個人再生をすると、担保権が実行されて不動産は処分されます。
住宅ローン残高2,000万円・
その他の借金1,200万円のケース
参考:個人再生-東京弁護士会
住宅資金特別条項の利用条件
- 本人が所有し、実際に住んでいる住宅であること
- 住宅の取得や改良のための借入で、その住宅に抵当権が設定されていること
- その住宅に他の借入の担保が付いていないこと
- 保証会社が代位弁済している場合は、代位弁済の日から6か月以内であること
自宅を担保にした事業資金・生活資金の借入(不動産担保ローン)には使えません。
住宅資金特別条項や個人再生で減額される金額等の詳細は下記の記事を参考にしてください。


財産があると返済額が増える|清算価値保障の原則
ローンを完済している不動産や、そもそも担保に入っていない不動産は、個人再生で売却されることはありません。
ただし、その価値は返済額に反映されます。
個人再生には清算価値保障の原則があり、保有する財産の価値を下回る返済額にはできないためです。
借金1,000万円・評価額600万円の土地を持っている場合
住宅ローンが残っていても、不動産の価値がローン残高を上回るアンダーローンなら、その差額が同じように返済額を押し上げます。
持ち家を維持したい場合は、この点まで含めてどの手続きを選ぶかを判断します。
自己破産と不動産|原則すべて処分される仕組み
- 不動産を持っている人が自己破産をするとどうなりますか?
-
自己破産では不動産は処分されることになります。
自己破産ではローンを返済中か完済しているかに関わらず、どちらにしても不動産は処分されます。
参考:自己破産-東京弁護士会
ローン返済中
担保権が実行され処分される
ローン完済済み
価値のある財産として換価される
親や配偶者の名義
本人の財産ではないため対象外
自己破産については以下の記事でも詳しく解説しています。


相談前に確認したいチェックリスト
不動産を残したい場合、以下を整理しておくと相談の参考になります。
相談前に確認したい4つ
- 登記簿謄本
- 担保が付いているか、共有名義か、持分割合はいくらかがわかります。
- 残高証明書
- 正確な残債がわかります。市場価格と比べて、オーバーローン(残高>価格)かアンダーローン(残高<価格)かの判断材料になります。
- 代位弁済
- 保証会社が代位弁済した日付です。6か月を過ぎると住宅資金特別条項は使えず、任意整理や自己破産への切り替えを検討します。
- 家計の収支
- 毎月いくら返済に回せるかです。任意整理・個人再生を選べるか、自己破産の方が現実的かの分かれ目になります。
※これらが手元になくても相談は可能です。まずは記憶の範囲でお話しいただくだけでも、大まかな診断はできます。
不動産屋に相談する前に司法書士に相談すべき理由
住宅ローンの支払いが苦しくなると、まず不動産会社に相談する方が少なくありません。ただ、相談先によって出てくる答えは変わります。
不動産会社に相談すると
- 仕事は仲介なので、売却を前提とした提案になります
- 住み続けたい人にはリースバックがすすめられます
- リースバックの家賃は相場より高くなることが多く、結局払えずに退去する例もあります
司法書士に相談すると
- まず売らずに済む方法があるかを検討します
- 任意整理・個人再生で家計が回るかを試算します
- 売却は最後の手段として位置づけます
「家を売る」という決断は、借金の整理方法を検討してからでも遅くありません。
まずは、あなたの家が守れる可能性があるのか確認をするべきです。
よくある質問
- 親名義の家に同居しています。債務整理をすると処分されますか?
-
どの債務整理であっても、本人名義でなければ処分対象にはなりません。
- 共有持分だけ所有している場合、債務整理をするとどうなりますか?
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その持分が処分対象となり得ます。
- マイホームを売却しても借金が残る場合はどうなりますか?
-
住宅ローン残高が売却額を上回る「オーバーローン」の場合、残債務は引き続き返済する必要があります。
任意整理や個人再生を併用するケースもあります。
- 債務整理を検討しているが、今後不動産を購入できる可能性はありますか?
-
債務整理後にブラックリスト登録期間が過ぎれば住宅ローンの申込は可能です。
ただし収入や勤続年数など審査条件を整える必要があります。
まとめ|家を残すか手放すかの判断
債務整理は「借金を減らすこと」だけが目的ではありません。
自宅を残すのか/手放すのかを含めて、生活再建の全体像を考えることが大切です。
住宅を守りたい場合は、任意整理か個人再生が第一候補になります。
一方で「住宅ローンも含めて支払いが難しい」と感じるなら、無理をせず自己破産を選んだ方が、再出発がスムーズになるケースもあります。
いずれの選択肢でも、登記簿謄本・ローン残高・固定資産税評価額などの資料を準備して専門家に相談することで、最適な判断ができます。
