- 任意整理がおすすめ
- 毎月の返済を確実に軽くしたい
- 延滞や督促がある
- 今のままでは返済がもたない
- おまとめローンがおすすめ
- 信用情報(ブラック登録)を避けたい
- 延滞なく返済継続できる
多重債務に苦しんでいる方が返済負担を軽減する方法として、「おまとめローン」と「任意整理」の2つがあります。
どちらを選ぶべきかは、返済能力や今後の見通しによって異なります。
どちらを選ぶべきか迷っている方に向けて、それぞれの特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
参考元:債務整理-東京司法書士会
任意整理とおまとめローンどっち?結論と早見表
- おまとめローンか任意整理はどちらがいいですか?
-
返済が苦しく、少しでも返済を楽にしたいなら任意整理の方がおすすめです。
ただし、任意整理をすると事故情報(いわゆるブラックリスト)に登録されます。
おまとめローンではブラックリストには登録されませんが、利息を支払う必要がある以上、任意整理よりも返済は楽にはなりません。
- おまとめローン
- 複数の借入を1本化し、返済先を1社にまとめるローン
- 毎月の返済額や利息の軽減が期待できる
- 任意整理
- 債務整理の一種
- 貸金業者と交渉し利息のカットや返済額の見直しを行う
| おまとめローン | 任意整理 | |
|---|---|---|
| 利息 | 発生する 下がる可能性あり | 原則ゼロになる |
| ブラックリスト | 登録されない | 登録される |
| 毎月の返済額 | 条件次第で少なくなる | 少なくなる可能性が高い |
| 返済総額 | 利息の分だけ多くなりやすい | 利息カットで少なくなる |
| 完済までの期間 | 長くなりやすい | 3〜5年程度の分割が多い |
| 審査の有無 | 審査あり | 審査なし |
ブラックリストの影響については以下の記事でも詳しく解説しています。

おまとめローンの返済と任意整理での返済を比較
借金総額180万円で比較
おまとめローン(年10%・60回払い)
- 月額の目安:約38,300円
- 総返済額の目安:約2,298,000円
- 元金180万+利息約49.8万
- 審査:必要
- 信用情報:影響なし
任意整理(利息0%・60回払い)
- 月額の目安:180万円÷60回=30,000円
- 総返済額の目安:180万円
- 元金180万・利息0円
- 審査:不要
- 信用情報:事故情報登録あり
※上記はあくまで概算の一例。実際の和解条件・回数は債権者や状況で変動。

条件別:任意整理が向く人とおまとめが向く人
「どちらが良いか」は、あなたの返済能力や今後の生活設計によって異なります。
任意整理が向いている人
- 毎月の返済が厳しく、今後も返済の見込みが立たない
- 毎月の返済額を下げて家計を立て直したい
- ブラックリストへの登録よりも、生活再建を優先したい
体験談:任意整理を選んだケース
50代 女性どうしても払えなくなり、督促の電話も精神的につらかったです。司法書士に任意整理をお願いして、これなら完済できると前向きになれました。
おまとめローンが向いている人
- 延滞なく支払いできていて今後も継続できる見込みがある
- 審査に通る見込みがある
- 安定収入・勤続年数・信用状況が良好
- ブラックリストに載りたくない
- 借入件数が多く、借金の管理をシンプルにしたい
おまとめローンのメリット
- おまとめローンを組むメリットを教えてください
-
おまとめローンを組んで借金を1つにすることで通常は利息も下がり、それに伴って毎月の返済金額が減る可能性があります。
借金を一本化できれば、返済先も1つになるので管理も楽になります。
債務整理するとブラックリストに登録されますが、おまとめローンではブラックリストには登録されません。
- 返済先が減り管理が楽になる
- 手数料が減る
- 利息が下げられる可能性がある
- 月々の返済額が減る可能性がある
- おまとめローンそのものでは事故情報は登録されない
- 延滞等があれば事故情報の対象になる
- 担保、保証人がついていても問題なし
返済先が1社になり管理が簡単に
- 複数の会社からお金を借りていると
- それぞれの会社ごとに返済日や金額が異なり管理が複雑になる
- 1社でも返済が遅れると延滞になるリスクもある
手数料が1社分で済む
- 会社によっては返済のたびに「振込手数料」や「ATM手数料」がかかる
- 何社もあると、毎月の手数料だけで数千円になることもある
おまとめローンで借金を1社にまとめれば、返済日も月1回だけになり、手数料も最小限に抑えられるのが大きなメリットです。
金利が下がる可能性がある
利息制限法により、借入総額が大きくなると金利の上限が下がります。
100万円以下の金額を数社から18%の利息で借りているよりも、1社から100万円以上借りた方が利息の上限は15%になるため利息は下がります。
| 利息制限法の金利の上限 | |
|---|---|
| 10万円未満の借入 | 20%まで |
| 10万円以上~100万円未満の借入 | 18%まで |
| 100万円以上の借入 | 15%まで |
50万円を3社から借りている場合
- 合計で150万円を借りているが、それぞれが「100万円未満の借入」なので、利息の上限は18%
- おまとめローンで1社から100万円以上をまとめて借りた場合は、上限利率が15%になる
つまり、同じ金額を借りていても、借入先が多いと利息が高くなりやすく、まとめた方が金利が下がる可能性があるということです。
※おまとめローンによってはさらに利率が安い商品もあります。
毎月の返済額が減ることがある
おまとめローンで利率が下がり、さらに返済期間を長めに設定できると、毎月の返済額を抑えられる可能性が高くなります。
- 高い金利+短い返済期間
- 月々の負担が大きい
- 低い金利+長めの返済期間
- 月々の支払いが軽くなる
このように、金利の見直しと返済スケジュールの調整によって、家計への圧迫を和らげる効果が期待できます。
ブラックリストには載らない
債務整理では信用情報機関に事故情報が記載され、ブラックリストに登録されます。
担保や保証人が付いている借金にも対応可能
- 保証人を付けている借金を債務整理をすると保証人に請求が行く
- 担保が付いている借金を債務整理をすると担保物件が差押えされる
これに対して、おまとめローンは保証人や担保が付いている借金をおまとめローンで完済するものです。


おまとめローンのデメリット
- 任意整理と比較しておまとめローンのデメリットを教えてください
-
おまとめローンは審査が厳しいので、希望をしてもおまとめローンが組めないこともあります。
また、おまとめローンを組んで完済した会社から、再度借りてしまう人が多いのもデメリットと言えます。
任意整理は利息が免除される分、毎月の返済額や完済までの期間等、返済が楽になる点では任意整理の方がメリットが大きいです。
- 審査があるのでおまとめローンを組めないことがある
- 利息があるので任意整理と比べ返済額は多い
- 完済した業者から再度借りてしまう恐れ
- おまとめローンを組んだけど、結局返済ができなくなり債務整理をする人は多い
審査に通らないことがある
金融機関は申込者の信用情報(これまでの返済履歴や延滞歴など)や、収入の安定性・借入額に対する返済能力をチェックします。
おまとめローンを申し込んだからといって、必ずしも審査に通るとは限りません。
体験談:審査に落ちて任意整理に切り替えたケース



おまとめローンに申し込みましたが、審査に落ちました。仕方なく任意整理を選びましたが、返済額が大きく減ったので結果的には良かったと思います。
任意整理と比べて返済額は多くなる
- おまとめローンは一般的に金利が低めに設定されている
- しかし、任意整理のように将来利息が0%になるわけではない
- 100万円を年15%で借りた場合
- 1年間で15万円の利息を支払う必要がある
- 仮に月額返済は下がっても総返済額は利息分だけ膨らむ
- そのため、返済が長期化すると完済までの負担は増える
任意整理では「元金」だけを分割で返せばよくなるため、最終的に支払う金額はおまとめローンよりも少なくなるケースが多いです。
完済した会社から借入をしてしまう
- おまとめローンで借金を完済しても、カードを解約しなければ再び利用可能な状態が残る
- ATMなどから簡単に借りられるため、少しだけのつもりで借金を繰り返す危険がある
- 結果として多重債務に逆戻りするリスクが生じる
そうならないためにも、完済したらすぐに使わないカードは解約することが大切です。
任意整理の場合は、任意整理をしたカードは自動で解約になります。
おまとめローンでは返済が楽にならない人もいる
ブラックリストに登録されることを嫌い、その場しのぎでおまとめローンを組む人もいます。
最初は「これでなんとかなる」と思っておまとめを組んだものの、返済ができなくなり、後から債務整理に踏み切る人も少なくありません。


任意整理のメリット
- おまとめローンと比較した任意整理のメリットを教えてください
-
おまとめローンでは利息が低くなる可能性がありますが、0%になることはありません。
任意整理は利息を0%にして、元金だけを3年~5年ほどで支払って完済を目指す手続きです。
任意整理をすると完済までに支払う金額が少なくなり、期間も短くなり、毎月の返済額も少なくできる可能性があります。
利息がかからなくなるので返済総額が減る
- 任意整理をすると、利息はゼロになる可能性がある
- 「元金+利息」を支払うのではなく、借りた元本だけを返済すればよくなる
- 完済までに支払う総額が減り、家計への負担が大きく軽減される
100万円の借金に対して年18%の利息がかかっていた人は、任意整理をすると数十万円以上の利息をカットできる可能性もあります。
月々の支払い額を無理のない範囲に調整できる
- 任意整理では、基本的に3〜5年程度の分割払いで返済する
- 分割期間を長くすれば、毎月の返済額を少なく抑えられる可能性がある
任意整理の分割返済シミュレーション(元金100万円の場合)
| 分割年数 | 回数(目安) | 月々の返済額 |
|---|---|---|
| 3年 | 36回 | 約27,800円 |
| 4年 | 48回 | 約20,800円 |
| 5年 | 60回 | 約16,700円 |
- 毎月の返済金額が下がる可能性がある
- 完済までの返済総額が減る
- 支払った分だけ元金が減るので完済までの期間がはやくなる可能性がある
任意整理については以下の記事でも詳しく解説しています。


保証人や担保は求められない
任意整理では新たな保証人や担保を求められることはありません。
保証人なし、担保なしで任意整理を行うことができます。


任意整理のデメリット
- 任意整理のデメリットを教えてください
-
任意整理の1番のデメリットはブラックリストに登録されることです。
任意整理の事故情報は、一般に契約終了(完済)から概ね5年で削除されます。
ブラックリストに載る
任意整理を行えば信用情報機関にその旨が登録され、いわゆるブラックリストに載ります。
ブラックリストに登録されている間は、お金を借りたりローンを組んだり、クレジットカードを持つことは難しくなります。
体験談:ブラック中は頭金を貯める期間にした



任意整理後はブラックリストの影響でしばらく審査に通らないと聞いたので、その間は住宅ローンの頭金を貯める期間にすることにしました。
ブラックリストについては以下の記事でも詳しく解説しています。


担保や保証人がついていると問題になる
担保がある場合
自宅や車などを担保にしている借金を任意整理すると、貸金業者がその担保を「回収(=売却)」しに来る可能性があります。
任意整理をしたことで、担保にしていた家や車を手放さなければならなくなるリスクがあります。
不動産や自動車については以下の記事でも詳しく解説しています。




保証人がいる場合
借金に保証人がついていると、任意整理をしてもその効力は本人にしか及びません。
その結果、貸金業者は保証人に対して「代わりに払ってください」と請求してくる可能性が高いです。
保証人については以下の記事でも詳しく解説しています。


おまとめローンで完済したら過払い金の有無を確認しよう
- おまとめローンをした後にすることはありますか?
-
長期間にわたり借入をしていた場合や、過去に高い利率で返済していた方は過払い金が発生している可能性があります。
過払い金が戻ってくれば、おまとめローンの返済に充てることもできるので必ず確認すべきです。
過払い金の対象になる条件とは?
- 法律よりも高い利息で取引をしていた場合は「過払い金」が発生する
- 多くの貸金業者は2007年の途中に金利を見直している
- 2007年以前から取引があると過払い金は発生しやすい
- 2008年以降に新たに借り始めた人は
- 取引当初から法律の範囲内の利率であり過払い金が発生しないケースが多い
「過払い金があるかどうか」は、過去の利率と法律で定められた上限利率との比較で判断できます。
| 利息制限法の金利の上限 | |
|---|---|
| 10万円未満の借入 | 20%まで |
| 10万円以上~100万円未満の借入 | 18%まで |
| 100万円以上の借入 | 15%まで |
なお、完済後の過払い金請求ではブラックリスト(信用情報機関への事故情報登録)には載らないので、安心して請求できます。
過払い金については以下の記事でも詳しく解説しています。




おまとめローンや任意整理でも返済が難しい場合の対処法
- おまとめローンや任意整理をしても返済ができない場合はどうすればいいですか?
-
おまとめローンや任意整理をしても返済が難しい場合、個人再生や自己破産といった他の債務整理手続きを検討する必要があります。
個人再生なら借金を減額してもらって、減額後の借金を分割で支払っていくことになります。
自己破産では借金は帳消しになるので借金の返済をする必要がなくなります。
参考:個人再生-東京弁護士会
おまとめローンや任意整理をしても返済ができないのであれば、個人再生や自己破産を検討する必要があります。
個人再生とは?
個人再生では借金が減額されて、減額した借金を3年=36回の分割で返済していくことができます。
個人再生で減額される金額の目安
- 借金が1,500万円未満の場合
- 借金額の5分の1
- ただし減額後の金額が100万円未満になる場合は100万円
- 借金が1,500万円以上3,000万円未満の場合
- 一律で300万円
- 借金が3,000万円以上5,000万円未満の場合
- 借金額の10分の1
- 財産がある場合は
- 「減額後の借金」と「自己破産で財産を処分して得られる金額(清算価値)」を比較
- どちらか高い方の金額を、原則3年(最長5年)で分割して返済する
借金の総額が300万円の場合は100万円に減額され、借金の総額が600万円の場合は120万円に減額されます。
しかし、200万円の価値がある車があると、200万円までしか減額されないことになります。
個人再生については以下の記事でも詳しく解説しています。
自己破産とは?
自己破産を行うと借金の支払いを免除してもらえるので、借金の支払いをする必要がなくなります。
ただし、自己破産では一定の財産(不動産や車等、高額な資産)は処分の対象になるため、資産のある方は注意が必要です。
自己破産については以下の記事でも詳しく解説しています。


よくある質問
任意整理とおまとめローン、どっちが有利?
毎月の返済を楽にしたいなら任意整理が有利です。一方で、信用情報(いわゆるブラックリスト)に載りたくないならおまとめローンの方が有利です。
おまとめローンの審査に落ちたらどうすればいい?
審査に通らなかった場合で、返済が苦しい状況なら任意整理を検討すべきです。
任意整理をしても難しいくらい借金が厳しい場合は?
収入や資産、家族の状況を踏まえて、個人再生や自己破産といった方法を検討すべきです。
将来、住宅ローンを組みたいと考えている場合は?
ブラックリストに載りたくないならおまとめローンがおすすめです。任意整理を選んだ場合でも、信用情報の登録は一定期間で消えます。
まとめ|任意整理とおまとめローン、どっちが自分に合うか?
- 返済額を確実に減らしたい・総額を抑えたい
- 任意整理がおすすめ
- ブラックリストに載らずに返済を続けたい
- おまとめローンがおすすめ
- 延滞や審査の可否、将来の住宅ローンの予定などによって選ぶべき方法は変わる
- どちらも難しいほど状況が厳しい場合は、個人再生や自己破産といった再スタートの選択肢もある
つまり、「返済の軽さ」か「信用情報の維持」か、どちらを優先するかが最大の分かれ道です。
司法書士からのアドバイス
「おまとめローン」と「任意整理」は、一概にどちらが正解と言えないことが多いです。
おまとめローンは審査が通らなければ利用できず、借り換え後に再び借金を重ねてしまう人も少なくありません。
任意整理はブラックリストに登録されるデメリットはあるものの、利息をカットして返済総額を大きく減らせる効果があります。
実務の現場では「おまとめに挑戦したけれど審査落ち→任意整理を選択」というケースも多いのが現実です。
判断に迷う場合は、早めに専門家へ相談してみてください。状況を客観的に整理し、最も生活再建に合った方法を一緒に考えられます。


