車はどうなる?債務整理と自動車ローンの関係を司法書士が徹底解説

当サイトの記事はすべて司法書士三浦永二(東京司法書士会所属、登録番号7300号)が執筆しています。

「自動車ローン返済中でも債務整理はできるのか」「債務整理すると車を失ってしまうのか」

こういった疑問に対して、任意整理・個人再生・自己破産のそれぞれの手続きごとに解説します。

基本的にはバイクのローンも同様の扱いになります。

目次

自動車ローン返済中の債務整理のポイント

自動車ローン返済中に債務整理をする場合、車が処分されるかどうかは、ローン契約に「所有権留保」があるかどうかで決まります。

所有権留保とは?

ローンの返済が終わるまで、車の所有権をローン会社やディーラーが保有する仕組みです。

  • 銀行系ローン:所有権留保なしの場合が多い
  • 信販会社やディーラー系ローン:所有権留保ありの場合が多い

所有権留保があるかどうかは契約書で確認可能です。

任意整理の場合|対象から外せば車は残せる

自動車ローンを返済中に任意整理をすると、車は処分されてしまうんですか?

所有権が留保されている自動車ローンを任意整理すると、車は引き上げられます。

ただ、自動車ローンを任意整理することはほとんどありません。

自動車ローンを任意整理の対象にしなければ車は処分されません。

自動車ローンを対象にしなければ車は失わない

所有権留保がある場合
  • 自動車ローンを任意整理の対象にすると車は引き上げられます。
  • 対象から除外すれば車は残ります。
所有権留保がない場合

任意整理の対象にしても車は失いません。

ただし、自動車ローンは元々金利が低く、任意整理をするメリットはほとんどありません。

ローン完済済みの場合

完済済であれば、自動車が債務整理に影響を受けることはありません。

任意整理は手続きする借金を選択できるため、自動車ローンを対象から外せば車は処分されません。

そのため実務では、自動車ローンは手続きから除外されるケースがほとんどです。

任意整理については、以下の記事でも詳しく解説しています。

自動車ローンの任意整理

個人再生の場合|所有権留保の有無で車の処分が変わる

自動車ローン返済中に個人再生をすると車は処分されますか?

ローン返済中に個人再生をする際に、所有権留保があると車はローン会社に引き上げられます。

所有権留保が付いていなければ車が処分されることはありません。

ただし自己名義になっていても財産価値が高いと、清算価値保障の原則から個人再生をしても減額される金額が少なくなります。

個人再生はすべての債務を対象にする必要があるため、自動車ローン返済中なら自動車ローンも手続きに含まれます。

所有権留保がある場合
  • 車はローン会社に引き上げられます。
  • 車を手放したくない場合、第三者がローンを完済する方法があります。
  • 生活や事業上の必要性が裁判所に認められれば、例外的に車を除外できる場合もあります(可能性は低いです)。
所有権留保がない場合

車の処分はありませんが、「清算価値保障の原則」により車の価値が返済総額に影響します。

車の財産価値が高いと借金の減額幅が縮小します。

ローン完済済みの場合

自動車ローンを完済している人が他の借金を個人再生する際も、清算価値保障の原則が適用されます。

清算価値保障の原則とは?

借金の減額後の金額と、自分が所有する財産(車など)の価値を比較し、高い方の金額を返済する仕組みです。

借金総額個人再生後の返済額(基準額)
1500万円未満借金額の5分の1
減額後の金額が100万円未満の場合は100万円
1500万円~3000万円未満一律300万円
3000万円~5000万円未満借金額の10分の1

借金が500万円あり、売却査定額150万円の自動車を所有している場合

減額後の借金100万円より自動車の150万円のほうが高いので、高いほうの金額150万円を分割で支払っていくことになります。

財産価値が高いと個人再生のメリットが小さくなります。

個人再生については以下の記事でも詳しく解説しています。

自動車ローンの個人再生

自己破産の場合|基本的に車は処分される

自動車ローンを返済中に自己破産をすると車は処分されますか?

車の名義がローン会社の場合は、ローン会社に引き上げられます。

車が自己名義になっていても、東京地裁では車の売却価格が20万円以上あると売却処分されます。

自己破産も手続きする業者を選択することはできないので、自動車ローンを返済中であれば必ず手続きの対象になります。

所有権留保がある場合

ローン会社に車を引き上げられます。

所有権留保がない場合

東京地裁では車の査定額が20万円未満なら手元に残ります。ただし20万円を超える場合は売却されます。

なお、一般的な車の査定価値は、以下の経過年数を目安に20万円以下になる傾向があります。

  • バイク:3年以上経過
  • 普通車:6年以上経過
  • 軽自動車:4年以上経過

生活や事業に必要なら「自由財産の拡張」で残せる可能性はあります。

自動車ローンを完済している場合

売却査定価格が20万円以上あると自動者は処分されます。

自由財産の拡張とは?

裁判所が破産者の生活を保障するために、本来処分される財産を例外的に手元に残すことが認められる制度です。

ただし、よほどの事情がない限り認められにくいのが現状です。

破産後に現金で購入するという方法

自己破産では、手元に残せる現金が最大99万円まであります。

そのため、破産後に現金で中古車を購入する人もいます。

自己破産については以下の記事でも詳しく解説しています。

自動車ローン返済中の自己破産

債務整理後に自動車ローンは組める?

債務整理をした後に自動車ローンを組むことはできますか?

債務整理をするとブラックリストに登録されるため、自動車ローンの審査にとおるのは難しいでしょう。

ブラックリストの登録が消された後は、通常の審査を受けることができます。

参考元:信用情報とは-指定信用情報機関のCIC

債務整理をすると、信用情報に事故情報(ブラックリスト)が登録されます。

そのため、自動車ローンの審査に通るのは難しくなります。

ブラックリストの影響がなくなる期間
  • 任意整理:完済してから5年
  • 個人再生:完済してから5年または登録から7年
  • 自己破産:登録から7年

ブラックリストが解除されれば再び自動車ローンを利用できます。

現金購入なら審査はないため、ブラックリストに載っている状態でも問題ありません。

ブラックリストの影響については、以下の記事でも詳しく解説しています。

まとめ|債務整理ごとの車への影響一覧

債務整理と自動車ローン
任意整理

自動車ローンを任意整理の対象にしなければ車が引き上げられることはない

個人再生

所有権が留保されていると車は引き上げられる

所有権が留保されていなかったり、自動車ローンを完済していると、車が引き上げられることはない。

ただし、減額後の借金よりも自動車の価値が高い場合には、返済金額が増えることになる

自己破産

所有権が留保されていると車は引き上げられる

所有権が留保されていなかったり、自動車ローンを完済している場合も、車の売却価格が20万円以上であれば処分される

任意整理であれば自動車ローンを除外することで、車に影響をださずに手続きを行うことができます。

本来は自己破産が妥当なのに、車を失いたくないために無理な内容で任意整理を行うと、結局自己破産する可能性があります。

車を失っても現金で中古車を買うこともできます。

車を失うデメリットと債務整理で返済が楽になるメリットを比較して、最適な手続きを選ぶことが重要です。

どの債務整理が適しているかについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

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