過払い金に利息が発生する仕組みと回収方法を司法書士が解説

  • 過払い金に利息が発生する仕組み
  • 過払い金の利息を回収するには?

あまり知られていませんが、過払い金には年3%~5%の利息が発生します。

しかし、この過払い金の利息は簡単には支払ってくれません。

今回は過払い金の利息の発生の仕組みと、利息まで含めて回収するにはどのようにすればいいのかを解説します。

参考元:詳細-法テラス

目次

過払い金の利息が発生する仕組み

過払い金の利息とはなんですか?

過払い金は不当利得というものになりますが、不当利得の悪意の受益者は返還するまで年3~5%の利息を支払わなければなりません。

そのため、過払い金が発生したらそこから年3%~5%の割合で利息が付きます。

過払い金に対してなぜ利息が発生するのか?根拠は民法703条と704条に定められています。

なぜ利息が発生するのか

過払い金返還請求とは=不当利得返還請求になります。

民法で不当利得を返還するまで年3%~5%の割合で利息をつけて返還しなければならないとされています。

不当利得とは法律の根拠なく不当に利益を得たことを指します。

過払い金請求で言うと法律よりも高い利息で取引を行っていた際に、法律内の利息に直して計算をすると既に借金を完済していることがあります。

その完済した状態になった後に払いすぎたお金が、法律の原因なく不当に得た利益=不当利得になります。

利息25%で2005年~2020年まで取引をしていた場合

法律内の利息18%に引き直して計算をすると、利息が低くなるので2020年以前に完済していることになります。

引き直し計算によると完済した日以降に支払った金額が払い過ぎたお金=過払い金になります。

法律内の利息18%に引き直して計算をすると利息が少なくなる分、借金の元金に充てられる金額が増えるので、完済も早くなります。

不当であることを認識しながら利益を得ていた場合は、その受けた利益に更に利息を付けて返還しなければなりません。

不当であることを認識しながらというのは、利息制限法を超える無効な利息であることを知りながら金利の返済を受けていたこと(悪意の受益者)になります。

以上から貸金業者側が悪意の受益者であれば、過払い金には3%~年5%の利息を付けて返還してもらうことができるということになります。

民法改正により2010年4月1日以降に発生する利息は年3%

以前は過払い金の利息は年5%とされていましたが、民法が改正され2020年4月1日以降に発生する利息については3%になりました。

利息は何%になるか
  • 2020年3月31日以前に過払い金が発生している⇒過払い金の利息は年5%
  • 2020年4月1日以降に過払い金が発生している⇒過払い金の利息は年3%
過払い金の利息

過払い金利息がつくことで思ったよりも金額に差がでる

過払い金の利息はどのぐらいの金額になりますか?

一概には言えませんが、過払い金が発生した時点から利息が年3%~5%付くので、取引の期間が長い人は結構な金額になります。

過払い金が発生してからの期間が長くて、完済からも年数が経っているような場合は、利息だけで100万円以上発生するケースもあります。

過払い金の利息は最終の取引日=完済の時から発生すると思われがちですが、過払い金が発生した時点から利息は発生します。

5年前に完済している人でも過払い金が10年以上前から発生していたなら、10年分の利息が発生することになります。

2020年に完済していても、引き直し計算をすると2015年に過払い金が発生している場合は2015年の過払い金発生時から年5%の利息が発生します。

年3%~5%の利息と聞くと大した金額にはならないように思えます。

しかし、100万円の過払い金が発生していて年5%の利息であれば1年で5万円、5年なら25万円、10年なら50万円にもなります。

多い人であれば100万円以上の利息が発生することもあります。

過払い金利息の回収方法

過払い金の利息は返還してもらうことはできますか?

貸金業者にもよりますが、多くの貸金業者は利息の支払いには簡単には応じません。

利息まで回収するには基本的には裁判をして回収することになります。

過払い金の利息については、ほとんどの業者は簡単には支払ってくれません。

法律上無効であることを認識しながら利息を受け取っていたことが利息発生の根拠になるため、貸金業者側も簡単には認めません。

利息を回収するには基本的には裁判をする必要があります。

裁判所に訴状を提出すると裁判が開かれる前に利息まで含めた金額を支払うことで和解が成立する貸金業者もあれば、徹底的に争ってくる業者もあります。

裁判でのやりとり

利息を回収できるかどうかは、貸金業者側が悪意の受益者に該当するかどうかということになります。

悪意の受益者とは=みなし弁済が適用されないことを知っていながら違法な金利の返済を受けていた者ということになります。

当然貸金業者はみなし弁済の適用があると信じていたと主張をしてきます。

最高裁でみなし弁済の適用があると認識し、そう認識してもやむを得ない特段の事情がなければ、悪意の受益者と推定されると判断されました。

相手方の貸金業者によっては、利息部分については執拗に争ってくるので回収までに非常に時間がかかる場合があります。

場合によっては利息はある程度のところで和解をすることで、回収までの期間を早めることができます。

過払い利息の回収方法

まとめ

  • 過払い金には年3%~5%の利息が発生する
  • 利息を回収するには基本的には裁判が必要になる

利息を回収するかしないかで、金額に大きく差がでる場合があります。

しかし、利息を回収する場合は相手方の業者によっては回収までに非常に時間がかかる場合があります。

早めの回収を求めるなら元金だけとか、利息はある程度のところで和解をすることも選択肢に入れてもいいでしょう。

しかし、弁護士や司法書士の事務所によっては利息には触れずに、元金だけの計算結果を伝えて元金だけを回収する事務所も存在するようです。

事務所の選びを間違えるとこのようなデメリットが発生する可能性もあります。

計算結果の報告を受ける際は、元金がいくらと利息がいくら発生しているか?回収までの期間の目安をを聞いた上で利息まで回収するか判断すべきでしょう。

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