「債務整理をしたいけど、弁護士や司法書士に依頼する費用が払えるか心配」そんな不安から、手続きをためらってしまう方は少なくありません。
そもそも返済が苦しくなった人が債務整理を検討するのですから、多くの弁護士や司法書士は、費用負担に配慮した支払い体制を整えています。
「お金がないから依頼できない」とあきらめる必要はありません。
実際、債務整理の費用は分割払いが可能で、依頼時にまとまったお金を用意する必要はほとんどありません。
また、一定の条件がありますが、経済的に厳しい方は法テラスを利用することで、無料相談や費用の立替制度を受けることも可能です。
任意整理・個人再生・自己破産の債務整理手続きごとの費用の支払い方法と、費用の相場を解説します。
任意整理の費用はどう支払う?【分割払いが基本】
- 任意整理の費用はどのようにして支払うことになりますか?
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任意整理の費用は、分割払いが可能です。
任意整理を弁護士や司法書士に依頼すると、その時点で貸金業者への返済は一時的にストップします。
その期間中に、弁護士や司法書士の報酬を毎月分割して支払うことができます。
「任意整理にかかる費用をあらかじめ一括で用意しておかなければならない」と心配する必要はありません。
依頼直後に返済は一時ストップ
任意整理の費用については、ほとんどの事務所が分割での支払いを受け付けているので、事前に費用を準備しておく必要はありません。
任意整理を弁護士や司法書士に依頼すると、まず貸金業者に「受任通知」が送られます。
これにより、返済や督促は一時的に停止されます。
返済を止めても業者からの督促はありません。
なぜ返済を止めるのか?
借金の金額を正確に確定させるためです。
確定した金額をもとに、弁護士や司法書士が貸金業者と和解交渉を行います。
この返済停止期間中に、弁護士や司法書士の費用を分割で積み立てていくことになります。
積立期間は3〜6ヵ月が目安
任意整理では、和解が成立するまでに通常3〜6ヵ月かかります。
その間に毎月少しずつ費用を支払えば良いため、一括で準備する必要はありません。

任意整理の費用の相場
参考元:債務整理の弁護士報酬のルールについて-日本弁護士連合会
債務整理事件の処理に関する指針の制定について(会長談話)-日本司法書士会連合会
弁護士や司法書士は規定や指針で一定のルールはありますが、基本的に費用は事務所ごとに異なります。
そのため、相場以上に高い費用を請求する事務所もあります。
- 基本報酬=1社あたり5~10万円
- 返済代行=1,000円
返済代行は、任意整理後の返済を弁護士や司法書士事務所に振込み、弁護士や司法書士が貸金業者に代行して返済を行う手続きです。
依頼をする際は事前に費用の内訳を丁寧に確認しましょう。
個人再生と自己破産の費用の支払い方法
- 自己破産や個人再生の費用はどのようにして支払うことになりますか?
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分割払いが可能な事務所なら、貸金業者への返済を止めている間に分割で費用を支払うことができます。
自己破産や個人再生を弁護士・司法書士に依頼すると、「受任通知」が送付されます。
受任通知が送付された後は貸金業者への返済はストップすることになり、返済を止めても督促がくることはありません。
その間に、手続きに必要な書類を準備しながら、費用や裁判所へ支払う実費などを分割で支払っていくという流れになります。
個人再生の費用の相場
- 個人再生の費用の相場はいくらになりますか?
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司法書士なら30万円~45万円ほど、弁護士なら40万円~60万円ほどになります。
個人再生の場合は司法書士については書類作成だけなので、弁護士より司法書士の方が費用は抑え目です。
しかし、司法書士の場合は再生委員が選任されると実費が高くなることがあるので、一概に司法書士のほうが安いとは言えません。
個人再生は債務整理手続きの中でも手続きが複雑なため、費用が高額になります。
司法書士と弁護士で報酬の相場は異なり、司法書士のほうが安い事務所が多いです。
依頼先 | 費用相場 | 住宅ローン特則ありの場合 |
---|---|---|
司法書士 | 約30万〜40万円 | 約35万〜45万円 |
弁護士 | 約40万〜50万円 | 約50万〜60万円 |
上記の報酬とは別に印紙代等の実費が3万円弱ほど、再生委員が選任される場合は再生委員の報酬15万円~25万円ほどが発生します。
弁護士申し立ては再生委員費用が軽減されることも
裁判所によっては弁護士申し立ての場合には再生委員が選任されない、又は選任されても費用が10万円ほど安くなる場合があります。
自己破産の費用の相場
- 自己破産の費用の相場はいくらになりますか?
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司法書士なら25万円~40万円ほど、弁護士なら35万円~55万円ほどになります。
自己破産も個人再生と同様に司法書士はサポート業務だけなので、司法書士の方が費用は抑え目です。
弁護士の方が手続きが終わるまでの期間が短くなったり、管財事件になった場合の予納金が安くなることがあるので、一概に司法書士のほうが安いとは言えません。
自己破産でも、司法書士は裁判所に提出する書類を作成とサポート業務のみになります。
弁護士は全ての手続きを代理人として行うことができます。
自己破産の費用相場 | 同時廃止事件 | 管財事件(財産がある場合) |
---|---|---|
司法書士 | 25~40万円 | 予納金の関係で弁護士のほうが安くなる |
弁護士 | 30~50万円 | 50~80万円 |
司法書士
書類作成や手続きのサポートが中心。
裁判所とのやり取り等は司法書士が行うが、裁判官との面接や免責審尋では本人が出廷して受け答えをする必要あり。
弁護士
手続き全般を弁護士が代理できるため、精神的・実務的な負担が軽減される。
免責審尋は本人の出廷が必要。
弁護士申し立てによる手続きの利点
自己破産では処分する財産がなければ同時廃止事件になり、財産を処分して配当する場合や重大な免責不許可事由があると管財事件になります。
管財事件では予納金が50万円必要なところ、弁護士申し立てにより「少額管財」が適用されれば20万円で済みます。
また、東京地裁では即日面接という制度があるので、弁護士申し立ての場合は手続きにかかる期間が1か月ほど短くなります。
法テラスで費用の立替ができる可能性
費用の捻出が難しい人は、法テラスの民事法律扶助という制度を利用できる場合があります。
- 費用が相場より安くなる
- 弁護士・司法書士費用を法テラスが一時的に立替え
- 立替分は分割でゆっくり返済

参考元:民事法律扶助業務-法テラス

まとめ|費用面で債務整理を諦める必要はありません
- 債務整理の費用はほとんどの事務所で分割払いが可能
- 返済が止まっている間に無理なく支払い可能
- 法テラスの制度で費用を立て替えてもらえる可能性あり
- 弁護士と司法書士には役割と費用に違いがある
- 費用相場を確認し、適正な事務所を選ぶことが大切
費用の支払いが厳しい人でも債務整理を利用できるように制度が整っているので、費用を心配するよりもまずは専門家へ相談すべきでしょう。
ただし、費用は事務所によって高かったり安かったりと差があるので、相場以下の費用の事務所を選択するべきです。