債務整理中と債務整理後の転職で気を付けたいポイント|司法書士解説

当サイトの記事はすべて司法書士三浦永二(東京司法書士会所属、登録番号7300号)が執筆しています。

「債務整理中に転職しても大丈夫?」「手続き後の転職活動に不利はある?」このような不安を持つ方は多いはずです。

実際、任意整理・個人再生・自己破産のどの方法を選んでも、転職自体が禁止されることはありません

ただし、手続きの種類や状況によっては注意が必要なポイントも存在します。

実際に多くの債務整理相談を受けてきた司法書士が、リアルな事例や現場経験も交えながら、転職や就職活動について詳しく解説します。

初めての方にも分かりやすく、法律用語もやさしく説明していますので、ぜひ参考にしてください。

目次

債務整理中の転職は原則可能|ただし事前相談が重要

債務整理中でも、原則として転職自体が禁止されることはありません。

ただし、「転職後の収入が大きく変わる場合」や「雇用条件の変化」が返済計画や裁判所の判断に影響することもあります。

特に手続きの途中で収入が大きく下がった場合、別の手続きに切り替えが必要になるケースもあります。

債務整理中の転職
  • 転職する場合は必ず弁護士や司法書士に報告するべき。
  • 転職による収入の変化は、返済計画に直結する。
  • 収入が大幅に減った場合、今後の返済方法を専門家と再検討する必要がある。
手続きの種類転職の可否主な注意点・制限
任意整理収入減少は返済計画に影響
個人再生収入減少だと手続き不可の可能性有
自己破産一部職種で資格制限
(破産手続開始~免責まで)

任意整理・自己破産・個人再生の手続きごとに、詳しく解説します。

任意整理中の転職|収入の変化に注意

任意整理中に転職をすることはできますか?

任意整理の手続きを行っていても、転職が制限されることはありません。

ただし、転職によって収入が大幅に下がってしまい、返済が難しい状況になると他の債務整理を検討する必要があります。

そのため、転職をする場合は必ず依頼している弁護士や司法書士へ早めに報告することが重要です。

返済計画は現在の収入をもとに立てられているため、転職により収入が減少すると返済が困難になることがあります。

  • 収入が増える場合:問題ありません。
  • 収入が減る場合:他の債務整理を検討する必要があります。
体験談・アドバイス:

「任意整理中に転職し、年収が下がって返済ができなくなって自己破産に切り替えた」などの事例も実際にあります。

どのような結果になるにせよ、まずは早めの相談が必要になります。

任意整理については以下の記事でも詳しく解説しています。

任意整理中の転職

自己破産中の転職と資格制限

自己破産の手続き中に転職をすることはできますか?

自己破産の手続き中でも、転職ができなくなるということはありません。

ただし自己破産の場合は資格制限があるため、破産手続開始決定から免責までの数か月間は一定の職業には就けないので注意が必要です。

自己破産中でも原則として転職は可能ですが、資格制限に注意が必要です。

  • 「生命保険募集人」「警備員」「宅建士」などの職業には、破産手続き開始から免責決定まで就くことができません。
  • 資格制限がされる期間:同時廃止事件で2~4ヵ月、管財事件の場合は6~12ヵ月ほどです。

資格制限に該当しない職種の場合は、転職の制限はありません。

自己破産については以下の記事でも詳しく解説しています。

個人再生中の転職

個人再生中の転職は「安定収入」が条件

個人再生中に転職することはできますか?

個人再生の申し立ての手続き中でも転職をすることはできます。

しかし、個人再生では安定した収入を得る見込みがあることが条件になります。

転職することで、安定した収入を得る見込みがないと判断されれば、個人再生はできなくなります。

個人再生は「安定した収入が継続的にあること」が認可の条件です。

  • 転職によって、収入が増えて安定する場合:基本的に問題ありません。
  • 転職によって収入が減少、不安定になる場合:個人再生ができなくなることがあります。

収入が大きく減る・不安定になる場合

個人再生前

条件に該当しないと裁判所が判断すれば個人再生をすることはできなくなります。

個人再生後に返済中

返済ができなくなると、再生計画が取り消されれる。

再生計画が取り消されると、減額がなかったことになる。

転職を検討する際は、必ず専門家に状況を説明し、最適な選択肢を相談しましょう。

個人再生については以下の記事でも詳しく解説しています。

個人再生中の転職

債務整理後の転職活動で影響が出るケースは?

債務整理をしたことが転職に影響を与えることはありませんか?

転職の際に債務整理をしたことを申告する必要はないので、転職に影響がでるようなことはありません。

債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)をしたことが、原則として転職活動に不利になることはありません。

面接や履歴書で「債務整理をした事実」を申告する義務もありません。

資格制限と官報

自己破産手続き中は資格制限があるので、「生命保険募集人」「警備員」「宅建士」等の一部の職業では注意が必要です。

また、自己破産・個人再生の場合、氏名が官報(国の公的な広報誌)に掲載されます。

官報を定期的に確認する会社はほとんどありませんが、稀に金融機関や一部の企業では債務整理の事実が知られる可能性があります。

債務整理後の転職

【まとめ】よくある疑問とアドバイス

債務整理中・債務整理後に転職をしても大丈夫ですか?

原則として問題ありません。

ただし、手続き中は収入の変動が手続きや返済計画に影響するため、必ず専門家に相談・報告しましょう。

履歴書や面接で債務整理をした事実は申告必要?

申告をする義務はありませんし、基本的に企業側から聞かれることもありません。

債務整理後、どんな職業でも就けますか?

自己破産の場合で、免責決定まで資格制限がかかる特定職種を除き、ほとんどの職業で問題ありません。

任意整理や個人再生には職業制限はありません。

官報の掲載で転職に支障が出ることはありますか?

官報を日常的に確認している企業はほとんどないため、転職に大きな影響が出ることは稀です。

債務整理中でも転職をすることはできますが、任意整理や個人再生では収入が減ったりすると手続きができなくなる可能性があります。

また、自己破産では職業制限があるため一定の職業には就けない期間があります。

どのような場合でも転職をする際は、依頼をしている弁護士や司法書士へ相談をするべきです。

債務整理後に転職をする際は、債務整理をしたことが影響をあたえることはほとんどありません。

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