エポスカードの過払い金は、2007年3月15日以前に高金利で借入をしていた人だけが対象となります。
完済後の請求なら信用情報(事故情報)へ登録されず、元金の90~100%が3~6か月で返金されるのが一般的です。
一方、返済中の請求ではショッピング残高との相殺や保証銀行の影響に注意が必要です。
- エポスカード
- 旧マルイカード・ゼロファースト取引の過払い金請求の仕組み
- 返金までの流れ
- デメリットまで
司法書士が解説します。
参考元:過払金の返還請求-東京弁護士会
要点まとめ
- 2007年3月15日以前にキャッシングしていた取引のみ
- 過払い金が発生する可能性あり
- 過払い金の回収目安:
- 和解で元金90~100%返還が目安
- 過払い金の回収期間:
- 依頼から3~6か月で完了
- 完済後はカード解約のみ、ブラック情報登録なし
- ショッピング返済中の場合は過払い金と相殺される
- 過払い金の方が少なく相殺できないとブラックリスト登録の可能性あり
エポスで過払い金が発生する条件(マルイ・ゼロファースト承継含む)
いつから対象?2007年3月15日以前のキャッシング
- エポスカードで過払い金が発生する条件を教えてください
-
エポスカードは2007年3月16日以降は利息を利息制限法の範囲に引き下げました。
そのため、2007年3月15日以前に高金利(最大27%)で借入をしていた人のみ過払い金が発生します。
ショッピング利用では過払い金は発生しません。
過払い金は法律の制限よりも高い利息で取引をしていた場合に発生します。
借入金額 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円以上~100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
参考元:利息制限法
いつから借りたか調べる方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

丸井でカードを作成していた事例

20代の頃に丸井でカードを作って、キャッシングで生活費を補っていました。司法書士に依頼したところ70万円以上の過払い金が発生していました。
ショッピングは対象外
どれだけ古い取引でも、ショッピング枠では過払い金は発生しません。
マルイカード・ゼロファーストの承継
エポスは旧マルイカード事業を引き継ぎ、2014年にゼロファーストを合併しました。
マルイやゼロファーストで発生した過払い金も、請求先はエポスカードになります。
キャッシング返済中も過払い金が発生する
借金を返済中でも、過去に高金利での取引があり引き直し計算をすると
- 借金がゼロになり、過払い金が戻るケース
- 借金が一部残り、減額されるケース
上記のどちらかになります。
ポイント整理
- 借金がゼロになり過払い金が発生する場合:
- 借金を支払う必要はなくなる
- 借金が残る場合:
- 任意整理で利息を0%にして分割返済できる
- 任意整理を行うとブラックリストに登録される
- 完済後に過払い金が出た場合はブラックリストに登録されない
返済中の過払い金請求、エポスカードの任意整理については、以下の記事でも詳しく解説しています。






返済中と完済後の違い
完済後に請求
- カードは解約になりますがブラックリストには登録されない
- 公共料金やネット決済にカードを使っている:
- 他のカードや口座引き落としにする等、支払い方法の変更が必要
- エポスポイントは失効するため、事前に使い切るのがおすすめ
カード解約前に別カードに変更した事例



公共料金の引き落としをエポスカードにしていました。事前に司法書士の先生から解約になると聞き、別のカードに変更しました。ポイントも使い切れてよかったです。
返済中に請求:ショッピング残高との相殺
基本ルール
- 完済後に請求:ブラック登録なし
- 返済中に請求:過払い金とショッピング残高を相殺される
- 過払い金<残高
- 任意整理となりブラックリストに登録
- 過払い金>残高
- ブラックリスト登録なし
- 過払い金<残高
ショッピング返済中の場合は、過払い金とショッピング残高が相殺されます。
過払い金が足りないと、残債を任意整理扱いにされ信用情報(事故情報)へ登録されます。
ケース別シミュレーション
過払い金が戻ってくるケース
- 過払い金:50万円
- ショッピング残高:30万円
- 結果:20万円の返金
- ブラックリスト登録なし
残高が残るケース
- 過払い金:20万円
- ショッピング残高:40万円
- 結果:残債20万円を任意整理
- ブラックリストに登録される
ブラックリストの影響については、以下の記事でも詳しく解説しています。


ポイント整理
- 過払い金請求でカード解約・ポイント失効
- ショッピングを返済中だと相殺される
- 相殺しきれないとブラックリスト登録
- 完済後の請求なら安全
銀行借入の保証リスク
- エポスカードはスルガ銀行などの保証会社になっている
- 保証先銀行で返済を「滞納中」に過払い金請求をすると
- 保証が実行されブラックリストに登録される可能性あり
銀行を滞納していなければ、保証が実行される可能性はほぼありません。
銀行の債務整理の注意点等については、以下の記事でも詳しく解説しています。


ポイント整理
- エポス保証の銀行借入滞納中の請求は危険
- 銀行を完済後の請求なら安全
- エポスが保証していない銀行からの借入は問題なし
返金割合と入金までの期間
- エポスカードの過払い金請求への対応はどうなんですか?
-
エポスカードの対応は良心的で、話し合いでも過払い金の元金の90%~100%の返還に応じてもらえます。
利息まで回収をするとなると裁判が必要になることもあります。
特徴
- 和解交渉は良心的:
- 過払い金元金の90~100%返還が目安
- 入金までの期間:
- 依頼から3~6か月程度
- 利息(年5%)の回収には裁判が必要
- 争点が少ない場合:
- 裁判を起こしても早期和解で利息込みの返還の可能性が高い
手続きの流れと期間
- エポスカードに開示請求
- 到着まで:約3週間
過払い金請求から2週間~1か月で提案
- 元金90~100%返還
- 裁判で利息も回収できる可能性有
- 和解成立から1~5か月で入金
- 依頼から入金まで:計3~6か月
過払い金請求の流れについては、以下の記事でも詳しく解説しています。


裁判になるケース
- 利息(年5%)まで回収したい場合
- 途中完済など取引分断の争点がある場合
裁判を起こしても争点が少ないケースでは、裁判前に和解提案があり、利息込みで回収できることが多い。
和解内容
項目 | 内容 |
---|---|
返還割合 | 元金90~100% |
入金時期 | 和解成立から1~5か月 |
裁判なしで回収できる範囲 | 元金まで |
裁判で回収可能な範囲 | 元金+利息(年5%) |
過払い金の時効(エポスの取引はいつまで遡れる?)
- 過払い金の請求権には10年の消滅時効がある
- 過払い金を請求できると知った時から5年の時効もあり
- 最後の取引(完済・借入・返済)から10年経過すると請求不可
- 時効になっていなければ、取引の最初まで遡れる
- 1997年以前はデータが破棄されていて取引履歴が開示されない可能性あり
時効が進むタイミング
- 完済日から進む
- 途中で一度完済している場合はその時点から10年で時効になる
取引の分断に注意
過去に一度完済し、再度借り入れを行った場合は「取引の分断」になる可能性があります。
取引の分断が認められた場合
- 分断から10年経過している場合
- 分断前の取引は時効により回収不可
- 分断後の取引だけが請求対象
ポイントまとめ
- 基本的に過払い金は「最後の取引」から10年で時効になる
- 途中完済があればそこから10年で時効になる可能性あり
- 早めに専門家に相談をすることで時効を回避できる可能性あり
時効や取引の分断については、以下の記事でも詳しく解説しています。


よくある質問(FAQ)
エポスカードの過払い金請求に必要な書類は何ですか?
本人確認書類、印鑑(司法書士・弁護士依頼時)、借入時の契約書・明細があると役立ちます。
信用情報機関(CIC・JICC・KSC)にエポスカードの過払い金請求の記録は残りますか?
過払い金請求では事故情報は登録されません。
債務整理や滞納等が登録されます。
家族や勤務先にエポスへの過払い金請求が知られることはありますか?
エポスカードから家族や勤務先に連絡が行くことはありません。
司法書士からの連絡方法は事前に打ち合わせが可能です。
亡くなった家族の借金でもエポスへ過払い金請求できますか?
相続人から請求可能です。相続放棄前に過払い金が発生していないか調査することも重要です。


まとめ
- 過払い金元金の90~100%
- 依頼から3~6か月後の返金
- エポスカードは解約になる
- ショッピング利用中の人は相殺に注意
- エポスが保証している銀行で借り入れがあるとブラックリストに登録される可能性がある
司法書士からのアドバイス
エポスカードは裁判をしなくても減額を求めてくることは少なく、きちんと過払い金を返還してくれる会社です。
返還までの期間も、無駄に引き延ばしてくることもありません。
請求するタイミング等を専門家と一緒に判断するのが安全です。
相殺やブラックリストの登録が心配という方は、まずは取引履歴を開示して事前に計算をしてから、正式に請求するか検討すると安心です。
本記事は一般的な解説です。個別の事情により結論が異なるため、必ず専門家にご相談ください。