最近は少なくなりましたが、借り入れをする際に保証人を付けることがあります。
保証人をつけている借り入れを債務整理すると保証人へ請求されてしまい、迷惑をかけてしまうことになります。
司法書士としての実務経験をもとに、保証人に迷惑をかけないための債務整理の方法や注意点をわかりやすく解説します。
※保証人には保証人と連帯保証人がいますが、ほとんどは連帯保証なので連帯保証人について解説しています。
参考:保証契約とは-法務省
債務整理で保証人に迷惑がかかるケースとは?
- 保証人がいる借り入れを債務整理をすると、保証人に迷惑がかかりますか?
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保証人がいる借り入れを債務整理すると、保証人へ請求が行くので、迷惑がかかることは避けられません。
債務整理をすると本人の借り入れは、利息のカットや減額・免除がされます。
しかし、債務整理の効果は保証人が負う保証債務へは及びません。
また、債務整理をすると期限の利益を失うので貸金業者は保証人に対して、一括返済を求めることもできます。
- 債務整理をすると保証人へ請求される
- 保証人は貸金業者から一括での返済を求められることがある
債務整理の種類ごとに異なる保証人への影響
参考元:債務整理-東京司法書士会
債務整理には任意整理、個人再生、自己破産があります。
- 任意整理
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利息を0%にしてもらい、元金だけを分割で返済していく手続き
- 個人再生
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借り入れを減額してもらい、分割で返済していく手続き
- 自己破産
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返済を免除してもらい、支払いをする必要がなくなる手続き
任意整理の場合
- 手続き対象の借入先を「選べる」ため、保証人付き借金を除外することが可能です。
- ただし、除外した借金の返済を継続できることが条件です。
任意整理については、以下の記事で詳しく解説しています。

個人再生・自己破産の場合
- すべての借金を整理対象に含める必要があるため、保証人がいる借入も必ず対象になります。
- 本人の債務が免除・減額されても、保証人には全額請求が行き、一括請求リスクも高いです。
個人再生と自己破産については、以下の記事で詳しく解説しています。
保証人に迷惑をかけない債務整理の方法
- 保証人に迷惑をかけずに債務整理をすることはできませんか?
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迷惑をかけないようにするには、保証人がいる借り入れは債務整理から除外することです。
任意整理でしたら、保証人がいる借り入れを除外して、その他の借入のみを整理することができます。
自己破産と個人再生は、すべての借り入れを手続きしなければいけません。
保証人を守るなら、任意整理で保証人付きの借金を除外する方法が最善です。
任意整理で保証人付き借入を除外する流れ
- 任意整理で整理する借入先を選択
- 保証人付き借金を除外し、それ以外の借金だけを整理
注意:保証人がいる借り入れを除外することで返済ができなくなるのであれば、一部の借入を除外した任意整理はできません。
返済継続が難しい場合は、保証人付き借金も含めて債務整理しなければならず、その際は保証人に影響が及びます。
体験談:家族を守るために任意整理を選択した例

母が保証人になっている奨学金はそのまま返済し、他の消費者金融だけ任意整理しました。結果として家族に迷惑をかけずに済みました。
- 個人再生や自己破産は不可、任意整理のみ
- 保証人がいる借入を任意整理から除外しても、返済に問題がないことが条件
任意整理ができないケースについては、以下の記事で詳しく解説しています。


保証人がいる借金も債務整理が必要な場合
どうしても返済が困難な場合は保証人がいる借入も債務整理をする必要がありますが、その場合は保証人に請求が及びます。
どの債務整理を選ぶべきかについては、以下の記事で詳しく解説しています。




よくある相談・FAQでわかる保証人の悩みと対策
保証人が債務整理することはできるがブラックリストに注意
- 保証人が債務整理をすることはできますか?
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保証人も債務整理(自己破産・個人再生・任意整理)が可能です。
ただし「ブラックリスト」に登録され、今後の借入や保証人になることが制限されます。
ブラックリストの影響については、以下の記事でも詳しく解説しています。


債務整理をする際は保証人を付ける必要はない
- 債務整理をするにあたって、保証人は必要になりますか?
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債務整理をする際に保証人が必要になることはありません。
任意整理、個人再生、自己破産全てのケースで必要になることはありません。
債務整理をした後に保証人になることはできるか
- 債務整理後に保証人になることはできますか?
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債務整理をして、信用情報に事故情報(ブラックリスト)が載っている期間は、保証人になるのは難しいです。
登録抹消後は、通常どおり審査が受けられるようになります。
ブラックリストの期間については、以下の記事で詳しく解説しています。




保証人がいる借り入れの過払い金請求
- 保証人がいる借り入れでも過払い金は発生しますか?
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保証人がいても、過払い金は発生します。
過払い金が発生するかは利息次第で、保証人の有無は関係ありません。
また、完済後の請求であれば保証人へ連絡が行く心配もありません。
返済中の場合も通常は保証人へ連絡はありませんが、一時的に連絡が行く可能性はあります。
過払い金については、以下の記事でも詳しく解説しています。




保証人になった覚えがない場合
- 保証人になった覚えがないのに請求が来ました
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保証契約は本人が同意しなければ成立しないので、勝手に名前が記載されていても、同意がない以上は保証契約は成立しません。
また、保証契約は口頭ではできなく「書面」で行う必要があります。
ただし、少額でも支払うと「事後的に同意した」とみなされる可能性があるので注意してください。
専門家に相談をすることをおすすめします。
まとめ|保証人がいる場合の債務整理で後悔しないために
- 保証人へ請求される
- 保証人は一括での返済を求められることもある
- 任意整理で保証人がいる借金を除外する
- 個人再生や自己破産は除外不可
- 保証人がいる借り入れを任意整理から除外しても、返済には問題がないことが条件
借金をしている本人が債務整理をしても、保証人は一括請求をされてしまうことがあります。
保証人に迷惑をかけないようにするには、任意整理で保証人が付いている借り入れは除外することです。
ただし、保証人が付いている借り入れを任意整理の対象から外すと、返済ができないのであれば任意整理をすることはできません。
保証人が付いている借り入れも任意整理をするか、個人再生や自己破産をする必要があります。
返済が難しいのであれば、保証人も債務整理をすることもできますが、保証人の方もブラックリストに載ることになります。
このようなことから借り入れをしている本人が返済できなくなった際に、保証人へ及ぼす影響はとても大きいです。
保証人を頼まれた場合は慎重に検討しましょう。