ニコスはDCカードやMUFGカード、ぴあカード等、色々なカードを発行しているので、複数のカードを利用している人も多いです。
ニコスを任意整理すると利息は0%にカットされ、60回以上の長期分割に応じてもらえるケースが多く、毎月の返済額を減らすことが可能です。
一方で、カード解約・ポイント失効・ブラック情報登録・口座凍結のリスクなど、知っておくべきデメリットも存在します。
この記事では、司法書士としての実務経験をもとに、
- ニコス任意整理の相場(利息・分割回数・最低返済額)
- ニコス特有の注意点(auPAYカード・保証実行・口座凍結)
- 過払い金が発生する条件
- 手続きの流れと依頼者がやるべきこと
をわかりやすく解説します。
参考元:任意整理-東京弁護士会
まず結論|三菱UFJニコス任意整理の返済条件
- ニコスの借金を任意整理するとどうなりますか?
-
ニコスを任意整理すると利息は免除してもらえるので、借金の元金だけを分割で返済していくことになります。
60回以上の分割払いにも応じてもらえるので、毎月の返済額も少なくなる可能性が高いです。
- 任意整理後の利息は0%になる
- 分割回数は60回以上も可能
- 2007年以前のキャッシングは過払い金が発生する可能性あり
- デメリット
- カード解約・ブラックリスト登録・口座凍結リスク
任意整理でどう変わる
任意整理をすれば利息がなくなるため、支払った金額が直接借金の残高に反映されます。
長期の分割回数に応じてもらえることで、毎月の返済額も少なくなります。
返済期間があらかじめ確定するので、完済までの道筋がはっきり見えるようになります。
ニコスを任意整理した事例

返済が追いつかなくなり、ニコスの任意整理を依頼しました。最初は『周りにバレるのでは?』と不安でしたが、司法書士の先生がしっかり対応してくれて家族に知られずに手続きできました。


ニコスの任意整理で返済額はどのぐらい減る?
任意整理をしない場合との比較
ニコスから50万円借入・年利17.94%・毎月14,000円返済
項目 | 任意整理なし | 任意整理あり(60回) |
---|---|---|
完済までの総利息 | 約21万円以上 | 0円 |
完済までの期間 | 約4年2か月 | 5年 |
毎月の返済額 | 14,000円 | 約8,300円 |
任意整理後の毎月の返済額シミュレーション
利息0%で単純計算した概算です。
借入残高 | 60回(5年) | 72回(6年) |
---|---|---|
30万円 | 約5,000円 | 約4,200円 |
50万円 | 約8,300円 | 約7,000円 |
100万円 | 約16,600円 | 約13,900円 |


三菱UFJニコスを任意整理するデメリット
ニコスを任意整理すると、以下のようなデメリットが発生します。
主なデメリット一覧
デメリット | 内容 |
---|---|
カードの解約 | ニコスのカードが解約になる |
ブラックリスト登録 | 信用情報に事故情報が記録される |
口座凍結・相殺 | ニコスが保証している銀行借入があると口座が一時凍結 |
カード解約とポイント失効のリスク
- 任意整理をした会社のカードは必ず解約になる
- ニコスの複数カードを持っている場合は、すべて解約になる
貯まったポイントは失効するため、手続き前に使い切るのがおすすめです。
公共料金・携帯料金をニコスのカード払いにしている場合は、口座振替等への変更が必要になります。
カード解約前に引き落とし先を変更した事例



カードが解約になることは司法書士から説明を受けていたので、前もって公共料金の支払い方法を口座引き落としに切替えることができました。
auPAYカードについて
auPAYカード(旧auWALLETクレジットカード)はニコスが保証をしています。
ニコスを任意整理するとauPAYカードも解約になります。
ブラックリストに登録される
任意整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。
ブラックリストに載るとできなくなること
- カードローンやキャッシングによる借入
- 自動車ローン・住宅ローンなどの分割購入
- 携帯電話やスマホの端末分割払い
- クレジットカードの新規発行
- 既存カードも停止の可能性あり
クレジットカード会社は定期的に信用情報を照会しているため、任意整理していないカードも利用停止になることがあります。
ブラックリストの影響については、以下の記事でも詳しく解説しています。


ブラック情報が消える時期
任意整理を完済してから最長5年で事故情報は抹消されます。
それまでは借入・カード作成は困難ですが、デビットカード・スマホ決済などは利用可能です。




ニコス保証の銀行口座が凍結されるケース
- 銀行カードローンには保証会社がつく
- ニコスが保証している銀行もある
- ニコス保証の銀行で借入がある状態でニコスを任意整理すると
- 保証が実行され借入がニコスに移行する
- このとき、銀行口座が一時凍結(約1~3か月)される
- 凍結後、預金と借入が相殺される可能性あり
銀行口座の凍結については以下の記事でも詳しく解説しています。


司法書士からのアドバイス
ニコスを任意整理する際の最大のデメリットは「カード解約」「ブラックリスト登録」「口座凍結」の3つ。
ただし、これらは任意整理全般に共通する部分でもあります。
デメリットを理解したうえで、返済の負担を減らすメリットと比較して判断することが重要です。


過払い金・減額が発生する条件(2007年以前の取引)
- ニコスの借金が減額されたり過払い金が発生することはありますか?
-
ニコスと2007年よりも前からキャッシングの取引をしている人は、借金が減額されたり過払い金が発生している可能性があります。
過払い金の対象になるケース
- 対象になる可能性がある人
- ニコスと2007年より前からキャッシング取引をしていた人
- 対象外となるケース
- ショッピング取引(リボ払いや分割払い)は対象外
ニコスは2007年以前は利息制限法の上限を超える「グレーゾーン金利」で貸付していました。
そのため、2007年以前から取引をしていた人には、過払い金が発生する可能性があります。
2008年以降は法定金利に見直し済みのため、以降に契約をした人に過払い金は発生しません。
利息制限法の上限金利
借入金額 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 年20%まで |
10万円以上〜100万円未満 | 年18%まで |
100万円以上 | 年15%まで |
これを超える利率で取引していた場合、引き直し計算で借金が減額されたり過払い金が発生します。
引き直し計算の結果どうなるか
- 減額される場合
- 利息をカットし、減額後の元金だけを分割返済することになる
- 過払い金が発生する場合
- 借金がゼロになり、さらに過払い金請求手続きに移行する
引き直し計算については以下の記事でも詳しく解説しています。


具体例|50万円借入時の減額・過払いケース
ケース | 引き直し計算の結果 |
---|---|
借金が20万円に減額された | 20万円を分割で返済 任意整理になる |
借金がゼロになり 過払い金30万円発生 | 30万円を取り戻せる可能性 過払い金請求へ移行 |
まとめ
- 2007年より前のキャッシング取引のみが過払い金・減額の対象
- ショッピング取引では過払い金は発生しない
- 引き直し計算をしてみないと正確な額は分からない
ニコスの過払い金については以下の記事でも詳しく解説しています。




三菱UFJニコスの任意整理手続きの流れ
- ニコスの任意整理の手続きはどのように進められますか?
-
任意整理を依頼されたら、弁護士や司法書士は受任通知という書類をニコスへ送付し、交渉を行っていきます。
依頼者はニコスへの返済を一旦ストップして積立金を行う必要があります。
受任通知〜和解交渉までのプロセス
司法書士・弁護士と相談(面談義務あり)


返済・督促がストップ
- 過去に高金利での取引があれば
- 借金減額や過払い金の確認のために引き直し計算を行う
利息カット・分割条件を決定
元金のみを分割払いになる
依頼から3〜6か月ほどで和解が成立する


依頼者が任意整理中にやるべきこと
ニコスへの支払いを止めても督促は来ない
毎月の積立金を実行(返済能力の証明+費用準備)
積立金ができないと、任意整理ができなくなる可能性がある
任意整理ができない場合は自己破産や個人再生を検討


返済代行の場合は弁護士や司法書士に振り込み
返済代行ではない場合はニコスへ直接振り込むことになる




よくある質問(FAQ)
任意整理をするとニコスから自宅に電話や郵便で連絡が来ますか?
受任通知を出したあとは直接の連絡は止まります。
そのため、家族に秘密のままで手続きができる可能性が高いです。


ニコスのショッピングリボも任意整理できますか?
はい。キャッシング・ショッピングの区別なく任意整理可能です。
任意整理をした後、ニコスに再びカードを作ることはできますか?
基本的に難しいですが、ブラック情報が消えれば再契約できる可能性はあります。
ニコスの任意整理をすると家族カードはどうなりますか?
本会員のカードが解約されると家族カードも使えなくなります。


まとめと司法書士からのアドバイス
- 利息は0%、分割払いの回数は60回以上にできる可能性有
- 2007年以前のキャッシングは過払い金の可能性
- デメリットはカード解約・ブラック情報登録・口座凍結リスク
- 家族や会社に知られずに進められる可能性が高い
司法書士からのアドバイス
ニコスの任意整理には、カード解約やブラックリストの登録などのリスクがある点に注意が必要です。
一方で、利息が0%になり、長期の分割払いに応じてもらえるケースが多いため、大きなメリットがあります。
私がこれまで相談を受けた中でも「もっと早く任意整理をすればよかった」と言われる方は少なくありません。
借金で生活が苦しいと感じたときは、無理に返済を続けるのではなく、一度専門家へご相談ください。
ポイント
- 任意整理は「返済が苦しい時に返済を楽にする手段」である
- ただし、デメリットを理解したうえで、メリットと比較して判断することが大切
- 早めに動けば、選択肢も広がり再建の可能性が高まる