家族にバレずに債務整理はできる?司法書士が解説する注意点と対処法

  • 借金が家族に知られてしまうのはどんな時
  • 債務整理をしても家族や会社に秘密にできるか?
  • 家族や会社に知られずに債務整理を行う方法

家族に内緒で借金をしている方が債務整理を検討する際、「家族にバレずに手続きできるのか?」という点が問題になります。

返済に困っていても、「借金の存在を知られるくらいなら債務整理はしたくない」と考える方は非常に多いです。

家族に正直に打ち明け、協力を得られれば理想ですが、現実には難しいケースも多いものです。

この記事では、

  • 債務整理を家族や職場に知られずに行う方法
  • 借金や債務整理が家族にバレる主な原因
  • どのタイミングで発覚しやすいのか

について、司法書士の視点からわかりやすく解説します。

目次

家族や会社に知られずに債務整理を行う方法

家族に知られずに債務整理をするにはどうすればいいですか?

家族に秘密で債務整理をしたいなら、任意整理がおすすめです。

自己破産と個人再生では、同居家族の収入証明等が必要になることがあります。

自己破産では財産の処分があるのに対して、任意整理では収入証明等が不要ですし、財産の処分もありません。

家族や会社に秘密のまま債務整理を行うにはどの債務整理を選ぶべきなのか?

任意整理がおすすめ

任意整理なら、家族や会社に内緒のまま任意整理を行うことができる可能性が高いです。

任意整理のメリット

  • 手続き対象の債権者を選べる(会社や保証人付きの借金を除外可能)
  • 専門家との連絡も配慮可能(時間帯、郵送方法など)
  • 家族や勤務先に通知が届く心配がほとんどない
  • 官報に掲載されない
  • 財産の処分がない
  • 家族の収入証明などの書類が不要

任意整理では、会社や保証人がついている借金を債務整理の対象から外すことができる可能性があります。

自己破産と個人再生では、同居の家族の収入証明書等の提出が必要になることがありますが、任意整理では必要ありません。

任意整理では官報にも載りませんし財産の処分もないので、個人再生や自己破産と比べ家族や会社にばれる可能性は低いです。

任意整理は個人再生のように借金が減額されるわけではなく、自己破産のように借金が免除されるものでもありません。

借金が多くなると任意整理ができなくなる可能性が高くなるので、支払いが難しくなったら早めに相談をすることが必要です。

個人再生と自己破産

個人再生と自己破産の注意点
  • 同居の家族の給料明細や、源泉徴収票などが必要になる可能性がある
  • 退職金見込額証明書又は退職金がないことの証明が必要になる
  • 官報に掲載される
  • 財産の処分がある※自己破産のみ

個人再生や自己破産では、家計の収支状況を明らかにする必要があるため、同居家族の収入証明書や家計簿の提出を求められることがあります。

同居の家族の給料明細や源泉徴収、家計簿を一人で用意できるのであれば、家族に秘密で手続きができる可能性があります。

そもそも、申立先の裁判所によっては、家族の収入書類の提出が不要となるケースもあります。

退職金見込額証明書も、就業規則に算定方法が記載されていれば自分で計算した見込額でも認められることがあります。

退職金がないことの証明も、就業規則に「退職金制度がない」と明記されていれば、それが証明書の代わりになります。

必ずしも同居の家族がいる場合に、個人再生や自己破産は家族に秘密のままできないというわけではありません。

しかし個人再生と自己破産ではすべての借入を対象にして手続きをしなくてはなりません。

会社からお金を借りている場合は必ず会社に債務整理をしたことが知られますし、家族が保証人になっていれば家族に必ず知られてしまいます。

また、自己破産では財産の処分があるので、車等の財産がある人は売却されることで、家族に知られてしまう可能性があります。

任意整理なら家族にバレにくい

借金が家族にバレる主なきっかけ

借金をしていることが家族にばれてしまうのはどのような場合ですか?

滞納をしていると督促の電話や書類が届いたりするので、そこで知られてしまうことは多いです。

そのため、滞納せずに支払っている人は家族に知られる可能性は低いです。

カードや明細が見つかって、借金をしていることが知られてしまうこともあります。

家族に借金の事実が知られてしまうきっかけとして、特に多いのが以下の2つです。

貸金業者からの電話連絡

返済が遅れると、貸金業者から督促の電話がかかってくることがあるので、その際に家族にばれる可能性があります。

貸金業者からの郵送物

返済の滞納が一定期間続くと、督促状や催告書などの書類が郵送されてきます。

封筒に「至急開封」「重要」などと書かれているケースもあり、内容を見なくても不審に思われる可能性があります。

場合によっては、裁判所から支払督促や訴状が届くこともあり、その段階で家族に知られることも少なくありません。

返済が遅れた時に電話や郵送物が届くので、家族に知られてしまう可能性が高くなります。

逆に、支払いを滞りなく続けている間は、貸金業者からの連絡は基本的にありません。

そのため、延滞がなければバレる可能性は低くなります。

借金が家族に知られるパターン

すでに督促が届いている場合の対応策

督促が頻繁に来ている場合はどうすればいいですか?

滞納をしていて頻繁に督促等が来ている状態でも、債務整理をすることで本人への督促を止めることができます。

支払いが厳しいのであれば、早めに債務整理を検討するべきです。

債務整理を専門家に依頼すると、受任通知(債務整理を開始したことを知らせる書面)を貸金業者に送付します。

この受任通知が届いた後、業者は債務者本人に対して電話や郵送による督促を行うことが禁止されます(貸金業法21条に基づく取立て規制)。

その結果、電話や書類による連絡は止まり、家族に借金や債務整理の事実が知られるリスクを大きく下げることができます。

滞納している人は債務整理

債務整理をしたことが家族や会社にばれる理由

債務整理をしたことが原因で家族に知られてしまうことはありませんか?

債務整理をするとブラックリストに登録されるため、クレジットカードが使えなくなったり、ローンを組めなかったりすることで家族に知られてしまう可能性はあります。

債務整理が家族や会社に知られてしまう原因を詳しく解説するとともに、バレないようにするための具体的な対策も紹介します。

専門家からの電話や郵送物

司法書士や弁護士に債務整理を依頼すると、事務所から連絡や書類が届くことがあります。

これが原因で家族にバレるのではと心配されがちですが、通常は以下のような配慮が可能です

  • 電話ではなくメールやLINEでの連絡
  • 電話が必要な場合は、事前にメールやLINEで連絡時間帯を確認するか、依頼者から電話する
  • 郵送物は個人名で送付か、郵便局留めや事務所受け取りの指定

通常は郵送方法等を確認した上で依頼を受けるので、このケースで家族にばれてしまうことはほぼありません。

ブラックリスト登録による影響

債務整理をすると信用情報機関に「事故情報」として登録され、いわゆるブラックリスト状態になります。

ブラックリストに登録されるとできなくなること
  • クレジットカードが利用停止または解約される
  • 新たなローン契約ができなくなる
  • ローンや携帯の分割契約も困難に

ローンを組めなくなったとか、クレジットカードが利用できなくなった際に、家族にばれる可能性があります。

カードで買い物した分の支払いをうっかりして忘れていたので、その影響かも知れない等の理由でごまかしている人も多いです。

裁判所からの書類による発覚

債務整理を始めると債権者からの督促は止まりますが、一部の貸金業者は裁判を起こしてくる場合があります。

裁判所からの訴状等は自宅に郵送されるため、家族に見られてしまえば債務整理が発覚するリスクがあります。

支払いの滞納が長期間続いている場合には貸金業者から訴えてくる可能性があります。

また、長期の滞納をしていない場合でも、債務整理を開始からある程度の時間が経過すると訴えてくる貸金業者もいます。

裁判を起こしてくる業者はある程度把握できるので、そういった業者は早めに和解をすることで訴訟のリスクをなくすことができます。

保証人がいる借金を整理した場合

保証人付きの借金を債務整理の対象とすると、債権者は保証人に対して支払いを求めることができます。

家族が保証人になっている場合、督促の連絡が直接届くため、確実に債務整理の事実が伝わってしまいます。

弁護士や司法書士が手続きに介入した後は貸金業者から本人への連絡は禁止されますが、保証人へ連絡をすることは可能です。

任意整理なら保証人がついている借金を整理の対象外にすることで、保証人へ連絡がいくことを防ぐことができます。

会社から借金がある場合

勤務先から借金をしている場合、勤務先からの借金も債務整理の対象にすれば、会社に債務整理をしたことを知られます。

勤務先からの借金がある場合、個人再生や自己破産では必ず会社も対象になるので、会社に秘密にしておくことはできません。

任意整理なら、勤務先の借入は手続きから除外して、秘密のまま手続きをすることが可能です。

個人再生・自己破産に必要な書類でバレる可能性

家計の収支状況を明らかにする必要があるため、個人再生や自己破産では、下記の書類を提出しなければならない場合があります。

  • 家族の収入証明書(源泉徴収票など)
  • 家計の収支がわかる資料(家計簿等)
  • 退職金見込額証明書(会社が発行)

このような書類の準備にあたり、家族の協力が不可欠になるケースもあるため、内緒での手続きが難しくなることがあります。

これらの書類を提出せずに済むケースもあるため、相談時に専門家に確認することが重要です。

個人再生と自己破産での官報広告

個人再生や自己破産を行うと、「官報(政府が発行する機関誌)」に氏名や住所が掲載されます。

ただし、官報を日常的に閲覧する人はごく限られており、家族や職場に見られる可能性は非常に低いといえます。

官報の存在自体を知らない人も多いです。

そのため、官報に載ったことにより会社や家族にばれる可能性というのは非常に低いです。

自己破産での財産処分

自己破産では、売却価格が20万円を超える財産(車や不動産など)は原則として処分されます。

その結果、車や家を手放すことになれば、家族に秘密で進めるのは難しくなる可能性が高いです。

まとめ|状況に応じて最適な債務整理方法を選ぼう

債務整理を家族に秘密で進めたい場合、任意整理が最も現実的な選択肢です。

ただし、自己破産や個人再生でも、提出書類の対応や事前準備を工夫することで、家族に知られずに手続きを進められるケースもあります。

ただ、任意整理は借金の減額はないので、任意整理をしても返済ができない人は自己破産や個人再生を検討することになります。

どの債務整理がいいのか迷っている人は、以下の記事を参照してください。

ずっと秘密のまま返済を続けることは精神的な負担も大きくなります。

可能であれば、家族に打ち明けて協力を得ることも一つの選択肢です。

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