過払い金の正確な金額は「引き直し計算」で分かります。
取引の最初までさかのぼり、利息制限法の上限金利で借入と返済をすべて計算し直す作業です。
計算は専門家に任せられますが、取引履歴がすべて揃っていて、取引内容が単純であれば、自分で計算することも可能です。
ショッピング利用分を混ぜてしまう、途中完済を見落とす、返済中なのに信用情報への影響を確認しないなど、間違いやすいポイントもあります。
40代 男性ネットで「過払い金は戻らないこともある」という噂も見ていたので半信半疑でしたが、実際に計算してもらったらしっかり戻ってきました。もっと早く調べていれば良かったです
この記事では、過払い金の計算方法、取引履歴の見方、自分で計算するときの注意点、司法書士に依頼する場合の流れを解説します。
過払い金の計算でわかること
過払い金の計算をすると、次のことがわかります。
- 過払い金が発生しているか
- いくら返還請求できる可能性があるか
- 返済中の場合、借金が残るのか、過払いになるのか
- 途中完済や時効の確認が必要か
過払い金は、過去に利息制限法を超える金利で返済していた場合に発生します。
「昔から借りていた」「長く返済していた」というだけでは、正確な金額はわかりません。
貸金業者から取引履歴を取り寄せ、借入日・返済日・借入額・返済額を一つずつ確認して計算する必要があります。
過払い金については、以下の記事でも詳しく解説しています。


過払い金の計算(引き直し計算)とは
引き直し計算とは、取引の最初にさかのぼって、利息制限法の上限金利で借入・返済をすべて計算し直す作業です。
上限を超えて払った分が計算上は元本の返済に充てられるため、「本当はいつ完済していたか」「完済後にいくら払い過ぎたか」が分かります。
計算の基準になるのが、利息制限法の上限金利です。
| 利息制限法の金利の上限 | |
|---|---|
| 10万円未満の借入 | 20%まで |
| 10万円以上~100万円未満の借入 | 18%まで |
| 100万円以上の借入 | 15%まで |
この上限を超えて払っていた利息が、過払い金の対象です。
2007年前後に多くの貸金業者が上限内へ金利を引き下げたため、それ以前から取引があった方ほど過払い金が発生しやすくなります。
いつからの借入か確認する方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。


取引履歴がなくても、まず概算が計算できます
「取引履歴を取り寄せる前に、だいたいの金額を知りたい」という方は、このページのかんたん概算ツールをお使いください。
取引を始めた年・完済した年・限度額の3つを入れるだけで、その取引が過払い金の発生しやすい時期にあたるかを判定します。
可能性がある場合はおよその金額の目安を表示します。
過払い金 かんたん概算
過払い金がいくら戻るか概算する
取引を始めた年・完済した年・限度額の3つを入れるだけで、およその過払い金を概算できます。取引履歴は必要ありません。
過払い金の概算
— 円
表示されるのはあくまで概算です。取引の一連・分断や充当計算など、正確な金額は取引履歴をもとに司法書士が判断します。調査は無料です。
無料で正確に調べてもらう本ツールは利息制限法(元本10万円未満20%/10万円以上100万円未満18%/100万円以上15%)で引き直した目安を表示するものです。実際の金額は、取引の一連/分断の判断、充当計算と未充当計算の別、みなし弁済の有無、時効などにより変動します。計算結果について当事務所は保証いたしません。正確な金額は無料調査にてご確認ください。
※この概算ツールで分かるのは、取引履歴を取り寄せる前の目安です。
実際の過払い金は、取引履歴に記載された借入日・返済日・借入額・返済額をもとに、引き直し計算をして確認します。
そのため、概算では過払い金が出そうに見えても、取引内容や時効の状況によっては請求できないことがあります。
自分で引き直し計算をする手順
引き直し計算に必要なものは2つだけです。
- 取引履歴:貸金業者から取り寄せる
- 計算ツール:このページの引き直し計算ツール、または無料の計算ソフト
契約書や利用明細が手元になくても、取引履歴さえあれば計算できます。
STEP1 取引履歴を取り寄せる
取引履歴には「いつ・いくら借りて、どう返してきたか」がすべて記録されています。取り寄せ方法は主に次の2つです。
- 貸金業者のカスタマーセンターに電話し、郵送または店頭で受け取る
- 公式サイトから開示請求書をダウンロードし、郵送・店頭で申し込む
本人確認書類のほか、業者によっては1,000円程度の手数料がかかることがあります。
開示までの期間は業者差が大きく、1週間ほどで届くこともあれば、2〜3か月かかることもあります。
STEP2 引き直し計算をする
取引履歴が届いたら、日付と金額を古い順に入力していきます。
このページの引き直し計算ツールなら、ダウンロード不要で、利息制限法の上限金利が自動で適用されます。
なお、この詳細ツールも、入力した内容をもとに計算するものです。
取引履歴の日付や金額を誤って入力した場合、キャッシング以外の取引を混ぜた場合、途中の借入や返済を抜かした場合、計算結果も変わります。
また、一連取引か分断取引か、時効にかかっていないか、過払い利息をどのように計算するか、相手業者が任意交渉でどこまで返還に応じるかは、ツールだけでは判断できません。
そのため、ツールの結果は「請求できる金額の確定額」ではなく、取引履歴をもとにした確認材料として見る必要があります。
エクセルソフトを使う場合は、次の無料ソフトが定番です。
入力のポイントは次のとおりです。
- 入力するのはキャッシング(借入・返済)だけ。ショッピング利用分は入れません。
- 取引は古い順に入力します。
- 途中で借り直した場合も、その借入を時系列どおりに入力します。
入力を進めると、各時点の「残元本」が自動で計算されます。
残元本がマイナスに転じた時点が過払い金の発生点で、それ以降に返済した分が過払い金になります。


上記のように入力していくと自動で正確な利息に直して計算され、過払い金の金額が算出されます。
利息27%で取引していて10年かけて完済できたケース
引き直し計算を行うと、既に7年前に借金はなくなっていたという計算になることがあります。
その後の3年間に返済していた金額が、払い過ぎたお金⇒過払い金になります。


計算方法の分かれ道:充当計算と未充当計算
過払い金が発生した「後に」また借り入れをした取引では、計算方法が2つに分かれ、最終的な金額が変わります。
- 未充当計算
- 新たな借入を、過払い金の元本から差し引きます。
- 元本が減るぶん、その後に付く利息は少なくなります。
- 充当計算
- 新たな借入を、まず過払い利息で相殺します。
- 過払い金の元本は減らないため、以後も元本全額に年3~5%の利息が付き続けます。
※過払い金の利息は、発生時期や適用される法定利率によって変わります。
2020年3月31日までの法定利率は年5%、2020年4月1日以降は年3%です。
充当計算の場合
過払い金が100万円、過払い利息が10万円発生した後に10万円を借りると
充当計算では、まずは利息を借入に充当するので、過払い利息10万円で借入の10万円を相殺します。
この場合、過払い金元本は変わらず100万円のままなので、この後も元本100万円に対して年5%の利息が発生します。


未充当計算の場合
過払い金が100万円、過払い利息が10万円発生した後に10万円を借りると
未充当計算では過払い金元本で借入を相殺するので、10万円借りると、元本100万ー借入10万=過払い金元本90万円、利息10万円となる。
以後元本90万円に対して年5%の利息が発生します。


充当計算と未充当計算のまとめ
上記の例では充当計算でも未充当計算でも、あまり金額が変わらないように思えます。
しかし、長期の取引をしている人の場合は、計算方法の違いで数十万~数百万円も金額が変わることがあります。
任意交渉では、利息の返還に応じない業者も多いため、利息まで回収したい場合は裁判を検討することがあります。
一般的には裁判をしないで和解をする際は未充当計算、裁判をして回収する際は充当計算が利用されています。
過払い金の利息については以下の記事でも詳しく解説しています。


自分で計算するときの注意点
自分で計算・請求すること自体は可能ですが、次の点に注意が必要です。
時効の見落とし
過払い金は、最後の取引から一定期間が経つと時効にかかり、請求できなくなります。
特に注意が必要なのは、途中で一度完済してから再び借入をした取引です。
この場合、完済した時点から時効が進んでいる可能性があり、計算が正しくても請求できないことがあります。
時効の起算点や条件は下記の記事で解説しています。


返済中の請求と信用情報
完済済みの取引への過払い金請求は、原則として信用情報に影響しません。
ただし返済中の場合は、影響が出ることがあります。
返済中の過払い金請求の注意点は下記の記事で解説しています。


計算ミスによるマイナス
入力ミスや、充当計算・未充当計算の選択の誤りによって、本来より少ない金額しか回収できないことがあります。
特に長期の取引では、計算方法の違いが大きな差につながります。
計算結果と実際に回収できる金額は違う
引き直し計算で表示された金額と、実際に回収できる金額は同じとは限りません。
計算上は過払い金が出ていても、途中完済から長期間が経っている場合は、時効により請求が難しくなることがあります。
また、任意交渉では、貸金業者が満額返還や過払い利息までの返還に応じないこともあります。
計算ソフトで出た金額は「請求できる金額」であり、実際に回収できる金額は、時効、取引の一連・分断、裁判等によって変わります。
計算が難しいときは無料調査を
取引期間が長い場合は、入力する取引数が多くなるため、計算ミスが起きやすくなります。
途中で完済している時期がある場合は、一連取引か分断取引か、時効にかかっていないかの確認も必要です。
司法書士・弁護士事務所では、取引履歴の取り寄せから引き直し計算まで代行している事務所もあります。
調査の結果過払い金がなければ費用がかからない無料調査を行っている事務所もあります。
当事務所でも、取引履歴の取り寄せと引き直し計算を無料でお調べしています。
司法書士・弁護士に依頼する場合の流れ
複数社にまたがる取引や契約が複雑な場合、ミスや時効の見落としが発生しやすいため、専門家に依頼する方が確実です。
【自分で計算した後に専門家に依頼をした例】



最初は自分で計算しましたが、合っているのか自信が持てませんでした。結局、専門家に依頼をして正確な計算ができたので安心できました。
専門家に依頼するメリット
- 正確な計算と時効の管理
- 取引履歴の開示請求も代行
- 計算後の請求・交渉・訴訟まで一貫対応
- 結果的に「手元に戻る金額」が増えやすい(交渉力・ノウハウあり)
依頼から計算・請求までの流れ
よくある質問(Q&A)と注意点
- 過払い金が出ない場合もありますか?
-
2008年以降に借入を始めた場合や、銀行カードローン、クレジットカードのショッピング利用分では、過払い金は原則発生しません。
また、古い取引でも、途中完済から長期間が経っている場合は、時効により請求が難しいことがあります。
- ショッピング利用分はなぜ計算に含めないのですか?
-
ショッピング(物品購入)は利息ではなく手数料のため、過払い金の対象にはならないからです。
- 取引履歴が一部しか入手できない場合はどうすればいいですか?
-
貸金業者から全期間の履歴を再度請求しましょう。
どうしても入手できない場合は、残っている明細や返済記録から推測計算することも可能ですが、正確性に欠けるため専門家への相談をおすすめします。
- 昔の会社名しか覚えていなくても過払い金の計算はできますか?
-
昔の会社名しか覚えていなくても、調査できることがあります。
貸金業者やカード会社は、合併・社名変更・事業譲渡をしていることがあります。
たとえば、当時の会社名と現在の請求先が違っている場合でも、現在の承継会社に取引履歴を請求できることがあります。
- 過払い金の計算をすると家族に知られますか?
-
自分で取引履歴を取り寄せる場合、書類が自宅に届くことで家族に知られる可能性があります。
司法書士や弁護士に依頼した場合は、取引履歴や業者からの書類が事務所に届くため、自宅への郵送を避けやすくなります。
まとめ|後悔しないために
過払い金の計算は、取引履歴の取り寄せと引き直し計算という2ステップです。
取引履歴さえあれば自分でも計算でき、このページのツールを使えば概算から引き直し計算まで手元で確認できます。
ただし、ツールの結果だけで、請求できる金額や実際に回収できる金額が確定するわけではありません。
計算方法、途中完済、時効、過払い利息、業者の対応によって、請求できる金額や回収額は変わります。
取り寄せや計算が難しい場合、金額が大きくなりそうな場合、途中完済がある場合は、無料調査で正確な金額を確認することをおすすめします。
