auPAYカードの返済が毎月の家計を圧迫している——そんなとき、任意整理を使えば将来利息を止め、毎月の返済額を下げることができます。
ただしauPAYカードは、カードのタイプによって任意整理の交渉相手が変わるうえ、他のカードにはない注意点があります。
auPAYカードの任意整理で確認すべき関連債務、口座凍結リスク、au携帯料金・auかんたん決済への影響を司法書士が実務目線で解説します。
auPAYカードは任意整理できる
任意整理は、債権者と直接交渉して将来利息をカットし、残った元金を3〜5年程度の分割に組み直す手続きです。
裁判所を通さないため、手続きの負担が比較的軽いのも特徴です。
手続きの基本は、任意整理とはのページで解説しています。

auPAYカードの交渉相手はカードによって変わる
auPAYカードは申込時期によって、任意整理の交渉相手が変わります。
お持ちのカードがどちらのタイプかは、次の表で確認できます(引き落とし日が一番わかりやすい目安です)。
| 見分け方 | 交渉相手はニコス | 交渉相手はセゾン債権回収 |
|---|---|---|
| 毎月の引き落とし日 | 10日 | 4日 |
| 管理番号(裏面の1桁目) | 「9」から始まる | 「5」から始まる |
※発行時期によって2つのタイプに分かれており、2025年以降に申し込んだ方は「5」のタイプに該当することがほとんどです。
確実な見分け方は引き落とし日と管理番号を確認することです。
なお、どちらのカードも、もともとの発行元(債権者)はauフィナンシャルサービスです。
違いは保証会社の有無で、その後の交渉相手が変わります。
将来利息のカットと60回程度までの分割という和解条件は、どちらの場合も大きく変わりません。
ただし管理番号「5」のセゾン債権回収については、延滞で債権が移った後だと条件が厳しくなります。
参考:支払日に落しができなかった場合、どうすればいいですか?
毎月10日引き落とし(管理番号9)の場合:交渉相手はニコス
このタイプには保証会社として三菱UFJニコスがついています。
任意整理をすると、ニコスがauフィナンシャルサービスへ代位弁済し、債権がニコスに移るため、交渉相手は三菱UFJニコスになります。

毎月4日引き落とし(管理番号5)の場合:交渉相手はセゾン債権回収
このタイプには保証会社がついていないため、代位弁済が起きず、債権者はauフィナンシャルサービスのままです。
ただし、実際の取引履歴の開示や和解交渉は、回収を受託しているセゾン債権回収が窓口になります。
受任の時点でまだ債権がauフィナンシャルサービスにある段階であれば、将来利息のカットと60回ほどの分割に応じてもらえることが多いです。
当事務所でも、管理番号「5」のauPAYカードについて、セゾン債権回収を窓口に和解したケースがでてきています。
将来利息をカットし、60回程度の分割でまとまった事例もあります。
すでに延滞でセゾン債権回収へ債権が移っている場合は条件が厳しくなる
管理番号「5」のカードは
着手のタイミングで条件が変わります
債権がauフィナンシャルサービスにある段階
- 将来利息
- カットに応じやすい
- 分割回数
- 60回程度
- 頭金
- 原則なし
延滞で債権がセゾン債権回収へ移った後
- 将来利息
- 条件が厳しくなる
- 分割回数
- 長期分割に応じにくい
- 頭金
- 求められることがある
債権が移る前の早い段階で
着手することが重要です
auPAYカードの任意整理後の返済条件
任意整理が成立すると、これから先の将来利息はカットされ、和解時点の残元金だけを分割で返済する形になります。
交渉相手がニコスでもセゾン債権回収でも、債権が移る前の段階であれば、残高によっては60回程度の分割払いで和解できるケースがあります。
たとえば残元金が60万円であれば、利息なしで月1万円・60回といった返済イメージです。
具体的な返済額は残高によって変わるため、返済シミュレーターで試算できます。

auPAYあと払いはauPAYカードとは別サービス
au PAY あと払いは、au PAY カードとは別の後払いサービスで、カードとあと払いを同時に持つことはできません。
任意整理する場合は、債権者はauフィナンシャルサービス、窓口はセゾン債権回収になります。
auPAYカードだけを任意整理できないケース
「auPAYカードだけを整理して、他の借入はそのまま残したい」と考える方もいますが、auPAYカードの場合、それができないケースがあります。
次の借入がある場合、
auPAYカードだけを切り離せません
auPAYスマートローン
- 債権者が同じauフィナンシャルサービス
- カードだけを整理して、スマートローンを払い続けることはできない
ニコス発行・ニコス保証の借入
(管理番号「9」の場合)
- DCカード・MUFGカードなどニコス発行のクレジットカード
- ニコスが保証会社の銀行カードローン
(口座凍結に注意) - ニコスが扱う自動車ローン
(車の引き上げに注意)
auPAYスマートローンを利用している場合
「auPAYカード」はクレジットカード、「auPAYスマートローン」はカードレスローンで別の商品です。
どちらもauフィナンシャルサービスが提供しています。
受任通知を送る時点では債権者が同じであるため、片方だけを整理して、もう一方を正常に払い続けることはできません。
auPAYスマートローンの任意整理について詳しくは、別記事で解説しています。

ニコス発行・ニコス保証の借入がある場合
管理番号「9」のauPAYカードは、任意整理をすると三菱UFJニコスが代位弁済を行い、債権がニコスに集約されます。
そのため、ニコスが関係する他の借入があると、auPAYカードだけを切り離すことはできません。
- 三菱UFJニコス発行のクレジットカード(DCカード・MUFGカードなど)
- これらも解約・整理の対象になります。
- 三菱UFJニコスが保証会社になっている銀行カードローン
- 同じ銀行の預金口座が一時的に凍結され、残高が返済に充てられることがあります。
- 給与振込口座は特に注意。
- 三菱UFJニコスが扱う自動車ローン
- 所有権留保が付いていれば、車が引き上げられる可能性があります。
- 銀行・JAのマイカーローンでニコスが保証会社の場合
- 所有権留保がなく車は本人名義のため車自体は残せますが、同じく口座凍結に注意が必要です。
銀行の保証会社が同じでもカードだけを整理できる他社のケースとは、ここが異なります。
口座凍結への対策として、受任前に預金を別の銀行へ移す、給与振込先を変えるといった準備が重要です。
口座凍結の仕組みやニコスを整理したときの借入全体の扱い、車を残せるかどうかの判断基準は下記のページで解説しています。
auPAYカードの任意整理だけでauじぶん銀行口座は凍結されない
auPAYカードの任意整理だけであれば、auじぶん銀行の口座が凍結されることはありません。
auじぶん銀行はauPAYカードとは別の銀行で、そのカードローン(じぶんローン)の保証会社はアコムです。
三菱UFJニコスの保証ではないため、auPAYカードの任意整理では影響を受けず、口座凍結の対象にもなりません。
この点は、ニコス保証の銀行借入とは分けて考える必要があります。
ただし、auじぶん銀行カードローン自体を任意整理する場合は別です。
銀行カードローンを任意整理する場合、その銀行の預金口座に影響する可能性があります。
つまり、整理すると次のようになります。
口座凍結が起きるかどうか
- auPAYカードだけを任意整理
- auじぶん銀行は
凍結されない - auじぶん銀行カードローンも整理
- auじぶん銀行が凍結される
- ニコス保証の別の銀行を整理
- その銀行口座の
凍結に注意
「au」と名前が付いていても
会社や保証会社が同じとは限りません
「au」と名前が付いているサービスでも、会社や保証会社が同じとは限りません。
auPAYカード、auPAYスマートローン、auじぶん銀行カードローンは、名前が似ていても任意整理での扱いが異なります。
auじぶん銀行の任意整理について詳しくは、別記事で解説しています。

au携帯料金・auかんたん決済は支払方法の変更が必要
任意整理をすると、auPAYカードは解約されます。
au携帯料金やauかんたん決済などの継続的な支払いをauPAYカード払いにしている場合は、別の支払い方法に変更する必要があります。
変更しないままだと、毎月の利用分がカードに乗り続けて整理する金額が確定せず、和解交渉に入れません。
金額が固まらなければ、利息のカットや分割回数の交渉を進められないためです。
au携帯料金をauPAYカード払いにしている場合
auPAYカードを任意整理しても、auの携帯回線自体が当然に解約されるわけではありません。
支払い方法を変更しないままだと、カード解約後に携帯料金が未払いになり、最終的には携帯電話が利用停止になるおそれがあります。
なお、支払い方法を変更しても、各社の処理の都合で数か月間はauPAYカード側に請求が続くことがあります。

参考:au PAY カードまたはau PAY あと払い解約後も携帯電話料金などの請求が続いていますがなぜですか?
auかんたん決済はクレジットカード払いだと止まる可能性あり
auかんたん決済そのものが使えなくなるわけではありませんが、設定している支払い方法によって影響が変わります。
auPAYカード払いやauPAYあと払いにしている場合は、auPAYカードの任意整理で解約されるため使えなくなります。
auPAYカード以外のクレジットカード払いにしていても、任意整理の事故情報の影響で、そのカードが利用停止になる可能性があります。
「通信料金合算(携帯料金とまとめて支払い)」や「au PAY残高払い」は、任意整理後も影響を受けません。
auかんたん決済を使い続けたい場合は、こうした支払い方法に切り替えておくと安心です。
参考:【au PAY(auかんたん決済)】支払方法は何がありますか?
auPAYカードを任意整理する前の確認STEP
auPAYカードの任意整理では、カードの残高だけを見て判断しないことが重要です。
次の順番で確認すると、手続き後のトラブルを防ぎやすくなります。
1カードのタイプと交渉相手を確認
引き落とし日(10日か4日)または管理番号(9か5)を確認し、交渉相手がニコスかセゾン債権回収かを把握します。
2auPAYスマートローンの有無を確認
利用していれば、カードと一緒に整理することになります。
3ニコス関係の借入を確認
(管理番号「9」の場合)
ニコス発行のクレジットカード(DCカード・MUFGカードなど)、ニコスが保証する銀行カードローンとその預金口座、ニコスの自動車ローンがないかを確認します。
4au携帯・auかんたん決済の支払い方法を確認
支払い方法がauPAYカードになっていないかを確認し、なっていれば別の方法へ変更します。
よくある質問
- auPAYカードを任意整理するとau携帯は止まりますか?
-
auPAYカードを任意整理しただけで、au携帯回線が直ちに止まるわけではありません。ただし、au携帯料金をauPAYカード払いにしている場合は、支払方法の変更が必要です。
- auPAYカードとauPAYスマートローンは片方だけ任意整理できますか?
-
両方を利用している場合、片方だけを任意整理することは通常難しいです。auPAYカードとauPAYスマートローンはいずれもauフィナンシャルサービスが提供する債務だからです。
- auPAYカードを任意整理するとauじぶん銀行口座は凍結されますか?
-
auPAYカードを任意整理しても、auじぶん銀行口座は凍結されません。auPAYカードとauじぶん銀行は別会社だからです。
- auPAYカードを任意整理すると過払い金は出ますか?
-
auPAYカードで過払い金が発生する可能性は基本的にありません。auPAYカードは、グレーゾーン金利が問題になっていた時代より後に始まったカードだからです。
ただし、三菱UFJニコスの古い別カードを長期間利用していた場合は、auPAYカードとは別に過払い金の有無を確認することがあります。
まとめ
auPAYカードは任意整理が可能で、将来利息をカットして月々の返済を下げられる可能性があります。
交渉相手は、毎月10日引き落とし(管理番号「9」)ならニコス、毎月4日引き落とし(管理番号「5」)ならセゾン債権回収になります。
ニコスは利息のカットと60回程度までの分割に応じてもらいやすく、セゾン債権回収も債権がauフィナンシャルサービスにある段階なら同様です。
auPAYスマートローンやニコス系の借入がある場合は一緒に整理する必要があり、ニコス保証の銀行借入があると口座凍結のリスクもあります。
au携帯料金の支払い方法の切り替えも忘れてはいけません。
ご自身のケースでどこまでが整理の対象になるか、口座凍結のリスクがあるかは、状況によって変わります。
判断に迷う場合は、チャットまたはLINEからお気軽にご相談ください。
