イオンカードやイオン銀行の返済が苦しい場合、任意整理をすれば利息は原則0%にカットされ、60回ほどの分割返済が可能になります。
これにより毎月の返済の負担は大幅に軽減できます。
同時にイオンカードの解約・ポイント失効・ブラックリスト登録・口座凍結リスクといったデメリットもあるため注意が必要です。
本記事では、イオンカード・イオン銀行を任意整理したときの
- 返済条件(分割回数・利息カット)
- 過払い金が発生するケース
- 口座凍結やポイント失効の注意点
を、司法書士の実務経験をもとに詳しく解説します。
参考元:キャッシングやローンでお困りの方へ-政府広報オンライン
イオンカード・イオン銀行を任意整理するとどうなる?
- イオンの借金を任意整理するとどうなりますか?
-
利息は免除してもらえるので、任意整理後は元金だけを分割で返済していくことになります。
分割払いの回数も60回ほどと長期の分割払いにできるので、毎月の返済額も少なくなる可能性が高いです。
イオンカードの借金を任意整理すると、返済条件が次のように変わります。
任意整理後の返済条件
- 利息:0%にカット
- 返済方法:元金だけを分割で支払う
- 分割回数:標準60回(5年)
- 交渉相手:イオンフィナンシャルサービス株式会社
2013年4月1日にイオンカードは、イオンクレジットサービス株式会社からイオン銀行へ引き継がれました。
そのため、現在のイオンカードはイオン銀行が発行しています。
イオン銀行を任意整理すると、保証会社であるイオンフィナンシャルサービス株式会社と任意整理の交渉を行うことになります。
任意整理については以下の記事で詳しく解説しています。

過払い金が発生するケース|2007年3月以前のキャッシング
- イオンの借金が減額されたり過払い金が発生することはありますか?
-
2007年の3月よりも前からイオンクレジットサービスと取引をしていたのであれば、過払い金が発生している可能性があります。
イオンクレジットサービス時代の取引と過払い金の可能性
- 2007年3月以前にキャッシングをしていると可能性あり
- ショッピング利用は対象外
イオンクレジットサービスは2007年3月までは、法律の制限よりも高い利息で貸し付けをしていました。
そのため、2007年3月よりも前から借りている人には過払い金は発生しやすく、以降に借入を開始した人には過払い金は発生しません。
イオンクレジットサービスは2023年6月1日にイオンフィナンシャルサービスに合併しました。
イオンクレジットサービス時代に発生した過払い金は、イオンフィナンシャルサービスから返還を受けることができます。
借金がなくなり過払い金が返還された事例

20年以上前からイオンクレジットでキャッシングを繰り返していました。司法書士に調べてもらったところ、借金がなくなって、さらに40万円近い過払い金が戻ってきました。
イオンカードの過払い金については以下の記事でも詳しく解説しています。




イオンを任意整理するメリット
任意整理をすると、利息がなくなり、元金だけを分割返済できるようになります。
これがどれほど大きな差になるのかを、具体例で比較します。
任意整理をしない場合(通常返済)
- 借入額:70万円
- 金利:年18%
- 毎月返済額:20,000円
項目 | 内容 |
---|---|
完済までの利息総額 | 30万円以上 |
完済までの期間 | 4年3か月 |
毎月の返済額 | 20,000円 |
任意整理をした場合
- 借入額:70万円
- 金利:0%(利息カット)
- 分割回数:60回(5年)
- 毎月返済額:12,000円
- 70万円 ÷ 60回 = 11,666円
項目 | 内容 |
---|---|
完済までの利息総額 | 0円 |
完済までの期間 | 5年 |
毎月の返済額 | 約12,000円 |
比較まとめ
項目 | 任意整理前 | 任意整理後 |
---|---|---|
利息総額 | 30万円以上 | 0円 |
返済期間 | 4年3か月 | 5年 |
毎月返済額 | 20,000円 | 約12,000円 |
ポイント
- 任意整理をすると利息負担がゼロになる
- 毎月の返済額が8,000円少なくなり、生活のゆとりが生まれる
借入額ごとの毎月の返済額シミュレーション
任意整理で60回の分割払いになると毎月の返済額は以下の通りになります
借入額 | 毎月の返済額 |
---|---|
30万円 | 約5,000円 |
50万円 | 約8,300円 |
70万円 | 約12,000円 |
100万円 | 約16,700円 |
任意整理で返済が楽になった事例



子育てで出費が増えたのに、イオンの返済が月2万円あり家計が苦しかったです。任意整理後は返済額が8,300円まで減り本当に楽になりました。


イオンを任意整理するデメリットと注意点
任意整理は返済負担を軽くする手続きですが、イオンで行う場合には次のような注意点・デメリットがあります。
イオンカードが解約になりポイントが失効する
- 任意整理をした会社のカードはすべて解約になる
- イオンカードを複数枚持っている場合、全イオンカードが利用停止になる
- WAONポイントは失効する
カードが解約になるとWAONポイントは失効します。
ブラックリスト登録でローンやクレジットカードに影響
- 信用情報機関に事故情報(いわゆるブラックリスト)として登録される
- 登録期間は完済から約5年間
- この間は次のような制限があり:
- 新たに借金をするのが難しい
- 住宅ローンや自動車ローンが難しい
- 携帯電話やスマホの分割払いも審査落ちの可能性あり
- クレジットカードの新規発行が難しい
- 既存カードも利用停止になる可能性あり
ブラックリストの影響は「借りられる状態だと再び借りてしまう」という人には、逆にメリットになる場合もあります。
現金主義で生活する分には大きな支障はありませんし、ネットショッピング等は、デビットカードやスマホ決済などが可能です。
デビットカードやスマホ決済については以下の記事でも詳しく解説しています。




イオン銀行の口座凍結リスクと対策方法
- イオン銀行の口座が一時的に凍結される
- 凍結後:預金と借金が相殺される可能性がある
- 凍結期間はおおむね1~3か月ほど
口座が凍結されると、引き出しや振り込み等の出金はできなくなります。
銀行の任意整理の注意点については、以下の記事でも詳しく解説しています。


司法書士からのアドバイス
イオンを任意整理すると、
- カード解約とポイント失効
- ブラックリスト登録による制限
- 銀行口座の一時凍結・相殺リスク
といったデメリットが発生します。
これらを理解したうえで、生活に支障が出ないよう事前に準備をしておくことが大切です。
ブラックリストの影響については以下の記事でも詳しく解説しています。




家族や会社に知られずに任意整理できる?
- イオンの任意整理は家族や会社に秘密のままでできますか?
-
任意整理をしてもイオンから連絡が来ることもなく、家族や会社にバレる可能性が非常に少ない手続きです。
任意整理がバレにくい理由(自己破産・個人再生との違い)
- 裁判所を通さない手続きなので、自己破産や個人再生のように家族や会社の協力は不要
- 専門家が受任通知を送った後は、イオンから本人に連絡が来ることはない
- イオンから書面の郵送も基本的にはなく、家族が郵便物を見て気づく可能性も低い
バレてしまう可能性があるケース(カード利用停止・ローン審査落ち)
- 生活費をクレジットカード払いに頼っている
- 突然カードが使えなくなれば家族に不審に思われる
- ローン審査に落ちる可能性あり
- なぜローンに通らないのか家族に不審に思われる
任意整理・自己破産・個人再生の比較
手続き | 家族に知られる可能性 | 会社に知られる可能性 |
---|---|---|
任意整理 | 低い 連絡・郵送がほぼない | 低い 給与差押えリスクはほぼなし |
自己破産 | 高い 世帯収入の証明等が必要 | 低い 官報に掲載 |
個人再生 | 高い 世帯収入の証明等が必要 | 低い 官報に掲載 |
まとめ
- 任意整理は自己破産・個人再生よりも圧倒的にバレにくい手続き
- ただし、カード解約やローンが組めないことで間接的に気づかれる可能性はある
イオン任意整理の流れと依頼後にやること
弁護士・司法書士と面談し、返済状況を確認。


受任通知が送付された後はイオンへの支払いは止めて積立金を行います。
返済を止めてもイオンから連絡がくることはありません。
受任通知の送付から1~2ヵ月ほどでイオンから取引履歴が届きます。
専門家は取引履歴を基に過去の利息を確認して、過去に法律よりも高い利息で取引がであれば引き直し計算を行います。


利息のカットや分割払いの回数についての交渉を行います。
引き直し計算の結果、借金が減るようであればその減額後の金額で利息カットと分割回数の交渉を行います。
借金が全てなくなった過払いになっているのであれば過払い金返還についての交渉を行います。
任意整理の交渉が終わったら、交渉内容どおりに利息がなくなった元金だけを分割で返済していくことになります。


任意整理依頼後に依頼者が行うこと
任意整理の依頼後は、まずはイオンへの返済を止めることになります。
返済を止めても連絡が来ることはありません。
返済を止めている間に、任意整理後に毎月返済していけるかの確認と費用の分割払いのために、依頼者は積立金を行う必要があります。
任意整理ができない場合は自己破産や個人再生を検討する必要があります。


任意整理を依頼してから3か月~6か月程度で任意整理の交渉がまとまり、イオンへ返済を再開して完済を目指します。
代行返済の場合は弁護士や司法書士へ、代行返済ではない場合はイオンへ直接振込むことになります。


任意整理で完済の見込みができた事例



司法書士に相談した直後からイオンの返済が止まりました。無理のない返済額で再スタートできたとき『これなら完済できる』と安心できました。
ポイントまとめ
- 専門家が手続きの大部分を進めるので、依頼者は積立金をするだけ
- 交渉完了まで3〜6か月かかる
- 積立金が重要
- 支払能力を示す大事な要素になる


イオンの任意整理に関するFAQ
イオン銀行の口座が凍結された場合、給与振込はどうなりますか?
引き出しができなくなります。
事前に勤務先に依頼して別口座へ変更してもらう必要があります。
任意整理をするとイオンのショッピングリボは対象になりますか?
はい。キャッシングだけでなく、ショッピングリボや分割払いの残高も任意整理の対象になります。
イオンを任意整理した後、再度イオンカードを作れるようになりますか?
ブラックリストの登録が消える完済から5年程度経過後、再契約できる可能性はあります。
ただし、社内の独自基準により審査が厳しくなる場合があります。
イオンカードを任意整理すると家族カードはどうなりますか?
本会員のカードが解約になると、家族カードも同時に解約になります。
家族に影響する可能性があるため、事前に説明しておくと安心です。


まとめ|イオンの任意整理で知っておくべき注意点
- 任意整理後の利息は0%になる
- 分割回数は60回ほど
- 過払い金が発生する可能性あり
- イオンカードは解約になる
- ブラックリストに登録される
- イオン銀行の口座が凍結される
司法書士からのアドバイス
イオンの任意整理は、返済の負担を軽くして生活を立て直すための有効な手段です。
カード解約や信用情報への登録などデメリットもあるので、生活への影響を事前に把握し、準備してから手続きすることが大切です。
また、任意整理が可能かどうか、分割回数や和解条件は状況によって異なります。
迷ったら早めに専門家へ相談し、自分にとって最適な解決方法を一緒に検討しましょう。