法テラスを利用した債務整理の費用【利用の流れも司法書士が解説】

  • 法テラスを利用して債務整理の費用を抑えるには
  • 費用はいくらなのか
  • 法テラスの利用方法

借金の返済が苦しくなってきたとき、債務整理をするにしても弁護士や司法書士の費用がかかります。

費用は事務所ごとに異なり、高い費用をとられてしまうケースも少なくありません。

元々借金の返済が厳しいから債務整理をするわけですから、費用が捻出できないという人も多いです。

そのような時は法テラス(日本司法支援センター)を利用することをおすすめします。

条件がありますが法テラスを利用して債務整理を行うと、費用を抑えることができる可能性があります。

法テラスを利用して費用を抑えることができる条件と、それぞれの債務整理手続きの費用、法テラスの利用の流れを解説します。

参考元:民事法律扶助業務-法テラス

目次

法テラスとは

法テラスとはなんですか?

法テラスは法律的なトラブルがあった際に、幅広く法的サービスを受けられるように国が設立した法人です。

債務整理の相談もできますし、条件があえば費用の立替もしてくれます。

法テラスは法律関係の問題でどこに相談すればいいのかわからない場合や、費用が捻出できない人などのために政府が設立した法人です。

法的なトラブルに巻き込まれてしまったけど、どこに相談すればいいのかわからない時は、法テラスで相談窓口の案内をしてくれます。

費用の捻出ができない人には法テラスが費用を立て替えてくれる、民事法律扶助という制度があります。

民事法律扶助とは=お金がない人でも相談できる制度

お金がなくても法テラスで債務整理はできますか?

法テラスには民事法律扶助という制度があり、条件があう人は無料で法律相談を受けられ、弁護士や司法書士の費用も法テラスが立て替えてくれます。

民事法律扶助を利用するには月収が一定以下であることと、一定額以上の財産を持っていないことが条件になります。

「民事法律扶助」の条件を満たす人は、下記の手続きの費用を法テラスに立て替えてもらうことができます。

民事法律扶助には下記の3つがあります。

民事法律扶助
  • 法律相談援助
  • 代理援助
  • 書類作成援助

法律相談援助はその名のとおり無料で法律相談を受けられることで、代理援助と書類作成援助は弁護士や司法書士の費用の立替のことです。

それぞれ援助を受けるための条件があります。

民事法律扶助を受けられる条件

下記が無料で法律相談を受けるための条件になります。同じ内容の相談であれば3回まで無料で相談を受けることができます。

法律相談援助の条件
  • 月収が一定額以下であること
  • 保有している現金と預貯金が一定額以下であること
  • いやがらせ目的や権利の濫用、極端に少額な訴訟等でないこと

さらに費用の立替には、無料相談の条件に加えて「勝訴の見込みがないとは言えないこと」という条件も必要になります。

請求額が少額で費用倒れになるようなケースや、相手方の資力が乏しく回収の見込みがない時も勝訴の見込がないことに該当します。

費用の立替の条件
  • 月収が一定額以下であること
  • 保有している現金、預貯金、有価証券、不動産等の資産の価値が一定額以下であること
  • いやがらせや権利の濫用、極端に少額な訴訟等でないこと
  • 勝訴の見込みがないとはいえないこと

月収の条件

月収が一定額以下であることというのは、申込者と配偶者の毎月の手取り金額(賞与含む)が以下の基準になります。

月収の条件 ()内は大都市圏に住んでいる場合の金額です
1人暮らし182,000円(200,200円)
2人家族251,000円(276,100円)
3人家族272,000円(299,200円)
4人家族299,000円(328,900円)
※5人家族以降は1人増えるごとに30,000円(33,000円)追加

家賃や住宅ローンを支払っている場合は以下の範囲内で家賃や住宅ローン分が加算されます。

家賃加算金額 ()内は東京23区に住んでいる場合の金額です
1人暮らし41,000円(53,000円)
2人家族53,000円(68,000円)
3人家族66,000円(85,000円)
4人家族71,000円(92,000円)

保有している財産の条件

現金や預貯金やその他自宅以外の不動産等の財産が、一定以上ある場合にも民事法律扶助を受けることはできません。

下記以上の財産をもっている場合は民事法律扶助を受けることはできません。

保有資産の合計額
1人暮らし180万円
2人家族250万円
3人家族270万円
4人家族300万円

立替金の分割払い

法テラスに立替てもらった費用は原則として契約した日の2ヶ月後から分割で返済をします。

1回の返済額は5000円~10000円程です。

また、生活保護受給中の人と、生活保護受給者と同程度に生活が困難な人は立替金の返済を免除してもらえる可能性があります。

民事法律扶助とは

法テラスの債務整理の費用

法テラスの民事法律扶助を利用すると、債務整理の費用は安くなりますか?

一般的には民事法律扶助を利用したほうが費用は安くなります。

任意整理の費用の相場は3万円~5万円ですが、民事法律扶助を利用すると業者数が1社だけだと42,400円の費用になります。

1社だけではそこまで安くはなく、2社以上を手続きするなら民事法律扶助を利用した方が一般的な相場よりも安くなります。

法テラスで民事法律扶助を利用する際は、費用基準が定められています。

任意整理と個人再生、自己破産についてそれぞれ記載していきます。

個人再生と自己破産は司法書士には代理権がないので、司法書士は書類作成援助のみになります。

個人再生と自己破産は司法書士に書類作成援助を依頼するか、弁護士に代理援助を依頼するかで費用が変わります。

任意整理

任意整理をする貸金業者数(債権者数)に応じて費用が変わります。

民事法律扶助を利用した任意整理の費用
1社43,000円
2社64,500円
3社86,000円
4社108,000円
5社135,000円
6社~10社179,000円
11社~20社206,000円
21社以上233,000円

民事法律扶助を利用せず、任意整理をする際の費用の相場は1社あたり3万円~5万円ほどです。

一般的な任意整理の相場と比べると1社だけの場合はあまり安くはありません。

しかし、任意整理をする業者が2社以上になると一般的な相場よりも費用は低額になっていきます。

個人再生

民事法律扶助利用の個人再生費用については、司法書士と弁護士で費用が異なります。

予納金については立替をしてもらうことはできません。

司法書士に依頼する場合(書類作成援助)
着手金110,000円
実費20,000円
予納金や再生委員への報酬(再生員が選任されない場合もあり)200,000円=250,000円ほど
弁護士に依頼する場合
着手金165,000円~220,000円
実費35,000円
予納金や再生委員への報酬(再生員が選任されない場合もあり)150,000円=200,000円ほど

※個人再生委員が選任されないのであれば33,000円が加算される場合があります。

また、処理が難しい事件については着手金は最大で333,000円になる場合があります。

自己破産

民事法律扶助利用の自己破産費用についても、司法書士と弁護士で費用が異なります。

司法書士に依頼する場合(書類作成援助)
着手金880,000円(債権者が21社以上だと99,000円
実費17,000円
予納金(案件や裁判所により異なる)同時廃止事件なら15,000円ほど、管財事件では20万円50万円ほど
弁護士に依頼する場合
着手金132,000円~187,000円
実費23,000円
予納金(案件や裁判所により異なる)同時廃止事件なら15,000円ほど、管財事件では20万円50万円ほど

生活保護受給者は予納金も法テラスに立替をしてもらうことができます。

生活保護受給者以外は予納金は法テラスに立替をしてもらうことはできません。

民事法律扶助を利用できなくても安い事務所もある

収入が多く民事法律扶助を利用できない時は、通常どおり弁護士や司法書士に債務整理を依頼する方法になります。

費用は事務所ごとに異なるため、なるべく安い事務所を選択するようにするべきです。

特に任意整理なら、民事法律扶助を利用したケースと比較してもあまり変わらない費用に設定している事務所もあります。

法テラスとは

法テラス利用の流れ

法テラスの民事法律扶助を利用するにはどうすればいいですか?

法テラスに電話して専門家を紹介してもらうこともできます。

法テラスと契約している弁護士や司法書士へ直接電話をして、民事法律扶助を利用したいと伝える方法も可能です。

法テラスと契約している事務所かどうかは法テラスがHPで公開おり、後は事務所へ連絡して直接電話で聞いてみるのもいいでしょう。

法テラスを利用するには

近くの法テラスへ電話をして、法テラスに所属している弁護士や司法書士へ依頼するか、紹介してもらうことになります。

または法テラスを通さずに、法テラスと契約している専門家へ直接相談するという方法もあります。

民事法律扶助を利用するには援助の申し込みが必要になります。

法テラス契約の専門家へ依頼をした際は、その専門家を通して援助の申し込みを行います。

民事法律扶助の必要書類

援助申込書を提出することになりますが、その他にも必要な書類があります。

必要書類
  • 給与明細、源泉徴収票、年金証書、生活保護受給証明書等
  • 固定資産評価証明書・固定資産納税通知書
  • 住民票

上記を提出して、民事法律扶助を受けるための条件を満たしているか審査されることになります。

法テラスを利用するには

まとめ

法テラスのまとめ
  • 民事法律扶助を利用すると債務整理の費用が安くなる
  • 民事法律扶助を利用するには収入等の条件がある
  • 民事法律扶助を利用できなくても、費用が安い事務所に依頼をすればあまり変わらない費用になる

法テラスの民事法律扶助を利用して債務整理を行えれば、基本的には費用を安く抑えることができます。

また、立替てもらった費用もゆっくり分割で返済することができます。

民事法律扶助の条件を満たしている人は積極的に法テラスを利用すべきでしょう。

民事法律扶助を利用できない人も、安い費用にしている事務所を選択すれば法テラスを利用した時と同じぐらいの費用で手続きをすることもできます。

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