任意整理で遅延損害金はカットできる?できない場合の対処法も解説

当サイトの記事はすべて司法書士三浦永二(東京司法書士会所属、登録番号7300号)が執筆しています。

任意整理を検討している方の多くが、「遅延損害金は任意整理で本当にカットできるのか?」

「カットできなかった場合はどうなるのか?」といった疑問や不安を抱えています。

遅延損害金の扱いは、貸金業者や返済状況によって大きく異なります。

元金と遅延損害金を合わせた全額を返済しなければならないこともあれば、大幅な減額や免除が認められることもあります。

  • 遅延損害金とは何か
  • 任意整理で遅延損害金はカットできるのか
  • カットできなかった場合の具体的な対応策や他の債務整理手続き
  • 長期滞納時の時効
  • 過払い金の可能性

上記を専門家の経験と実例を交えてわかりやすく解説します。

目次

遅延損害金とは?通常利息との違いと発生条件

返済できなかった分の遅延損害金は必ず支払う必要がありますか?

原則として支払わなければいけません。

これは返済を怠ったことに対する賠償金のような性質があるため、できるだけ期日までに返済することが重要です。

返済期限を過ぎてしまうと、遅れた日数分だけ遅延損害金が加算されます。

遅延損害金は通常の利息より高く設定されており、利息制限法では年20%が上限です。

このため、多くの金融業者が遅延損害金の利率を年20%にしています。

50万円の借り入れで遅延損害金が年20%のケース

1年間滞納していると、10万円も遅延損害金が付くことになります。

遅延損害金は通常の利息より高く、放っておくとどんどん膨らむので注意が必要です。

【体験談】

20代 男性

2か月ほど返済が遅れたら、数万円の遅延損害金が発生していることに気づいて驚きました。利息より高い負担が発生することを、実際に通知が届いてから実感しました。

遅延損害金とは

任意整理で遅延損害金はカットできるのか

任意整理をしても、遅延損害金は支払う必要がありますか?

遅延損害金の支払いは免除してもらうように交渉しますが、免除に応じてもらえないケースも多いです。

免除に応じてもらえない場合は、遅延損害金も支払う必要があります。

任意整理は、司法書士や弁護士が貸金業者と直接交渉して、将来利息や遅延損害金のカットを目指す手続きです。

しかし、遅延損害金がカットできるかどうかは、業者や状況によって大きく異なります。

  • 任意整理をすると、遅延損害金の全額または一部カットに応じてもらえることもある。
  • 裁判になっている場合などは、ほぼ遅延損害金のカットはできない。

任意整理をしても「元金と遅延損害金の合計額でしか分割返済に応じない」とされるケースが多いです。

任意整理については以下の記事で詳しく解説しています。

体験談】

50代 男性

借入先が遅延損害金のカットには応じず、遅延損害金を含めた金額で分割返済する内容でしか和解できませんでした。それでも将来の利息がなくなったおかげで、何とか完済までたどり着きました。

任意整理で遅延損害金はカットできるか

任意整理で遅延損害金が免除されなかった場合の対応

任意整理をしても遅延損害金が免除にならない時はどうなりますか?

借金の元金と、遅延損害金を合計した金額を分割で支払うことになります。

遅延損害金のカットに応じてもらえなかった場合は、元金と遅延損害金を合計した金額を分割で支払うことになります。

借金が100万、遅延損害金が30万円のケース

借金の100万円と遅延損害金30万円を合わせた、130万円を3年~5年ほどの分割で支払っていくことになります。

130万円を5年間の60回払いになると、毎月22,000円ほどの支払いになります。

この金額を毎月支払っていける人は、任意整理を行うことができます。

任意整理ができるかどうかについては、以下の記事で詳しく解説しています。

支払いができないなら個人再生や自己破産を検討

参考:債務整理-東京司法書士会

分割返済にしても月々の支払いが厳しい場合は、「個人再生」や「自己破産」といった他の債務整理も検討しましょう。

個人再生なら遅延損害金も含めた借金全体を大きく減額でき、自己破産ならすべての支払い義務が免除されます。

どの債務整理を選べばいいのかわからない人は、以下の記事で詳しく解説しています。

遅延損害金がカットできなかった場合の任意整理

長期滞納の場合は時効や過払い金の可能性も

長期間滞納している借金は支払わなくてはいけませんか?

滞納している期間が5年以上になると、借金は時効になって返済をする必要がなくなります。

詳しくは弁護士や司法書士に調べてもらうべきです。

また、長期間取引をしていた人には過払い金が発生している可能性もあります。

借金の時効

借金を5年以上滞納している場合、「時効」で支払う必要がなくなっている可能性があります。

ただし、5年の時効期間が過ぎていてもそのままでは時効は成立しません。

時効なので支払わないという意思表示=「時効の援用」という手続きを取る必要があります。

裁判を起こされていると時効にならないこともあるので、まずは専門家へ確認をするべきです。

時効については以下の記事でも詳しく解説しています。

過払い金

参考:過払い金を請求できるケースとは?-東京司法書士会

2007年以前から取引している場合は、過払い金が発生しているケースもあります。

まずは「過払い金が発生していないか」「時効になっていないか」を専門家に確認し、残った借金の返済が困難なら債務整理を選びましょう。

STEP
取引が長い人は、まずは過払い金が発生していないか確認
STEP
過払い金がなければ、時効になっていないか確認
STEP
時効になっていなく返済が苦しい場合は、債務整理を検討する

具体例

  • 相談例1:7年間全く返済していなかった借金の請求が来たが、時効が成立して返済不要になった。
  • 相談例2:2005年から取引があり、債務整理の相談時に過払い金が発生していると判明。借金がゼロになりさらに返金された。

過払い金については以下の記事でも詳しく解説しています。

滞納中の借金が時効になっていることもある

よくある質問(FAQ)

遅延損害金はどうやって計算されますか?

滞納した元金×遅延損害金率(通常年20%)×遅延日数÷365で計算します。

遅延損害金は自己破産や個人再生でもカットされますか?

自己破産ならすべて免除されます。

個人再生では、再生手続き開始前に発生している遅延損害金はカットされませんが、借金と合わせて減額されます。

遅延損害金の支払いを拒否するとどうなりますか?

支払いを拒否すると、訴訟や強制執行に発展するリスクがあります。

遅延損害金の発生を防ぐためにできることはありますか?

早めの返済計画の見直しや、支払いが難しいと感じた時点ですぐに専門家へ相談することが大切です。

まとめ・司法書士からのアドバイス

  • 遅延損害金は、放置すると利息以上に大きくなります。
  • 遅延損害金は任意整理をしてもカットできないことがあります。
  • 5年以上返済をしていない場合は借金が時効になっている可能性がある
  • 2007年以前から取引があったら過払い金が発生している可能性がある

借金の返済を怠たると、利息よりも高い遅延損害金が付きます。

借金の返済が難しくなったときは、遅延損害金が膨らむ前にできるだけ早く相談することが、解決への近道です。

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