- 事務所選びで失敗するとどうなるか
- おすすめ事務所を見極める条件
- 手続別の料金相場と「契約書の読み方」
- ランキング広告の注意点と、情報の見分け方
「どの事務所が自分に合うのか」「費用は妥当か」「ランキングは信じていいのか」。
このページでは、債務整理の依頼先を検討中の方に向けて、司法書士が中立の立場でおすすめ事務所の選び方を整理します。
実績や費用の明瞭性、デメリット説明の有無など、失敗しないための判断軸と、契約書で確認すべきポイントをまとめました。
事務所選びで失敗するとどのような問題が起きるのか?を解説して、そのあとに信頼できる専門家の選び方を解説します。
参考元:債務整理-東京司法書士会
事務所選びで失敗すると
- 債務整理はどの事務所に依頼をしても同じなんですか?
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同じ結果になるとは限りません。
弁護士や司法書士と言っても色々な事務所があるので、対応に問題のある事務所も存在します。
また、相場以上の費用がとられる事務所もあります。
債務整理は「どの事務所に依頼しても同じ結果になる」と思われがちですが、実際には大きな差があります。
依頼先によっては高額な費用・説明不足・対応の遅れなどで不満を抱え、別の事務所へ「乗り換えたい」という相談も少なくありません。
以下によくあるトラブル事例をまとめます。
高額な費用を請求される
参考元:債務整理の弁護士報酬のルールについて-日本弁護士連合会
債務整理事件の処理に関する指針の制定について(会長談話)-日本司法書士会連合会
- 弁護士や司法書士は規定や指針で、費用についての一定のルールはある
- 「基本報酬+成功報酬+手数料」などで費用が積み上げられ、相場の倍近い費用になる事務所もある
借金の負担を減らすための債務整理で、高額な費用を取られてしまっては意味がありません。
体験談:費用が高額だった
30代 男性前に依頼をした事務所では「督促が止まるから」と言われて依頼しましたが、後で調べてみたら費用が高かったです。不信に思いその事務所はキャンセルしました。
デメリットの説明が不十分
- 債務整理には「信用情報機関への登録(いわゆるブラックリスト)」などのデメリットがある
- 登録期間中はローンやクレジットカードの利用が難しく、生活に影響がでる
本来、こうした重要な情報は、弁護士や司法書士が責任を持って説明すべき内容です。
ビジネス優先の事務所では、多くの案件をこなすため説明は事務員任せで、弁護士や司法書士は最後に簡単な確認だけをするケースもあります。
ブラックリストの影響については以下の記事でも詳しく解説しています。


説明が不十分な事務所に依頼をすると
説明が不十分なため「そんな重要なことは聞いていない」「こんなことなら債務整理しなければよかった」と後悔する人もいます。
任意整理で後悔するケースについては以下の記事でも詳しく解説しています。


手続きの遅れや放置
- 任意整理であれば、通常は数ヶ月〜半年ほどで交渉が完了する
- しかし、事務所によっては1年以上かかるケースもある
連絡が取れない、不安にさせる対応
実際には債務調査や交渉を行うため、依頼者が問題なく積立金をしていれば、連絡が必要になる場面は多くはありません。
しかし、進捗確認等のために電話をしたのに「担当不在」や「折り返しがない」といった対応では、不安になるのも当然でしょう。
希望を全く聞いてもらえず勝手に方針を決められる
債務整理には主に3つの手続きがあります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
必ずしも本人の希望どおりの債務整理が行える訳ではなく、収入と返済のバランス等の客観的な判断が必要になります。
実際の事例
- 司法書士は自己破産・個人再生の代理人になれないため、任意整理しか提案されないことがある
- 逆に、任意整理で済むのに、弁護士から「自己破産」を強く勧められることもある
希望する手続きができない理由が事務所都合で決められている場合、別の事務所なら希望の手続きができる可能性があります。
希望どおりの債務整理が出来ない場合は、セカンドオピニオンのように別の事務所に相談をしてみるのもいいでしょう。
どの債務整理が向いているかについては以下の記事でも詳しく解説しています。


おすすめ事務所の選び方4条件
下記をホームページで公開している事務所がおすすめです。
条件1:費用の明瞭性
- 着手金・基本報酬・成功報酬・実費が明記されている
- 追加費用なし、または発生する条件が明文化されている
条件2:実務経験と取扱実績
- 取扱件数や実績が明示されている
- 「これまでに○件以上の任意整理を担当」など、数字や実例がホームページや資料で公開されている
- 単に「実績豊富」と書かれているだけでは信頼しにくい
条件3:デメリット・リスクの説明
- ブラック情報(信用情報への登録)の説明
- カードやローンの利用が困難になることを説明しているか
- 口座凍結や相殺のリスクの説明
- 銀行カードローンを利用している場合、同じ銀行口座が凍結されることがある
- 預金と借金が相殺される可能性もある
- こうしたリスクの説明があるか
条件4:連絡のしやすさ
- 電話以外にもメールやLINE相談に対応しているか
「すべてYes」である必要はありません。
料金相場の目安と契約書の見方
債務整理の費用は「手続の種類」や「案件の難しさ」によって変わりますが、一般的な相場は次のとおりです。
手続別の費用相場(目安)
- 任意整理
- 1社あたり5〜10万円前後
- 返済代行:1社1,000円
- 個人再生
- 40〜60万円前後
- 自己破産
- 30〜60万円前後
- 「同時廃止」か「管財事件」かで費用が大きく異なる
返済代行については以下の記事でも詳しく解説しています。


契約書で必ず確認すべきポイント
- 費用の内訳がハッキリしているか
- 着手金・基本報酬・成功報酬・実費・日当などが、分かりやすく区分されているか
- 「〇〇円~」等と曖昧な表記の事務所は避ける
- 明確に「任意整理費用1社○万円」と書かれている事務所を選択するべき
- 追加費用が発生する条件
- 例:訴訟になった場合、債権者が増えた場合など
- 事前に条件が明文化されていれば、後で思わぬ請求を避けられる
- 分割払いが可能かどうか
- 多くの事務所では「受任後の積立金」を使って分割払いが可能
- 支払い遅延時の対応も事前に確認すべき
- 返金や中止の精算ルール
- 和解が不成立になったとき
- 依頼者の都合で手続きを中止したとき
- 途中で自己破産や個人再生へ切り替えたとき
- こうした場合に「どの費用が返金され、どれが返金されないのか」が記載されているかが重要
費用相場と支払い方法については以下の記事で詳しく解説しています。


ランキング広告を見るときの注意点
債務整理の「おすすめ事務所ランキング」には、広告やPRが混ざっていることがあります。
以下の点に注意してください。
チェックすべきポイント
- 掲載順位の根拠が明示されているか
- なぜ1位や2位なのか、その評価基準や算出方法が説明されているか
- 根拠が不明な順位付けは広告目的の可能性が高い
- 更新日や情報の新しさが明記されているか
- 古いまま放置されているランキングは、制度変更や費用相場の変化に追いついていない可能性がある
- 必ず更新日をチェックすべき
- 特定の事務所だけが過剰に持ち上げられていないか
- 複数の事務所を比較するのが本来のランキング
- 特定1社だけを強く推している場合、広告色が濃い可能性がある
- 評価基準が明確か
- 「費用」「実績」「相談のしやすさ」「説明の丁寧さ」など、評価の基準がはっきり書かれているか
- 悪い点も書かれているか
- メリットだけでなく「費用がやや高い」「LINE相談は不可」などがあれば信頼できる評価ととれる
- 極端な断定表現に注意
- 「必ず減額できます」「最安です」など、根拠のない断定的な表現は信用できない
自分で比較するコツ
ランキングに頼るよりも、自分で2〜3社のホームページを比較することが大切です。
- 最低でも2〜3社のホームページをみて、費用や対応を比較する
- 相談の際は「費用はいくらなのか」「デメリットについて」など、自分が不安に思っている点を質問する
- その回答の丁寧さも、事務所選びの大事な判断材料になります
体験談:広告の事務所は高かった



ネットでおすすめと書かれた事務所に相談をしたら費用も高く、対応も雑でした。なので今回は慎重に事務所を選びました。
事務所選びに失敗した場合の対処法
事務所の対応に不安や不満を感じた場合、手続き完了前であればキャンセルをして、別の事務所へ依頼しなおすこともできます。
ただし手続きを途中でキャンセルする場合、注意点があります。
- 事務所によっては、途中解約でも着手金が返金されないことがある
- 別の事務所に変更すると、手続きが最初からやり直しになるため、完了までの期間が長引く可能性がある
- 代理人が辞任すれば、再び貸金業者から直接督促がくることもある
債務整理は精神的にも負担がかかる手続きです。
相談前に準備できるとスムーズにいく物
- 取引の状況がわかるもの
- 業者名
- 残高
- 取引開始日
- 最終返済日
- 延滞の有無
- 家計の目安
- 月の手取り
- 家賃
- 出費額(食費、通信費、教育費等)
- 口座の状況(銀行借り入れがある場合のみ)
- 給与口座と借入先が同じ銀行か(相殺の可能性)
- 業者からの通知・督促状・メール等
よくある質問
司法書士と弁護士、どちらに相談すべき?
1社で140万円を超えている場合は弁護士のみが対応可能です。140万円以下の任意整理など、案件の性質・金額で適切な専門家を選びましょう。
途中で方針を変えられる?
事情の変化に応じて、任意整理から個人再生・自己破産へ切り替えることはあります。費用精算や追加費用の有無を事前に確認しましょう。
事務員が対応しても大丈夫ですか?
事務員がサポートするのは問題ありませんが、重要な判断や説明は必ず弁護士や司法書士が行うのがルールです。
ブラックリストの期間はどのくらい?生活はどう変わる?
登録期間は債務整理手続により異なります。クレジット・ローン審査は厳しくなりますが、デビットカードや口座振替等で代替する方法があります。


まとめ
債務整理の事務所を選ぶときに大切なのは、広告等に流されず、自分の状況に合った事務所かどうかを冷静に見極めることです。
- 費用の内訳や追加費用の条件が明確である
- 実績が公開されている
- デメリットやリスクについても正直に説明してくれる
- 連絡体制がしっかりしている
こうした条件を満たしているかをチェックすれば、トラブルを避けて安心して依頼できます。
司法書士からのアドバイス
私自身、これまでに数千件以上の相談を受けてきましたが、事務所選びを誤ったために後悔した方も少なくありません。
- 「相場の倍近い費用を請求された」
- 「ブラックリストに載るとどうなるかちゃんと説明されなかった」
- 「担当者と連絡が取れず不安が続いた」
こうした声を実際に聞いてきました。
ポイントは一社に絞らず、必ず2〜3社を比較することです。
そして、初回相談では遠慮せず、自分の不安点(費用・ブラックリスト・今後の生活への影響など)を率直に質問してください。
