「債務整理」と聞いて、任意整理や自己破産だけをイメージする方が多いかもしれません。
しかし実は、“個人再生”という選択肢があり、多くの方の再出発を支えています。
個人再生は、「任意整理では支払いができそうにない」「マイホームを残したい」という方が選択すべき制度です。詳しく解説していきます。
参考:個人再生-東京弁護士会
そもそも個人再生とは?人生リスタートのための切り札
- 個人再生はどのような手続きなんですか?
-
借金の金額により、5分の1ほどまで減額してもらえる手続きです。
減額後の借金は原則3年間で支払うことになるので、36回の分割払いで返済することになります。
条件を満たせば住宅ローンは個人再生の手続きから除外して、住宅ローン以外の借金だけを個人再生することもできます。
個人再生は「任意整理と自己破産の中間的な救済策」。
借金の総額が大きく任意整理では返済が困難、しかし自己破産はできない、そんな人を助ける法的手続きです。
【比較でわかる】個人再生・任意整理・自己破産の違い
手続き | 借金の減額 | 住宅ローンの扱い |
---|---|---|
個人再生 | 約5分の1 | 除外できる |
任意整理 | 利息のみ減額 | 除外できる |
自己破産 | 全額免除 | 処分される |
個人再生のメリット
- 借金が減額される
- 減額後の借金は3年間の分割払い(特例で5年払いも可能性有)
- 毎月の返済額が少なくなる
- 住宅ローンは除外し、マイホームを守れる
体験談:住宅ローンを残して生活再建

最初は自己破産しか無理だと思っていましたが、個人再生なら家が守れると知りました。家族と暮らし続けられることに本当に感謝しています。


個人再生のデメリット
- 個人再生のデメリットを教えてください
-
債務整理全般に言えることですが、信用情報機関に事故情報が登録されて、ブラックリストに載ることです。
また、個人再生をすると官報に載りますが、官報を見られることほとんどないので、あまりデメリットにはならないでしょう。
ブラックリストに登録される
個人再生でブラックリストに登録される期間は、完済から5年及び登録から7年です。
個人再生は基本的に3年間の分割払いになるので、3年+完済後5年で8年登録が残ります。
ブラックリストについては以下の記事でも詳しく解説しています。


体験談:ブラックリストの不安と実際の生活



ブラックリストは思っていたほど生活に大きな影響はありませんでした。クレジットカードは使えなくなりましたが、デビットカードや現金で充分生活できています。
デビットカードについては以下の記事でも詳しく解説しています。


官報に載る
個人再生をすると「官報」に載りますが、官報を見ている人というのは相当限られます。
官報を知っている人のほうが少ないので、ほとんどの人にとってはデメリットとは言えないかもしれません。
小規模個人再生と給与所得者再生の違い
- 小規模個人再生…債権者の過半数同意が必要。借金額・財産価値に応じた減額。
- 給与所得者再生…同意不要。借金額・財産価値・可処分所得に応じた減額。
小規模個人再生
- 1500万円未満の借金=借金額の5分の1(減額後の金額が100万円未満の場合は100万円)
- 1500万円以上3000万円未満の借金=300万円
- 3000万円以上5000万円未満の借金=借金額の10分の1
上記の減額した金額と、財産の金額(清算価値)を比べて、高いほうの金額を原則3年分割払いで支払う手続き。
生産価値保障の原則
清算価値とは=個人再生の減額後の金額は、保有資産の売却額を下回ることはできないという制度です。
借金が500万円、売却査定額150万円の自動車を所有している場合
借金が500万円なら、通常は100万円まで減額されます。
しかし、減額後の100万円より自動車の150万円のほうが高いので、150万円を3年間で分割返済することになります。
- 減額後の金額
- 財産の金額
上記を比較して、高いほうの金額を分割返済することになる。
債権者の同意が必要
小規模個人再生の場合は、債権者の反対があると個人再生ができない可能性があります。
- 債権者の過半数が個人再生に反対した
- 反対した債権者の債権額が借金総額の過半数を超えている
この「債権者の同意」は小規模個人再生だけに必要で、給与所得者再生では不要です。
もし反対しそうな債権者がいる場合は、給与所得者再生を検討しましょう。
給与所得者再生の場合
給与所得者再生では、小規模個人再生の条件に加えて、「可処分所得の2年分」も返済額の基準になります。
可処分所得とは、給料から税金や社会保険料、最低限度の生活費を引いた残りのお金のことです。
最低限度の生活費は、住んでいる場所や家族構成等によって金額が異なります。
「民事再生法第二百四十一条第三項の額を定める政令」で規定されています。
- 減額後の金額
- 財産の金額
- 可処分所得の2年分
上記3つを比較して、最も高い金額を分割返済することになる。
個人再生の条件と注意点
- 個人再生はどのような場合に認められますか?
-
- 返済不能の恐れがあること
- 継続・安定した収入があること
- 住宅ローン以外の借金総額が5,000万円以下
上記の条件があります。
返済が困難な状況
個人再生は支払い不能の恐れがある場合に認められるものなので、返済に余裕がある場合は認められません。
安定した継続的な収入があること
派遣社員やアルバイト、パートだから個人再生ができないというわけではありません。
安定した収入があり、減額後の借金を3年間継続して分割で支払っていけるのであれば認められる可能性があります。
短期のアルバイトや日雇いでは、安定した継続的な収入がないと判断される可能性があります。
住宅ローンを除いた借金の総額が5000万円以下
住宅ローン以外の借金が5000万円以上ある場合には個人再生はできません。


住宅ローンがあっても家を守れる住宅資金特別条項とは?
- 個人再生では住宅ローンを外して手続きをすることができますか?
-
住宅資金特別条項を利用できれば、住宅ローンを除外して個人再生することができます。
ただし、本人名義の居住用であること等、住宅資金特別条項を利用するには条件があります。
- 個人再生をする人の名義の建物で、居住用の自宅であること
- 床面積の1/2以上が居住用であること
- 住宅ローン以外の担保権が設定されていないこと
- 滞納による保証を実行されてから、6か月以上経過していないこと
体験談:住宅資金特別条項で家族と住み続けられた



住宅ローンは支払いを続け、それ以外の借金を大幅減額。子供の転校もせず、家族の生活が守られました。
個人再生をする本人名義で本人が住むための住宅であること
個人再生を申し立てる本人所有の物件で、その本人が住むための住宅であることが必要です。
本人の持ち分2分の1、妻の持ち分2分の1というような、共有の状態でも問題ありません。
床面積の1/2以上が居住用であること
居住用に使用している面積よりも、店舗等の居住用以外に使用している面積の方が多い場合は認められません。
住宅ローン以外の担保権がついていないこと
住宅ローン以外に、不動産担保ローン等で抵当権や根抵当権が設定されている場合は、住宅資金特別条項は利用できません。
夫婦でペアローンを組んでいる場合
ペアローンでは抵当権が2つ設定されますが、夫婦どちらからも申立てた場合には、個人再生が認められる可能性があります。
一方からの申し立てのみの場合でも、もう一方は住宅ローン以外の借金がない場合には認められる可能性があります。
住宅ローン滞納により保証を実行されてから半年以上経っていないこと
住宅ローンには保証会社が付きます。
住宅ローンの支払いに滞納等があった場合、保証会社は名義人に代わって銀行に対し住宅ローンを支払います。
どのような状況の場合に個人再生を選ぶべきか
- 個人再生を選択したほうが良いのはどのような場合ですか?
-
任意整理では毎月の返済をしていけない場合には、自己破産か個人再生を検討すべきです。
個人再生が選ばれるべきケース
- 任意整理では返済が難しい場合
-
任意整理では利息を免除してもらうだけで借金は減額されません。
個人再生では借金が減額されるので、毎月の支払額を大幅に減らせることができます。
- 自己破産ができない(資格制限・免責不許可事由等)
-
自己破産は破産手続き中は就けない職業がありますが、個人再生ではそのようなことはありません。
また、個人再生では免責不許可事由もないので、該当する可能性がある人にも個人再生はおすすめです。
- 自宅を残したい場合
-
住宅資金特別条項を利用することで、住宅ローン以外の借金の負担を軽減できます。


個人再生を選べないケース
- 個人再生を選ぶべきではないのはどんな場合ですか?
-
借金が減額されても、毎月の支払いができそうにない場合には、自己破産しか選択肢はありません。
また、ある程度の財産をもっていて財産価値が高い場合は、個人再生をするメリットはなくなります。
- 借金の減額後でも返済できない
-
個人再生は減額してもらった金額を原則36回、特別な事情があれば60回分割で支払う手続きです。
借金を減額してもらっても、毎月の返済ができない場合は個人再生をすることはできません。
- 安定した継続的な収入がない
-
短期のアルバイトや日雇い労働では、安定した継続的な収入がないと判断されて、個人再生をすることはできません。
- 借金総額以上の財産を持っている
-
「清算価値保障の原則」により、借金総額以上の財産を持っている場合は個人再生をしても借金が減額されません。
個人再生と任意整理との違い
- 個人再生と任意整理は何が違いますか?
-
任意整理は利息の免除だけで、借金そのものの減額はありません。
また、個人再生ではすべての借金が対象になりますが、任意整理は一部の借金だけを対象にすることができます。
そのため、任意整理では自動車ローン等を除外して手続きをすることができます。
参考元:任意整理-東京弁護士会
借金が減額される
- 任意整理:利息は0%になるが、借金自体は減らない
- 個人再生:借金が減額される
任意整理については、以下の記事でも詳しく解説しています。


手続きする業者を選ぶことはできない
- 任意整理:手続きする債権者を選択できる
- 個人再生:すべての債権者が対象になる
自動車ローンがある場合
個人再生ではすべての債権者が対象になるので、自動車ローンも個人再生の対象になります。
自動車ローンを個人再生すると、基本的に自動車はローン会社に引き上げられてしまいます。
自動車ローンについては、以下の記事でも詳しく解説しています。




個人再生と自己破産との違い
- 個人再生と自己破産の違いはなんですか?
-
自己破産は全ての借金の支払いを免除してもらうものです。
個人再生は減額された借金を分割で返済する手続きなので、自己破産の方がより有利な手続きと言えます。
ただし、自己破産では財産の処分、職業制限、免責不許可事由があるので、事情により自己破産ができない場合は個人再生を検討するべきです。
参考:自己破産-東京弁護士会
借金を支払う必要がある
- 自己破産:借金の全額が免除される
- 個人再生:借金が減額される
自己破産では借金が帳消しになりますが、個人再生では減額された金額を分割で支払う必要があります。
財産を処分する必要がない
- 自己破産:高額な財産は処分される
- 個人再生:財産は処分されない
個人再生では財産を処分する必要はありませんが、「清算価値保障の原則」があります。
そのため、財産があると、あまり減額されない可能性があります。
職業の制限がない
- 自己破産:職業制限があるので、該当する一部の職業は仕事に就けない期間がある
- 個人再生:職業制限はないので、仕事に就けなくなることはない
免責不許可事由がない
- 自己破産:借金が多額になった理由等によっては、自己破産ができなくなる
- 個人再生:借り入れ理由等で不許可にされることはない
自己破産については、以下の記事でも詳しく解説しています。


よくある質問(FAQ)
- 個人再生をすると家族や会社にバレますか?
-
手続き中に自宅や職場へ連絡がいくことはありませんが、官報には名前が掲載されます。
ただし、官報を日常的に見ている人はほとんどいません。
- 個人再生後に引っ越しや転職をしても問題ありませんか?
-
原則として問題ありませんが、裁判所等への連絡が必要になる場合があります。
- 税金の支払いも個人再生の対象になりますか?
-
税金や社会保険料など一部の債務は、個人再生をすることはできません。
あわせて読みたい債務整理で税金はどうなる?税金と債務整理の関係【司法書士が解説】 税金を滞納している場合に税金を債務整理することはできません。税金の支払いが難しい場合はどうすればいいのか?税金以外に借金がある場合はその借金については債務整理をすることができるのか?解説しています。 - 個人再生の申し立てをしたことが、賃貸住宅の更新や新規契約に影響しますか?
-
信用情報に影響が残るため、保証会社を利用する物件では審査が厳しくなることがあります。
あわせて読みたい債務整理すると賃貸は退去?入居審査や更新への影響も司法書士が解説 債務整理をする際に家賃を滞納していると退去しなければならないことになる可能性があります。どのような場合は退去しなければならないのか?その問題を回避する方法はあるのか?解説しています。
まとめ
- 借金が減額される
- 毎月の返済額が少なくなる
- 住宅ローンは個人再生の手続きから除外して手続きを行うことができる
司法書士からのアドバイス
個人再生は任意整理や自己破産と比べて複雑ですが、特に自宅を守りたい方・安定収入がある方には大きなメリットがあります。