債務整理でETCは使えなくなる?ブラックリスト期間の対応を解説

当サイトの記事は、 司法書士 三浦永二(東京司法書士会/登録番号7300号) が執筆・監修しています。

債務整理をすると、ETCカードはどうなるのか。仕事で車を使う方からは「ETCが使えなくなると困る」という相談をよく受けます。

クレジットカードに付帯するETCは解約・停止になる可能性が高く、家族カードのETCかETCパーソナルカードで代替することになります。

解約になる仕組み、代替手段の選び方、再発行までの期間を、実際の相談事例をふまえて解説します。

この記事のポイント

対象カード
債務整理をした会社のETCは、付帯するクレジットカードごと解約になります。
他社カード
手続きに入れていない会社のETCも、事故情報の影響で停止することがあります。
代替手段
家族カードのETCか、審査のないETCパーソナルカードで代替できます。
準備時期
パーソナルカードは受け取りまで約1か月。相談の段階で申し込むのが安全です。
再発行
通常のETCを作り直せるのは、信用情報から事故情報が消えたあとです。
目次

ETCカードはなぜ使えなくなる?債務整理が与える影響と仕組み

ETCカードは、通常クレジットカードに付帯して発行されます。

そのため、カード会社を債務整理すると、元のクレジットカードとあわせてETCも解約・利用停止になります。

さらに、債務整理をすると信用情報機関に事故情報が登録されます(いわゆるブラックリスト)。

カード会社は定期的に信用情報を確認しているため、手続きに入れていない会社のETCが途中で解約・停止になることもあります。

手続きに入れた
会社のETC
手続きに入れない
会社のETC
任意整理 解約になる 停止の可能性
個人再生・自己破産 解約になる
(全社が対象)
停止の可能性

たとえばセゾンカードを任意整理すると、セゾンのETCカードも一緒に解約になります。

一方、アコムだけを債務整理した場合でも、信用情報の影響で手続きに入れていないニコスのETCが使えなくなる可能性があります。

任意整理は手続きをする債権者を選べますが、ETCを発行しているカード会社を外しても、この事故情報の影響は避けられません。

個人再生と自己破産はすべての債権者が対象になるため、ETCは解約になると考えてください。

司法書士の見方

手続きに入れた会社のETCは、受任通知が届いた時点で止まります。
一方、手続きに入れていない会社のETCがいつ止まるかは会社ごとに差があり、数日で止まることもあれば、半年以上そのまま使えていることもあります。

止まる日を事前に知る方法はないため、「いつ止まってもいい状態」を先に作っておくことをお勧めしています。

認定司法書士 三浦永二

事前にETC解約に備えていたケース

30代 女性

債務整理後、ETCカードが使えなくなりました。司法書士から説明を受けていたため、事前に家族にも伝え、トラブルなく対応できました。

ブラックリストの影響については、以下の記事でも詳しく解説しています。

この記事の根拠

信用情報の登録
クレジットやローンの申込・契約・支払いの状況は、信用情報機関に登録され、会員である会社が確認できます。

ETCが使えないときの代替手段(家族カード・ETCパーソナルカード)

ブラックリストに登録されている間でも、次の2つならETCを使えます。

どちらを選ぶかは、家族の協力を得られるかどうかで決まります。

代替手段 審査 必要なもの・費用 向いている人
家族カードのETC 本会員のみ 家族の協力
費用は本会員のカードに準じる
家族に事情を話せる
ETCパーソナルカード 不要 デポジットの前納
年会費1,257円
家族の協力を得られない

家族カードのETC

家族カードは、本会員である家族の信用でカードを追加発行するしくみです。

審査を受けるのは本会員だけなので、本人の信用情報に事故情報があってもETCを持てます。

家族カードを持つことで、本会員である家族の信用情報に影響が出ることもありません。

本会員(例:妻) 審査を受けるのは本会員だけ
利用代金も本会員の口座から引落し

家族カードのETCを追加発行↓

債務整理をした本人(例:夫) 信用情報に事故情報があってもETCを使える

家族カードのETCを作成した事例

50代 男性

相談時に司法書士さんからETCカードが解約になると教えてもらい、家族カードに申し込みました。突然使えなくなっても慌てずに済みました。

家族カードについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

ETCパーソナルカード(パソカ)

年会費 1,257円 毎年必要
申込〜受け取り 約1か月 入金の確認後に発行
利用代金の引落し 毎月27日 残高不足だと停止

ETCパーソナルカードは、高速道路会社が発行する審査のないETCカードです。

審査がないため、ブラックリストに登録されていても作れます。

ただし、あらかじめ保証金(デポジット)を預ける必要があります。

デポジットの計算方法

デポジットは、申告した1か月の平均利用額の4倍が目安です。

デポジットの計算(毎月1万円使う場合)

  1. 1か月の平均利用額を申告する 10,000円
  2. 申告額の4倍がデポジットになる 10,000円 × 4

前もって預ける保証金40,000円

デポジットは解約時に返金されます(未払いがある場合は差し引かれます)。

ETCパーソナルカードが停止される原因

パーソナルカードは、以下のケースで使えなくなる可能性があるので注意が必要です。

1

デポジット超過

利用額が保証金の上限を超えると、その時点で使えなくなる

2

引落しの残高不足

27日に引き落とせないと翌月以降が停止。再開まで1〜2週間

3

紛失・再発行

再発行に1〜2週間かかり、その間はETCを使えない

司法書士の見方

デポジットを抑えようとして平均利用額を少なく申告すると、上限を超えて止まります。

また、受け取りまで1か月ほどかかるため、余裕をもって早めに申し込みをするべきです。

認定司法書士 三浦永二

ETCパーソナルカードの根拠

発行条件・費用
クレジットカードなしで申し込め、デポジットの前納と年会費が必要です。利用代金は翌月27日に口座から引き落とされます。

債務整理後に再度ETCを発行できるまでの期間

クレジットカード付帯のETCを作り直せるのは、信用情報から事故情報が消えたあとです。

登録期間は手続きによって変わります。

任意整理 5年 完済から
個人再生 5年 完済から
開始決定から7年の機関もある
自己破産 7年 開始決定から

ここで注意したいのは、任意整理と個人再生の「5年」が完済からの5年だという点です。

返済そのものに3〜5年かかるため、手続きを始めてからETCを作り直せるまでは、実際には8年から10年ほどかかります。

任意整理で3年かけて完済した場合

手続き開始

任意整理を受任

事故情報が登録され、クレジットカード付帯のETCは解約・停止になります。

返済期間 3〜5年

3〜5年後

完済

ここからさらに5年が、信用情報の登録期間になります。

完済から5年

8〜10年後

通常の審査を受けられる

事故情報が消えます。

起算点や登録期間は信用情報機関によって異なります

この期間が明けるまでは、家族カードのETCかETCパーソナルカードで対応することになります。

※期間が経過しても審査に通るとは限りません。発行するかどうかはカード会社の判断です。

ブラックリストの期間については、以下の記事でも詳しく解説しています。

債務整理とETCカードに関するよくある質問(FAQ)

ETCパーソナルカードと通常のETCカードはどう違う?

通常のETCはクレジットカードに紐づき、カード利用代金と合算で請求されます。パーソナルカードはクレジットカードを必要とせず、審査もありませんが、あらかじめ保証金を預ける必要があります。

債務整理後に家族のETCカードを一時的に借りて利用するのは違法ですか?

短期間であっても、名義貸しとして利用規約違反になる可能性があります。家族に協力してもらうのであれば、正式に家族カードを発行してもらってください。

債務整理でETCの未払い料金も交渉できますか?

未払い分が残っている場合、債務整理の対象になります。利用明細や請求内容を専門家に相談しましょう。

司法書士からのアドバイス

仕事で車を使う方にとって、ETCが使えない期間ができるのは大きな負担です。

相談の段階でETCの利用状況を確認し、必要な方には代替手段の準備を早めに進めてもらっています。

ETCパーソナルカードは審査こそありませんが、デポジットの入金からカードの受け取りまで1か月ほどかかります。

受任通知を出してから申し込むと、その間ETCを使えない期間が生じます。

相談・方針決定 ETCの解約リスクを確認
代替ETCを申込 パソカは受け取りまで約1か月
受任通知・手続き開始 既存のETCは解約・停止

高速道路の利用が多く車を手放したくない方は、次の記事も参考にしてください。

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