過払い金の計算方法を司法書士が解説【自分で計算する方法も紹介】

  • 過払い金の計算はどうするのか
  • 自分で計算することはできるのか?

過払い金請求では貸金業者から取引履歴という書類を取得して、引き直し計算という作業が必要になります。

過払い金請求を依頼すると引き直し計算は弁護士や司法書士が行います。

しかし、過払い金の計算は個人の方でも難しくはありません。

過払い金を計算する方法と計算に必要なものの取得方法、計算の方法を解説しています。

目次

過払い金の引き直し計算方法

過払い金の計算はどのように行われますか?

過払い金は引き直し計算をして算出します。

引き直し計算は取引の最初から法律内の利息だったものとして、払い過ぎた金額を計算し過払い金を算出する作業です。

引き直し計算には消費者金融やクレジットカード会社から、取引履歴を取り寄せる必要があります。

弁護士や司法書士の専門家へ依頼すると、取引履歴の取り寄せ~引き直し計算も専門家が行います。

個人で引き直し計算をすることも可能なので、個人で引き直し計算を行う方法を順を追って書いていきます。

過払い金が発生する仕組み

過払い金は法律の制限を超えて取引を行っていた場合にのみ発生します。

利息制限法の金利の上限
10万円未満の借入20%まで
10万円以上~100万円未満の借入18%まで
100万円以上の借入15%まで

過去に上記の利息を超えて取引を行っていれば過払い金が発生しますが、取引の当初から上記の法律内の利息であれば過払い金は発生しません。

取引履歴の取り寄せ

引き直し計算には取引履歴というのものが必要になります。

取引履歴には過去、「何年何月何日にいくら借りて、何年何月何日にいくら返済してきたか」がすべて記載してあります。

会社によっては当時からの利率も記載されているので、過払い金が発生しているかどうかは利率だけで確認することができます。

また、取引履歴だけあれば引き直し計算は可能なので、過去の契約書や明細等の資料がなくても過払い金請求には問題ありません。

取引履歴の取り寄せ方法は業者ごとに異なります。

取引履歴の取得方法
  • 電話で受け付け⇒郵送か店舗で受け取り
  • 業者のHPから開示請求書を印刷し郵送又は店舗で開示受付⇒郵送で受け取り

連絡先はまずはカスタマーセンターでいいでしょう。

取引履歴取り寄せの際に、本人確認書類が必要になることもありますし、1000円ほどの手数料をとられるところもあります。

貸金業者に電話をかけづらいという人は多いですが、大手の業者ならどこもスムーズに応じてくれますし開示してくれないということもありせん。

現在キャッシングを利用中でも取引履歴を取り寄せると解約になるとか、カードが使えなくなることもありません。

開示までの期間も業者ごとに異なります。早いところだと1週間ほど、遅いところだと3か月ほどかかります。

過払い金の計算方法

過払い金の計算方法を教えてください

引き直し計算には専用のソフトが必要になりますが、計算ソフトはインターネットから検索すると無料でダウンロードできます。

ダウンロードしたら後は取引日、借入額、返済額を入力すると、過払い金が算出されます。

取引履歴が届いたら次は引き直し計算を行います。計算には専用のソフトが必要になりますが、下記の2つが良く利用されています。

どちらのソフトもエクセルを使用しての計算となります。

エクセル表に取引履歴の内容を古いものからすべて入力していきます。※ショッピング取引分は入力しません。

過払い金の計算方法

上記のように入力していくと自動で正確な利息に直して計算され、過払い金の金額が算出されます。

利息27%で取引していて10年かけて完済できたケース

引き直し計算を行うと既に7年前に借金はなくなっていたという計算になることがあります。

その後の3年間に返済していた金額が、払い過ぎたお金⇒過払い金になります。

過払い金の計算 過払い金発生後に返済した金額が上乗せされていく

過払い金には年3~5%の利息が発生しますが、上記のソフトでは過払い金の利息を計算することもできます。

過払い金の計算方法

充当計算と未充当計算

過払い金の計算には充当計算と未充当計算という方法があります。

わかりにくいですが、過払い金発生後に借り入れをした場合、その借入を過払い金元金で相殺するか過払い金利息を充てて相殺するかの違いです。

充当計算では過払い利息で借り入れを相殺し、未充当計算では過払い金元本で借り入れを相殺します。

過払い金には年5%の割合で利息が付きますが、過払い元金が多いほうが利息も増えていくことになります。

過払い金が100万円、過払い利息が10万円発生した後に10万円を借りた際に、それぞれの計算方法による違いを解説します。

充当計算の場合

過払い金が100万円、過払い利息が10万円発生した後に10万円を借りると

充当計算では過払い金発生後に借り入れをすると、まずは利息を借入に充当するので、過払い利息10万円で借入の10万円を相殺します。

この場合、過払い金元本は変わらず100万円のままなので、この後も元本100万円に対して年5%の利息が発生します。

1年後には過払い金元本100万円+利息5万円=105万円になります。

過払い金の充当計算

未充当計算の場合

過払い金が100万円、過払い利息が10万円発生した後に10万円を借りると

未充当計算では過払い金元本で借り入れを相殺するので、10万円借りると、元本100万ー借入10万=過払い金元本90万円利息10万円となります。

以後元本90万円に対して年5%の利息が発生します。

1年後には過払い金元本90万円+利息10万+利息4万5000円=104万5000円になります。

過払い金の非充当計算

充当計算と未充当計算のまとめ

上記の例では充当計算でも未充当計算でも、あまり金額が変わらないように思えます。

長期に渡って取引をしている人の場合は計算方法の違いで数十万~数百万円も金額が変わることがあります。

ただし、貸金業者は裁判をしないと利息の返還を認めません。

そのため一般的には裁判をしないで和解をする際は未充当計算、裁判をして回収する際は充当計算が利用されています。

まとめ

過払い金を計算するには取引履歴の取り寄せ~引き直し計算が必要になります。

相手方の会社によっては取引履歴の取り寄せに手間と時間がかかりますし、引き直し計算も取引が長い場合は入力する内容が膨大になります。

弁護士や司法書士によっては、取引履歴の取り寄せから引き直し計算まで全てお任せでできます。

また、調査の結果過払い金がなければ費用も取られることがない、無料調査を行っている事務所もあります。

自分で引き直し計算をする時間がないとか、あまり手間をかけたくなという方は最初から弁護士や司法書士へ調査を依頼するほうがおすすめです。

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