銀行のカードローンの債務整理を司法書士が解説【口座凍結に注意】

当サイトの記事はすべて司法書士三浦永二(東京司法書士会所属、登録番号7300号)が執筆しています。

最近は、消費者金融やクレジットカード会社だけでなく、銀行カードローンやフリーローンの利用が増えています。

そのため「銀行からの借入が返済できない」という相談が増加しています。

しかし消費者金融や信販会社と比べて、銀行の場合は注意点すべき点が多くなります。

銀行借り入れを債務整理する際の注意点・メリット・デメリット・他社との違い・よくある質問まで、司法書士が専門的な視点で詳しく解説します。

目次

銀行カードローン・フリーローンも債務整理の対象

銀行の借入も債務整理をする事はできますか?

銀行からの借入も問題なく債務整理をすることができます。

ただし、銀行からの借入では過払い金が発生することはありません。

銀行カードローンやフリーローンも、任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理手続きが可能です。

ただし、銀行は利息制限法の上限金利を超えないため、消費者金融や信販会社と異なり、過払い金は発生しません。

債務整理の種類
  • 任意整理:利息をカットし、元金のみを分割で返済
  • 個人再生:借金の大幅減額と分割返済
  • 自己破産:返済義務が免除される
任意整理
利息はカットされる
個人再生
借金が減額される
自己破産
借金を支払う必要がなくなる

銀行借入も債務整理が可能ですが、過払い金は発生しません。

どの債務整理が適正かについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

消費者金融・信販会社との違い

  • 消費者金融・信販会社:過払い金が発生するケースあり
  • 銀行:過払い金は発生しない
  • 銀行:口座凍結や相殺のリスクあり

銀行借入の債務整理で必ず押さえたいポイント

銀行を債務整理する場合の注意点を教えてください

銀行の借入を債務整理すると、一1か月~3か月ほどの期間、銀行口座が凍結されます。

凍結した口座に預金残高がある場合は、借金と預金とで相殺されます。

口座凍結と預金残高の相殺

弁護士や司法書士から債務整理手続き開始の通知が銀行に届くと、その銀行の口座は1か月~3か月ほど凍結されます。

この間、預金の引き出しや振込ができなくなり、預金残高と借金が相殺されることになります。

借金残額100万円、預金残高30万円だった場合

100万円-30万円=70万円、相殺後の70万円を債務整理することになります。

複数口座の凍結

同じ銀行で複数の支店の口座を持っている場合、すべての支店の口座が凍結されます。

三菱UFJ銀行でA支店とB支店の口座を持っている場合

三菱UFJ銀行を任意整理すると、A支店とB支店どちらの口座も凍結される。

凍結解除後は、通常どおり口座を利用することができます。

保証会社の影響と注意点

銀行カードローンには保証会社(多くは消費者金融や信販会社)が付きます。

債務整理の手続きを進めると、保証会社が銀行に代わり返済(代位弁済)し、その後は保証会社と返済交渉を行うことになります。

銀行を任意整理しない場合の注意点

任意整理はどの業者を対象にするか自分で選べます。そのため、メリットがなければ銀行は手続きから外すことも可能です。

しかし、銀行カードローンの保証会社が他の借入先と同じだと、保証会社の代位弁済を通じて銀行も任意整理の対象となる場合があります。

三菱UFJ銀行(アコム保証)とアコムから借入がある場合

アコムを任意整理するとアコムが三菱UFJ銀行に代位弁済し、結果的に三菱UFJ銀行も任意整理に含まれることになります。

債務整理前にやっておきたい対策まとめ

リスクを回避する方法
  • 預金残高は通知前に全額引き出す
  • 給与や年金の振込口座は別銀行に変更
  • 公共料金・クレカの引き落とし口座も変更

預金残高と相殺されるため、通常は相談の際に弁護士や司法書士から、預金引き出し後に手続きに着手するかを確認してきます。

引き出せなくなるので、給与や年金については債務整理前に振込先の口座を別銀行へ変更しておきましょう。

公共料金やクレジットカード等の引き落とし口座の場合は、事前に引き落とし口座の変更か、コンビニ払い等に変更する必要があります。

銀行を任意整理する注意点

銀行カードローンを任意整理するメリット・デメリット

銀行を任意整理するメリットはありますか?

消費者金融やクレジットカードと同様に、銀行を任意整理をすると、利息がカットできるというメリットがあります。

メリット

  • 利息のカットで返済総額が減る
  • 毎月の返済額も減る可能性
  • 完済までの期間が短くなる可能性
  • 督促や取り立てがストップする
利息がなくなるメリット
任意整理前
半分が利息の支払い
任意整理後
返済した金額の分だけ元金が減っていく

任意整理については、以下の記事でも詳しく解説しています。

デメリット

  • 信用情報(ブラックリスト)に登録される
  • 元金の減額は原則ない
  • 口座凍結・預金相殺のリスクがある
  • 保証会社経由で他社にも影響が及ぶ場合がある
任意整理中+完済から5年間
ブラックリストに登録される
任意整理中
完済後5年影響が残る

ブラックリストの影響については、以下の記事でも詳しく解説しています。

参考元:信用情報とは-指定信用情報機関のCIC

毎月の返済額が少なくならない可能性がある

銀行カードローンで借入額が多く、毎月の返済額が少額な場合は、任意整理をしても毎月の返済額があまり減らないこともあります。

例えば、120万円を60回払いにすると、月々20,000円の支払いになります。

もし任意整理後の返済負担が重い場合は、個人再生や自己破産も検討が必要です。

毎月の返済額が多くなる場合等は、任意整理では解決が難しいことがあります。

銀行債務整理の流れ

STEP
相談・現状ヒアリング
STEP
返済計画作成・預金引き出し・振込口座変更
STEP
弁護士・司法書士が手続き開始通知
STEP
口座凍結・預金と借金の相殺
STEP
和解交渉・分割返済開始

よくある質問(FAQ)

債務整理で口座が凍結されたら、解除までどれくらいかかりますか?

一般的に1~3か月で解除されますが、預金と借金は相殺されます。

銀行口座に公共料金の自動引き落とし設定がある場合どうすればいいですか?

債務整理手続き前に預金を引き出し、振込・引き落とし口座を変更しておきましょう。

債務整理をすると家族名義の口座は凍結されますか?

債務整理の対象となるのは本人名義の口座のみで、家族名義の口座は原則として凍結されません。

債務整理手続き中に銀行から督促や連絡が来ることはありますか?

基本的には弁護士や司法書士が手続き開始を通知すると、直接の督促は止まります。

まとめ・専門家からのアドバイス

銀行カードローンやフリーローンも債務整理は可能です。

ただし、過払い金が発生しない点や、口座凍結・保証会社のリスクなど、消費者金融や信販会社とは異なる注意点が多くあります。

また、任意整理では毎月の負担額が減らない可能性があります。

その他ブラックリストに載る等のデメリットについては他の業者を債務整理した場合と同様です。

銀行の借入だから債務整理できないということはないので、支払いが厳しくなってきたらまずは専門家へ相談してみましょう。

銀行の債務整理
  • 銀行借入も債務整理ができる
  • 銀行からの借入では過払い金は発生しない
  • 銀行口座の凍結に注意が必要
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