任意整理で裁判所に訴えられるのか?差押えされるか?司法書士が解説

  • 任意整理をすると貸金業者から訴えられたりしないか?
  • 既に裁判所から通知が来ているけど、任意整理をすることはできるか?
  • 任意整理をしても財産が差押えられることはないのか?

任意整理をすると貸金業者から裁判をされたり、自宅等の財産を差し押さえられるんじゃないか?質問を受けることがあります。

任意整理と裁判の関係について、それぞれ解説します。

目次

任意整理をすると訴えられるのか

任意整理をして貸金業者から訴えられることはありますか?

任意整理後も貸金業者から本人を訴えることはできますが、実際にはほとんど訴えられることはありません。

稀に任意整理開始から和解までに時間がかかると訴えてくる会社もありますが、そういった会社があれば早めに手続きを進めて行くので、実際には訴えられることはほとんどありません。

任意整理の依頼を受けた後は専門家は貸金業者に対して「受任通知」という書面を送ります。

この受任通知を送った後は貸金業者から依頼者に連絡をとることは禁止され、代理人である専門家と貸金業者との話し合いになります。

受任通知を送った後も貸金業者から依頼者を訴えることまでは禁止されておらず、貸金業者はしようと思えば本人を訴えることはできます。

しかし、実際に訴えてくる会社はほとんどないため、任意整理をしても訴えられることはほぼありません。

任意整理の開始から3ヵ月ほどで訴えてくる会社もありますが、訴えられる前に和解をするようにすれば問題ありません。

訴えてくる会社はどこ?

良く名前を聞くような大手の会社はあまり訴えてくることはなく、小規模な会社や大手でも一部の会社だけが訴えてくる傾向にあります。

弁護士や司法書士は早めに訴えてくる会社は把握しています。

訴えてくるところは任意整理の通知が届いた後、数か月以内に和解を成立させないと訴えてきます。

しかし、訴えてくる会社がある時はなるべく早めに手続きを進めるようにすれば、任意整理をしても訴えられることはほぼありません。

任意整理で訴えられるか

既に訴えられているケース

訴えられて裁判所から通知が来ている場合も任意整理はできますか?

既に訴えられている場合は任意整理ではなく、裁判上の和解になることが多いです。

訴えられても貸金業者との話し合いがまとまれば、任意整理と同様に和解後の利息はカットして分割で返済するという内容で和解できる可能性があります。

判決や支払い督促が確定すると裁判上の和解はできなくなるので、なるべく早めに対応をする必要があります。

判決前や支払督促が確定する前は裁判所で話し合う

訴えられても裁判に出頭をしていると、借金の元金と和解後の利息はカットして分割で支払うという内容で和解ができることが多いです。

支払督促が届いた時も異議を申し立てると通常の裁判に移行するので、通常の裁判になった以降は同じように裁判所で話し合いができます。

あくまでも話し合いなので、本人側と貸金業者側で話し合いがまとまらなければ一括で支払えという内容の判決になることもあります。

上記の手続きを弁護士や司法書士に依頼することもできます。

訴えられてもきちんと裁判対応をすると任意整理と同じように、利息はなくなって分割で支払っていくことになる可能性が高いです。

既に判決や支払い督促が確定していると任意整理は難しい

この状態ではもう裁判上での和解はできませんが、判決後でも裁判外の話し合いで任意整理に応じてくれる貸金業者もあります。

しかし、給与の差押え等ができる場合は貸金業者から見ると任意整理に応じるメリットがありません。

そのため、判決がでる前に比べると任意整理に応じない可能性が非常に高くなります。

なるべくなら訴えられる前に専門家に相談すべきです。

裁判が終わった後も任意整理に応じてもらえることがあります

任意整理に応じてもらえなく、返済ができない時は個人再生や自己破産を検討する必要があります

訴えられている場合の任意整理

借金が時効になっている可能性がある

滞納して放置している借金の件で訴えられても、5年以上支払っていなかったのであれば借金は時効で支払いをする必要がない可能性があります。

時効期間が経過していても裁判所からの通知を放置していると、判決が確定して時効ではなくなってしまいます。

時効になっている場合も答弁書に時効を援用する旨を記載して、裁判所へ時効だから支払わないという旨の意思表示が必要です。

時効の期間がすぎているのに裁判ができるのか?と思うかもしれませんが、時効を主張するまでは借金は時効にはなりません。

そのため、時効期間が過ぎていても裁判をすることは可能です。

5年以上支払っていなかった借金は時効になっていないか確認するべきです。

任意整理で財産は差し押さえられるのか?

任意整理をして財産が差し押さえられてしまうことはありますか?

任意整理をして財産が差し押さえられることはほとんどありません。

任意整理後に訴えられて判決が確定するところまでいかないと差押えはできませんが、そもそも任意整理をしても訴えられる可能性は低いです。

任意整理後に返済ができず訴えられて、判決を取られると財産が差押えられる可能性があります。

任意整理をしても、財産が差し押さえられることはほとんどありません。

給与の差押えについては、差し押さえをする側が給与の振込先の口座を知らなければ、差し押さえをすることはできません。

また、裁判で判決をとられたり支払督促が確定しなければ差押えはできないので、振込先の口座を知っていてもすぐに差押えはできません。

まず、任意整理をしても訴えられることがほとんどないため、任意整理をして財産が差押えられることはほとんどありません。

財産の差し押さえは、支払いを滞納している状態で督促が何度も来ているのに支払わないでいると訴えられて、最終的に差し押さえが行われます。

給料の差し押さえができる金額というのは、税金や保険料等を引いた手取り金額の1/4が差し押さえできる上限です。

3/4は給料の差し押さえがあっても受け取ることができます。

しかし、手取り額の3/4が33万円を超える場合は、受け取れる上限金額は33万円になります。

33万円を超える部分の給料は全て差し押さえられてしまいます。

手取り額の3/4が50万円だと、3/4の37万5,000円を受け取れるのではなく33万円までしか受け取れず残りは差押えられます。

裁判を起こされてしまったら

裁判を無視せずに裁判所で話し合いをして、分割払いの和解をして支払っていけば差し押さえられることはありません。

相手方の会社によっては任意整理に応じてもらえずに、裁判を起こされてしまうことがあります。

また、任意整理後に返済ができないと裁判を起こされることがあります。

裁判を無視していると判決をとられて、財産を差し押さえられてしまう可能性があります。

裁判所での和解後に返済ができない状態が続くと、財産が差し押さえられる可能性があります。

裁判を起こされても、裁判の対応をしていれば多くの場合は裁判所で和解になるので、財産を差押えられてしまうことはほとんどありません。

任意整理で財産は差押えられるか

銀行を任意整理する際は口座凍結に注意

銀行からの借金を任意整理すると銀行口座が凍結されて、借金と銀行口座にある預貯金とで相殺されます。

ただしこの場合も、任意整理前に口座からお金を抜いておけば口座が凍結されても借金と相殺されることはありません。

自動車ローン返済中の場合は車が引き上げられる可能性がある

自動車ローン返済中の会社を任意整理すると、車は引き上げられ売却されてしまいます。

ただし、任意整理ではある程度、任意整理をする会社を選択することができます。

任意整理の対象から自動車ローン返済中の会社を外すことで、車を引き上げられることなく、その他の会社のみを任意整理することができます。

差し押さえ後の任意整理

差し押さえられた後に任意整理をして差し押さえを止めることはできますか?

差し押さえをされた後に任意整理をしても、差し押さえを止めることはできません。

そのため、支払いが難しくなったら差し押さえをされる前に、なるべく早めに弁護士や司法書士に相談するべきです。

財産が差し押さえられてしまった後は、任意整理をしても差し押さえを止めることはできません。

相手方にしてみたら手間と時間をかけて裁判手続きをして差し押さえを行っているので、差し押さえを止めるメリットがないためです。

自己破産の場合

自己破産なら裁判所の開始決定がでた時点で差し押さえ等の強制執行は止められます。

また、管財事件で給料が差し押さえられているケースでは給料の全額を受け取れるようになります。

しかし同時廃止の場合は、自己破産の開始決定後~免責が確定するまでは差し押さえられている部分の給料は受け取ることはできません。

まとめ

任意整理で裁判になるか
  • 任意整理をして訴えられる可能性は低い
  • 訴えてくる会社も早めに和解をすれば問題なし
  • 既に訴えられている場合、裁判所で和解ができることがある
  • 裁判を放置していると差押えられる可能性あり

任意整理を依頼すると貸金業者から訴えられないか?と心配する人は居ますが、実際に任意整理をして訴えられることはほとんどありません。

中には任意整理を受任してから和解をするまでに数か月時間がかかると、訴えてくる会社もあります。

訴えてくる会社はほぼお決まりなので、そこの会社は早めに和解を成立させ、訴えられる前に任意整理をすることが可能です。

既に訴えられている時は、任意整理手続きではありませんが、裁判所で話し合いを行って、分割で返済をするという内容で和解に至ることが多いです。

既に判決等が出ていても分割払いの交渉に応じてくれる会社もありますが、やはり判決後だと交渉は難航します。

しばらく支払いを滞納して放置の状態になっている債権者から訴えられた時は、借金の時効を疑うべきです。

差し押さえがされるのは主に、借金の支払いを滞納している場合です。

すぐに差押えられるのではなく督促が何度もあり、その後に裁判等を起こされ、放置していると最終的に差し押さえられることになります。

滞納⇒督促がくる⇒放置⇒訴えられる⇒放置⇒差し押さえられるという流れです。

まれに任意整理をすると訴えてくる会社もあります。

訴えられた場合も裁判の中で和解できることが多いので、やはり差し押さえまで行くようなことはほとんどありません。

任意整理では財産が差し押さえられることはほぼありませんが、銀行や自動車ローンを任意整理する際は注意が必要になります。

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