「債務整理をすると住宅ローンを組めなくなる?」「完済したら住宅ローンを組める?」といった相談は多く寄せられます。
- 債務整理が住宅ローン審査に与える影響
- 家族が債務整理した場合に住宅ローンへ与える影響
- ブラックリストの影響がなくなるまでの期間
上記の3つのポイントについて、司法書士が分かりやすく解説します。
債務整理後は一定期間住宅ローンが難しい理由
- 債務整理をすると住宅ローンは組めなくなりますか?
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住宅ローンを組むのは難しくなります。
債務整理をすると、ブラックリストに登録されるので、審査に通るのは難しくなります。
特に住宅ローンは金額が大きく審査も厳しいため、ブラックリストに登録されている人が住宅ローンを組むのは非常に難しいでしょう。
債務整理をすると信用情報機関に事故情報として登録され、いわゆる「ブラックリスト」に載ります。
ブラックリストに載ると、住宅ローンはもちろん、クレジットカードやキャッシングの審査にも通りにくくなります。
銀行や消費者金融、クレジットカード会社は審査の際に信用情報を確認します。
このとき、債務整理や滞納などの事故情報があると「貸し倒れリスクが高い」と判断されるためです。
ブラックリストの影響については、以下の記事でも詳しく解説しています。

債務整理以外でもブラックリストに登録されることがある
- 債務整理以外に、ブラックリストに登録されることはありますか?
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借金等の返済を長期間滞納した場合にも、ブラックリストに登録されます。
ブラックリストに登録される原因は、債務整理だけではありません。
例えば、借金やローン、クレジットカードの支払いを一定期間滞納すると、それだけでも信用情報に事故情報が登録されます。
スマホの端末代を分割払いで契約している場合、携帯料金を滞納すると「ローンの滞納」として扱われ、ブラックリストに登録されます。
スマートフォンの契約については、以下の記事でも詳しく解説しています。


家族のブラックリスト登録は住宅ローン審査に影響するか
- 家族がブラックリストに登録されている場合、住宅ローンを申し込むのに影響はありますか?
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ブラックリストに登録されていない人が単独で住宅ローンを組む場合は、家族は審査の対象にならないので影響はありません。
ブラックリストに登録されている人とペアローンを組んだり、家族が保証人になる場合は審査にとおるのは難しいでしょう。
住宅ローン審査への影響は、家族がどのような形でローン契約に関わるかによって異なります。
単独で住宅ローンを申し込む場合
申し込む本人がブラックリストに登録されていなければ、家族がブラックリスト登録されていても影響はありません。
ペアローン・連帯債務・保証人として家族が関わる場合
審査の対象になるので、ペアローンを組む人や連帯債務者、保証人も信用情報を閲覧されます。
Aさん:ブラックリスト登録なし
Bさん:ブラックリストに登録されている
- Aさん単独で住宅ローンを申し込む場合
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Aさんのみの審査なので、Bさんがブラックリスト登録されていても問題なし
- AさんとBさんでペアローンを組む場合
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Bさんも審査対象になるので審査の通過は難しい

債務整理で完済後、住宅ローンが組めるようになるまでの期間
- 債務整理後に完済したら住宅ローンは組めますか?
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債務整理した借入を完済したとしても、しばらくはブラックリストの影響が残るため、その間は住宅ローンの審査に通るのは難しいです。
信用情報機関にもよりますが、任意整理した借金を完済してから数えて5年間影響は残り、個人再生や自己破産なら7年間は残ります。
ブラックリストの登録期間
債務整理後に完済したとしても、信用情報に事故情報が残るため、すぐに住宅ローンを組むことは困難です。
事故情報が残る期間は、手続きの種類によって以下のように異なります。
- 任意整理=完済から5年
- 個人再生=完済から5年または登録から7年
- 自己破産=登録から7年
ブラックリストの期間については、以下の記事でも詳しく解説しています。

ブラックリスト登録期間終了後の住宅ローン審査
信用情報から事故情報が消えれば、原則として審査への影響はなくなります。
ただし、住宅ローン審査は信用情報以外にも以下のような点を総合的に判断します。
- 収入状況(安定性や金額)
- 他社での借入残高や返済状況
- 頭金の有無や金額
- 勤続年数など属性情報
つまり、ブラックリストが解除されても、他の理由で住宅ローン審査に落ちる可能性はあります。
ローン審査を受ける際は、これらの要素を整えておく必要があります。

債務整理をしないで住宅ローンを組んだ方がいいのか
- 債務整理をしないで住宅ローンを組んだ方がいいのでしょうか?
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問題なく支払いがでているのであれば、債務整理をする必要はありません。
支払いが難しいのであれば、まずは債務整理をして完済後にブラックリストの影響がなくなってから、住宅ローンを組むという方法もあります。
住宅ローンを組みたい一心で債務整理を避ける人もいます。
住宅ローンの審査では他社での借入状況も重要視されるため、借金を抱えたままではそもそも審査に通りづらくなります。
しかし、借金の支払いが厳しい状況で無理に返済を続けると、やがて返済不能になり、結局債務整理するケースもあります。
返済が難しい状態なら早めに債務整理をして完済を目指し、信用情報が回復するまで頭金を貯める方法を検討するのも一つの手です。

まとめ(ポイント整理)
- 債務整理後はブラックリスト登録により、住宅ローン審査が厳しくなる
- 家族がブラックリストの場合、単独申し込みなら影響はないが、ペアローンや連帯債務は難しい
- ブラックリスト登録は任意整理後5年、個人再生や自己破産は7年間残る
- ブラックリストが消えれば通常審査を受けられるが、収入など総合判断される
債務整理を行うとブラックリストに載るので、その状態で住宅ローンの審査にとおるのは難しいです。
ブラックリストの影響は一定期間が経てば抹消されるので、その後は通常の審査を受けることができます。
債務整理をしなくても借金があるというだけで、住宅ローンを組むのは難しくなります。
特に毎月利息だけを返済しているような返済が厳しい状態では住宅ローンを組めるかというと、非常に厳しいでしょう。
ネットではブラックリストに載っていても住宅ローンに通った!なんて書き込みもあるので、絶対に住宅ローンが組めないわけではないようです。
ただ、一般的にはブラックリストに載っていると審査にとおるのは非常に難しいのは間違いないでしょう。
返済が難しいのなら、債務整理をして早めに完済をして、ブラックリストの影響がなくなるまでの数年間は頭金を貯めるという選択もあります。