- おまとめローンのメリットとデメリット
- 任意整理のメリットとデメリット
- おまとめローンと任意整理どちらが良いのか?
多重債務に苦しんでいる方が返済負担を軽減する方法として、「おまとめローン」と「任意整理」の2つがあります。
どちらを選ぶべきかは、返済能力や今後の見通しによって異なります。
どちらを選ぶべきか迷っている方に向けて、それぞれの特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
参考元:債務の整理をしたいと考えています。どのような方法がありますか?-法テラス
おまとめローンと任意整理の比較
- おまとめローンか任意整理はどちらがいいですか?
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返済が苦しく、少しでも返済を楽にしたいなら任意整理の方がおすすめです。
ただし、任意整理をするとブラックリストに登録されます。
おまとめローンではブラックリストには登録されませんが、利息を支払う必要がある以上、任意整理よりも返済は楽にはなりません。
おまとめローン
複数の借入を1本化し、返済先を1社にまとめるローン。
毎月の返済額や利息の軽減が期待できます。
任意整理
債務整理の一種。
弁護士や司法書士通じて貸金業者と交渉し、将来の利息のカットや返済額の見直しを行います。
比較項目 | おまとめローン | 任意整理 |
---|---|---|
利息 | 発生する(下がる可能性あり) | 原則ゼロになる |
ブラックリスト | 登録されない | 登録される(約5〜7年間) |
毎月の返済額 | 条件次第で少なくなる | 少なくなる可能性が高い |
返済総額 | 利息の分だけ多くなりやすい | 利息カットにより少なくなる |
完済までの期間 | 長くなりやすい | 3〜5年程度の分割が多い |
審査の有無 | 審査あり | 審査なし |
おまとめローンと任意整理では、任意整理のほうが利息を免除してもらえるので毎月の返済負担を減らし、はやく完済をすることができます。
しかし、任意整理をするとブラックリストに登録されます。
ブラックリストを懸念しておまとめローンを選ぶ人もいますが、おまとめローンでは利息が発生しますし、完済までの期間も長くなります。
おまとめローンを組んだけど、その後に返済が苦しくなって結局後々に任意整理をすることになる人もいます。
任意整理をしても返済ができないようであれば他の債務整理、個人再生や自己破産をするべきです。


おまとめローンのメリット
- おまとめローンを組むメリットを教えてください
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おまとめローンを組んで借金を1つにすることで通常は利息も下がり、それに伴って毎月の返済金額が減る可能性があります。
借金を一本化できれば、返済先も1つになるので管理も楽になります。
債務整理するとブラックリストに登録されますが、おまとめローンではブラックリストには登録されません。
- 返済先が減り管理が楽になる
- 利息が下げられる可能性がある
- 月々の返済額が減る
- ブラックリストは関係なし
- 担保、保証人がついていても問題なし
返済先が1社になり管理が簡単に
複数の会社からお金を借りていると、それぞれの会社ごとに返済日や金額が違い、管理がとても大変になります。
「どこにいつ返すか」を忘れないようにするだけでも手間がかかりますし、うっかり遅れると延滞になるリスクもあります。
さらに、会社によっては返済のたびに「振込手数料」や「ATM手数料」がかかることがあります。
これが何社分もあると、毎月の手数料だけで数千円になることもあります。
おまとめローンで借金を1社にまとめれば、返済日も月1回だけになり、手数料も最小限に抑えられるのが大きなメリットです。
金利が下がる可能性がある
利息制限法により、借入総額が大きくなると金利の上限が下がります。
利息制限法の金利の上限 | |
---|---|
10万円未満の借入 | 20%まで |
10万円以上~100万円未満の借入 | 18%まで |
100万円以上の借入 | 15%まで |
100万円以下の金額を数社から18%の利息で借りているよりも、1社から100万円以上借りた方が利息の上限は15%になるため利息は下がります。
50万円を3社から借りている場合
合計で150万円を借りていますが、それぞれが「100万円未満の借入」なので、利息の上限は18%になります。
一方で、おまとめローンで1社から100万円以上をまとめて借りた場合は、上限利率が15%になります。
つまり、同じ金額を借りていても、借入先が多いと利息が高くなりやすく、まとめた方が金利が下がる可能性があるということです。
この差が、毎月の返済額や総支払額に大きな影響を与えることもあります。
利息制限法の上限よりもさらに低い利息の商品も多数あります。
毎月の返済額が減ることがある
おまとめローンで利率が下がり、さらに返済期間を長めに設定できると、毎月の返済額を抑えられる可能性が高くなります。
- 高い金利+短い返済期間 ⇒ 月々の負担が大きい
- 低い金利+長めの返済期間 ⇒ 月々の支払いが軽くなる
このように、金利の見直しと返済スケジュールの調整によって、家計への圧迫を和らげる効果が期待できるのです。
ブラックリストには載らない
債務整理では信用情報機関に事故情報が記載され、ブラックリストに登録されます。
担保や保証人が付いている借金にも対応可能
保証人を付けている借金を債務整理をすると保証人に請求が行きますし、担保が付いていると担保物件が差押えされてしまいます。
これに対して、おまとめローンは保証人や担保が付いている借金をおまとめローンで完済するものです。

おまとめローンのデメリット
- 任意整理と比較しておまとめローンのデメリットを教えてください
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おまとめローンは審査が厳しいので、希望をしてもおまとめローンが組めないこともあります。
また、おまとめローンを組んで完済した会社から、再度借りてしまう人が多いのもデメリットと言えます。
任意整理は利息が免除される分、毎月の返済額や完済までの期間等、返済が楽になる点では任意整理の方がメリットが大きいです。
- 審査があるのでおまとめローンを組めないことがある
- 利息があるので任意整理と比べ返済額は多い
- 完済した業者から再度借りてしまう恐れ
- おまとめローンを組んだけど、結局返済ができなくなり債務整理をする人は多い
審査に通らないことがある
金融機関は申込者の信用情報(これまでの返済履歴や延滞歴など)や、収入の安定性・借入額に対する返済能力をチェックします。
おまとめローンを申し込んだからといって、必ずしも審査に通るとは限りません。
任意整理と比べて返済額は多くなる
おまとめローンでは利率が低い商品が多いですが、それでも任意整理のように利息が0%になるものではありません。
たとえば、100万円を借りて利息が年15%かかると、年間に15万円もの利息を支払うことになります。
一方、任意整理では「元金」だけを分割で返せばよくなるため、最終的に支払う金額はおまとめローンよりも少なくなるケースが多いです。
完済した会社から借入をしてしまう
おまとめローンを使って借金を完済しても、そのカードを解約しなければ、再びATMなどから借りられる状態が続きます。
そうなると、「ちょっとだけ」のつもりで再び借金を繰り返し、多重債務に逆戻りするリスクも出てきます。
任意整理の場合は、任意整理をしたカードは自動で解約になります。
おまとめローンでは返済が楽にならない人もいる
ブラックリストに登録されることを嫌い、その場しのぎでおまとめローンを組む人もいます。
最初は「これでなんとかなる」と思っておまとめを組んだものの、返済ができなくなり、後から債務整理に踏み切る人も少なくありません。
おまとめローンは借金を減らすものではないため、返す力が足りなければ根本解決にはならないのです。

任意整理のメリット
- おまとめローンと比較した任意整理のメリットを教えてください
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おまとめローンでは利息が低くなる可能性がありますが、0%になることはありません。
任意整理は利息を0%にして、元金だけを3年~5年ほどで支払って完済を目指す手続きです。
任意整理をすると完済までに支払う金額が少なくなり、期間も短くなり、毎月の返済額も少なくできる可能性があります。
利息がかからなくなるので返済総額が減る
任意整理をすると、将来的に発生する予定だった利息をゼロにできることがほとんどです。
これまでのように「元金+利息」を支払うのではなく、借りた元本だけを返済すればよくなります。
そのため、完済までに支払う金額全体が少なくなり、家計への負担がぐっと軽くなるのです。
100万円の借金に対して年18%の利息がかかっていた人は、任意整理をすると数十万円以上の利息をカットできる可能性もあります。
月々の支払い額を無理のない範囲に調整できる
任意整理では3〜5年程度の分割払いが基本で、長期の分割払いになれば毎月の返済額が少なくなる可能性があります。
「毎月5万円の返済は厳しい」という人も、月2〜3万円まで負担を抑えられれば、完済の見通しが立ちやすくなります。
- 毎月の返済金額が下がる可能性がある
- 完済までの返済総額が減る
- 支払った分だけ元金が減るので完済までの期間がはやくなる可能性がある

保証人や担保は求められない
任意整理では新たな保証人や担保を求められることはありません。
保証人なし、担保なしで任意整理を行うことができます。
任意整理をした場合としない場合で比較
任意整理をせずに返済を行っていくのと、任意整理を行ったケースで比較します。
任意整理をしないで支払っていくと
200万円を利息15%で借り入れ、毎月45,000円を返済
200万円を利息15%で借りると、毎月利息の支払いだけで25,000円かかるため、毎月45,000円の支払いでは半分以上が利息の返済になります。
任意整理をしない場合 | |
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完済までに支払う利息の総額 | 93万円以上 |
完済までにかかる期間 | 5年5ヵ月 |
毎月の返済額 | 45,000円 |
任意整理をした場合
200万円の借り入れを利息0%、60回の分割払いになると
借入額を分割払いの回数で割ると毎月の返済額が算出できます。
任意整理をすると | |
---|---|
完済までに支払う利息の総額 | 0円 |
完済までにかかる期間 | 5年 |
毎月の返済額 | 33,000円 |
任意整理前と後で比較
任意整理前 | 任意整理後 | |
---|---|---|
完済までに支払う利息の総額 | 93万円以上 | 0円 |
完済までにかかる期間 | 5年5ヵ月 | 5年 |
毎月の返済額 | 45,000円 | 33,000円 |

任意整理のデメリット
- 任意整理のデメリットを教えてください
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任意整理の1番のデメリットはブラックリストに登録されることです。
ブラックリストの影響は任意整理後に完済してから5年経てばなくなります。
ブラックリストに載る
任意整理を行えば信用情報機関にその旨が登録され、いわゆるブラックリストに載ります。
ブラックリストに登録されている間は、お金を借りたりローンを組んだり、クレジットカードを持つことは難しくなります。

担保や保証人がついていると問題になる
担保がある場合
自宅や車などを担保にしている借金を任意整理すると、貸金業者がその担保を「回収(=売却)」しに来る可能性があります。
任意整理をしたことで、担保にしていた家や車を手放さなければならなくなるリスクがあります。
保証人がいる場合
借金に保証人がついていると、任意整理をしてもその効力は本人にしか及びません。
その結果、貸金業者は保証人に対して「代わりに払ってください」と請求してくる可能性が高いです。
- ブラックリストに載る
- 担保、保証人がついている時は問題がある
どちらが良い?任意整理とおまとめローンの選び方
「どちらが良いか」は、あなたの返済能力や今後の生活設計によって異なります。
任意整理が向いている人
- 毎月の返済が厳しく、今後も返済の見込みが立たない
- 利息を払う余裕がなく、元金だけの返済にしたい
- ブラックリストへの登録よりも、生活再建を優先したい
おまとめローンが向いている人
- 安定した収入があり、返済を続けていける見込みがある
- ブラックリストに載りたくない
- 借入件数が多く、借金の管理をシンプルにしたい
おまとめローンで完済したら過払い金の有無を確認しよう
- おまとめローンをした後にすることはありますか?
-
長期間にわたり借入をしていた場合や、過去に高い利率で返済していた方は過払い金が発生している可能性があります。
過払い金が戻ってくれば、おまとめローンの返済に充てることもできるので必ず確認すべきです。
過払い金の対象になる条件とは?
「過払い金があるかどうか」は、過去の利率と法律で定められた上限利率との比較で判断できます。
利息制限法の金利の上限 | |
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10万円未満の借入 | 20%まで |
10万円以上~100万円未満の借入 | 18%まで |
100万円以上の借入 | 15%まで |
上記より高い利息で取引を行っていると過払い金は発生します。
そのため、2008年以降に借り始めた人は取引の当初から法律の制限内の利息のため、過払い金が発生していないことが多いです。
なお、完済後の過払い金請求ではブラックリスト(信用情報機関への事故情報登録)には載らないので、安心して請求できます。


おまとめローンや任意整理でも返済が難しい場合の対処法
- おまとめローンや任意整理をしても返済ができない場合はどうすればいいですか?
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おまとめローンや任意整理をしても返済が難しい場合、個人再生や自己破産といった他の債務整理手続きを検討する必要があります。
個人再生なら借金を減額してもらって、減額後の借金を分割で支払っていくことになります。
自己破産では借金は帳消しになるので借金の返済をする必要がなくなります。
参考:個人再生-東京弁護士会
おまとめローンや任意整理をしても返済ができないのであれば、個人再生や自己破産を検討する必要があります。
個人再生とは?
個人再生では借金が減額されて、減額した借金を3年=36回の分割で返済していくことができます。
個人再生で減額される金額 | |
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1500万円未満の借金 | 借金額の5分の1(減額後の金額が100万円未満の場合は100万円) |
1500万円以上3000万円未満の借金 | 300万円 |
3000万円以上5000万円未満の借金 | 借金額の10分の1 |
財産がある場合は、減額後の借金と、自己破産したときに財産を売って得られる金額(=清算価値)を比べて、 高いほうの金額を3年(最長5年)で分割して返済することになります(清算価値保障の原則)。 |
借金の総額が300万円の場合は100万円に減額され、借金の総額が600万円の場合は120万円に減額されます。
しかし、200万円の価値がある車があると、200万円までしか減額されないことになります。
自己破産とは?
自己破産を行うと借金の支払いを免除してもらえるので、借金の支払いをする必要がなくなります。
ただし、自己破産では一定の財産(不動産や車等、高額な資産)は処分の対象になるため、資産のある方は注意が必要です。


おまとめローンと任意整理の判断基準
おまとめローンが向いている人
- 安定した収入があり、返済を続けていける見込みがある
- ブラックリストへの影響を避けたい
- 借入件数が多く、借金の管理をシンプルにしたい
任意整理が向いている人
- 毎月の返済が厳しく、今後も返済の見込みが立たない
- 利息を払う余裕がなく、元金だけの返済にしたい
- ブラックリストへの登録よりも、生活再建を優先したい
どちらでも返済が厳しい人
- 個人再生:借金を大幅に減らし、分割で返済できる
- 自己破産:すべての借金が免除される代わりに財産を手放す可能性あり
任意整理の方が返済が楽になる可能性が高いですが、任意整理ではブラックリストに登録されます。
おまとめローンではブラックリストに登録されません。
任意整理をするほどではなく、おまとめローンで返済ができる人は任意整理をしなくても良いでしょう。
おまとめローンでは返済が難しい人は任意整理を検討するべきです。
比較項目 | おまとめローン | 任意整理 |
---|---|---|
利息 | 発生する(下がる可能性あり) | 原則ゼロになる |
ブラックリスト | 登録されない | 登録される(約5〜7年間) |
毎月の返済額 | 条件次第で少なくなる | 少なくなる可能性が高い |
返済総額 | 利息の分だけ多くなりやすい | 利息カットにより少なくなる |
完済までの期間 | 長くなりやすい | 3〜5年程度の分割が多い |
審査の有無 | 審査あり | 審査なし |