任意整理をする前にできること相談前に調べることを司法書士が解説

  • 任意整理をせずに支払っていくためにするべきことは?
  • 任意整理を相談する前に確認しておくことは?

借金の返済が難しい状況だけど、任意整理以外に方法はありませんか?という質問を受けることは多いです。

借金の返済が厳しくなったとき、任意整理は有効な解決手段のひとつです。

しかし、任意整理にはブラックリストへの登録というデメリットがあるため、できる限り他の選択肢も検討してから判断することが重要です。

任意整理を回避できるなら、それに越したことはありません。

任意整理を回避するために事前にできること、任意整理以外の選択肢、任意整理の相談前に確認しておくと良い点を解説します。

参考元:債務整理-東京司法書士会

信用情報とは-指定信用情報機関のCIC

目次

任意整理をする前に検討すべきこと

任意整理をする前に他に検討しておくべきことはありませんか?

家計を見直してみることがまずは第一です。

後は長期間取引をしていたなら過払い金が発生している可能性があるので、過払い金があるかどうか調査をするべきです。

債務整理をするとブラックリストに載るので、それを避けたい場合はおまとめローンを組むか、家族等の援助を受けて借金を完済する方法もあります。

任意整理を行うと、信用情報機関に「事故情報」として登録され、いわゆるブラックリストに載るというデメリットがあります。

そのため、任意整理に踏み切る前に、他に解決の手段がないかを確認することが大切です。

以下の4つは、任意整理の前にぜひ検討しておきたい対処法です。

任意整理をする前にできること
  • 家計の見直し
  • 過払い金を調べる
  • 家族等に立て替えてもらう
  • おまとめローンを組む

上記の方法が難しいのであれば、やはり任意整理等の債務整理を検討するのが良いでしょう。

家計の見直しで返済の道を探る

まず最初に取り組むべきは、毎月の家計の見直しです。

  • 無駄な支出をカットできないか?
  • 固定費の見直しで余剰資金を生み出せないか?
  • 臨時収入や副業の可能性は?

こうした工夫で月々の返済に充てられるお金を確保できれば、任意整理をしなくても返済を継続できる場合があります。

過払い金の調査をする

長期間にわたって貸金業者と取引していた場合、過払い金が発生している可能性があります。

過去に下記を超えた金利だったなら、引き直し計算により借金が減ったり、完済になってさらに過払い金が発生する可能性があります。

利息制限法の金利の上限
10万円未満の借入20%まで
10万円以上~100万円未満の借入18%まで
100万円以上の借入15%まで

多くの貸金業者は2007年前後に利率を見直していますが、稀に2010年頃まで高い金利で貸し付けていた業者も存在します。

2010年以前から取引を行っていたなら、弁護士や司法書士へ確認をするべきです。

銀行からの借入やショッピングでは過払い金は発生しません。

任意整理を依頼した場合も必ず過払い金の調査は行われます。

取引が長いと任意整理を依頼したのに過払い金が発生していて、結果的に任意整理ではなく過払い金請求になる人もいます。

家族等に立て替えてもらう

家族等に借金を代わりに払ってもらえる、又は家族にお金を借りて借金を完済できるのなら任意整理をする必要はありません。

ただし、「家族に迷惑をかけたくない」「支援を受けられない」という方は、任意整理などの法的手続きを検討するべきです。

おまとめローンで債務を一本化する

任意整理を避けたい場合、複数の借金を一つにまとめる「おまとめローン」を利用するという方法もあります。

複数の借入を1社にまとめることで、以下のようなメリットとデメリットがあります。

おまとめローンのメリット

  • 毎月の返済が1本化され、管理がしやすくなる
  • 金利が下がれば月々の負担が軽減される
  • ブラックリストに登録されない(信用情報への影響なし)

おまとめローンのデメリット

  • 審査が厳しく、通らない場合もある
  • 利息が発生するため、返済総額が増える可能性がある
  • 完済した金融業者から再び借入れしてしまうリスク

任意整理ではブラックリストに載るというデメリットはあります。

しかし、返済を楽にして早く完済をしたいのであれば、おまとめローンよりも任意整理を選択するべきです。

まとめ|任意整理の前にできること一覧

検討項目内容
家計の見直し支出の削減と収入の確保で返済を継続できないか再確認する
過払い金の調査利息制限法を超えた契約がないかチェックし、過払い金の可能性を探る
家族からの援助家族からの援助で債務整理を回避できるか相談してみる
おまとめローン信用情報に傷をつけずに返済を継続できるか試算する

上記の対策を講じても返済が難しい場合は、早めに司法書士や弁護士に相談することが大切です。

任意整理にはデメリットもありますが、計画的に借金を整理し、将来の生活を立て直すための有効な方法です。

任意整理の相談前に確認しておくべき5つのポイント

任意整理の相談前に調べておくべきことはありますか?

どこからいくら借りているか、収入と支出がどのぐらいか等は必ず必要になるので調べておきましょう。

あとは過払い金が発生することもあるので、何年ぐらい前から借りているかも把握しているとスムーズです。

完済している会社で過払い金が発生してることもあるので、完済している会社名も調べておきましょう。

任意整理を検討している方からよく聞かれるのが、「相談前に何を準備しておけばいいですか?」というご質問です。

債務整理の相談をスムーズに進めるには、事前に最低限の情報を把握しておくことが重要です。

必要な情報が不足していると、手続きが滞ったり、再度相談の機会を設ける必要が出てくることもあります。

ここでは、任意整理をスムーズに進めるために、相談前に確認しておくべき5つの項目を解説します。

相談前に確認すべきこと
  • 借入している会社名と借入額
  • 取引期間
  • 収入と支出
  • 借入が増えた原因
  • 完済している会社名

すべて完璧に把握する必要はなく、取引の期間等は大体何年ぐらい前から借りていた・・・という内容で問題ありません。

借入している会社名と借入額

まず最初に確認しておくべきなのは、どこの会社でいくら借りているかです。

これは、任意整理のシミュレーションを行う上で最も基本となる情報です。

会社ごとに任意整理後の分割回数が異なるため、借入額を把握しておけば、将来の返済額をある程度見積もることができます。

借入情報は、クレジットカードやローンの請求書、明細書、会員ページなどで確認できます。

セゾンで100万円を借入している場合

セゾンは60回程の分割払いになるケースが多いため、100万円÷60=16,666

任意整理後は、毎月17,000円ほどの返済になると想定できます。

借入期間(いつからの取引か)

借入の開始時期も重要な情報です。

  • 取引期間が極端に短いと、任意整理に応じない貸金業者もあります。
  • 取引期間によって分割回数が異なる貸金業者もあります。
  • 長期間取引がある場合は、過払い金が発生している可能性もあります。

契約書や利用明細で確認できるほか、口座引き落としの履歴からもある程度推測できます。

収入と支出の確認

収入と支出が判明すれば毎月の返済に回せる金額が計算でき、任意整理で支払っていけそうか?他の債務整理をすべきか?を判断できます。

任意整理できるか?
  • 毎月の手取り額:25万
  • 毎月の支出額:22万
  • 借入額:100万

上記の場合、毎月の手取り額の25万円から支出の22万円を差し引くと、3万円が返済にあてられる金額になります。

任意整理で100万円を60回払いにした場合、毎月の返済額は約17,000円。

任意整理後の返済額17,000円よりも返済にあてられる3万円のほうが上回っているので、任意整理による解決が可能と見込まれます。

このように、毎月の収支バランスを確認することで、任意整理が現実的な選択肢かどうか判断しやすくなります。

任意整理では返済を行えない時は、個人再生や自己破産を検討する必要があります。

借入が増えた原因の整理

相談時には、なぜ借金が増えてしまったのかを聞かれることがあります。

借金が増える原因の一例

  • 生活費の不足
  • 収入の減少
  • 突発的な医療費、教育費
  • ギャンブルや買い物の浪費など

原因が明確であれば、今後の返済計画や再発防止策を検討する際の参考になります。

特に個人再生や自己破産などでは、浪費・ギャンブルなどの理由が問題視されることがあるため、把握するようにしておきましょう。

過去に完済した会社名も確認する

過去に完済した業者で過払い金が発生していることがあります。

過払い金が見つかれば、その返還分を他の借金の返済に充てることで、借金総額が減り、任意整理が不要になる可能性もあります。

「どこで借りていたか忘れてしまった」「書類が残っていない」場合でも、調査方法はあるので、相談前に確認を進めておきましょう。

完済済みの業者を調べる方法

  • 契約書や明細、会員ページを確認
  • 通帳に記録された引き落とし履歴を確認する
  • 信用情報機関(JICCやCICなど)で取引履歴を開示する(※完済から5年以上経過すると消去される場合あり)

補足:クレジットカードでの支払い方法は要確認

任意整理の相談の後でもいいですが、任意整理をしたカードは解約になるため、口座引き落とし等の他の支払い方法へ変更をする必要があります。

そのため、クレジットカードで公共料金や通信料等の支払いをしている人は、事前に口座引き落とし等へ変更をしておくとスムーズです。

まとめ|任意整理の前に確認しておくこと一覧

確認項目内容
借入先と借入額各社からの借入状況を把握する
借入期間取引年数や開始時期を確認
収入と支出毎月の返済可能額を算出
借入の原因借金が増えた背景を整理
完済した会社名過払い金の可能性をチェック

完璧に把握する必要はありませんが、ある程度の情報を把握しておくだけで、相談がスムーズに進みます。

逆に何も準備していないと、相談が長引いたり、再度の来所が必要になる場合もあります。

なお、「情報がそろっていないけど話だけでも聞きたい」という方も問題ありません。

まずは気軽に相談してみることが、解決への第一歩です。

任意整理の相談で聞かれること

まとめ

任意整理をする前にできること
  • 家計の見直し
  • 過払い金を調べる
  • 家族等に借りて完済する
  • おまとめローンを組む

家族の援助を受けられるとか、おまとめローンを組んでその後は問題なく返済を行っていけるのなら任意整理をする必要はありません。

家族の援助を受けることはできない、おまとめローンを組んでも返済を行っていくことが難しい場合は任意整理をするべきでしょう。

相談前に確認すべきこと
  • 借入している会社名と借入額
  • 取引期間
  • 収入と支出
  • 借入が増えた原因
  • 完済している会社名

事前に借入内容や収支状況を整理しておくことで、相談がスムーズに進み、最適な解決策を見つけやすくなります。

借入先・借入額・取引期間の把握・完済している会社名など、調べることは多いですが、すべてを完璧に把握する必要はありません。

おおよその内容でも構いませんので、まずは可能な範囲で準備を進めてみてください。

何から始めてよいかわからない場合も、司法書士や弁護士への無料相談を活用すれば、不安や疑問を解消することができます。

ひとりで抱え込まず、早めに行動することが解決への第一歩です。

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