現在、モビットとSMBCファイナンスサービス(旧セディナ)は三井住友カードに合併されています。
そのため、任意整理を行う場合は三井住友カードとの交渉という形になります。
任意整理をすると、利息が原則0%にカットされ、元金を36~60回に分けて返済できるようになる可能性があります。
月の負担を減らせる一方、ブラックリスト登録などのデメリットも伴います。
三井住友カードを任意整理するとどうなるのか、メリット・デメリット・流れを司法書士の実務経験を踏まえて解説します。
三井住友カードを任意整理するとどうなる?
- 三井住友カードの借金を任意整理するとどうなりますか?
-
利息は0%となり元金のみを36~60回で分割返済でき、長期払いで月々の負担を軽減できます。
もともとどこからの借入だったのかで、分割払いの回数が異なります。
旧モビットの場合
- 分割回数:12回~60回
- 取引年数や利用状況によって回数が変動
- 利息:任意整理後は原則0%
旧SMBCファイナンスサービスの場合
- 分割回数:60回(5年)ほど
- 利息:任意整理後は原則0%
三井住友カード(合併前から契約していた人)の場合
- 分割回数:48回(4年)が基本
- 利息:任意整理後は原則0%
比較表
契約元 | 分割回数 | 利息 |
---|---|---|
旧モビット | 12~60回(利用状況で変動) | 0% |
旧SMBCファイナンスサービス | 60回 | 0% |
三井住友カード(元々契約) | 48回 | 0% |
【借金が減らず悩んでいた事例】

毎月返済しても元金が減らず、いつまで経っても終わらない状況でした。三井住友カードを任意整理して利息がゼロになったことで、完済のゴールが見えるようになりました。
三井住友カードは対応が厳しい?
旧モビット時代から、交渉が長引くと訴訟に移行するケースがあるため、スピード感を持って対応することが重要です。
司法書士や弁護士を通じて、受任通知を送ったら早めに和解交渉を進める必要があります。
任意整理については、以下の記事でも詳しく解説しています。


任意整理をしたケースとしないケースの比較
「利息がなくなり、分割払いになる」と聞いても、実際にどの程度の違いがあるのかイメージしにくい方も多いでしょう。
そこで、40万円を借入した場合の返済内容をシミュレーションし、任意整理をするケース・しないケースで比較してみます。
任意整理をしないケースの返済内容
- 借入額:40万円
- 金利:18%
- 毎月の返済額:11,000円
- 完済までの期間:約4年5か月
- 支払う利息の総額:約18万円
任意整理後の返済内容
- 借入額:40万円
- 利息:0%(任意整理後は原則カット)
- 分割回数:48回(4年)
- 毎月の返済額:約8,300円
- 支払う利息総額:0円
比較表
任意整理前 | 任意整理後 | |
---|---|---|
支払う利息総額 | 約18万円 | 0円 |
完済までの期間 | 4年5か月 | 4年 |
毎月の返済額 | 11,000円 | 約8,300円 |
まとめ
任意整理をすると、利息負担がなくなり返済総額が大幅に減少します。
上記では48回分割で比較しましたが、60回の分割払いになると、毎月の返済額は約6,700円になります。


三井住友カードは過払い金の対象になる?
三井住友カード
- 2005年以前からの取引:過払い金が発生する可能性あり
- ただし対象は「キャッシング一括払い」だけ
- 翌月に一括返済するキャッシング
- 過払い金が発生する可能性あり
- キャッシングのリボ払い・ショッピング利用
- 過払い金は発生しない
旧SMBCファイナンスサービス
- 2007年以前からの取引:過払い金が発生する可能性あり
- ショッピング利用では過払い金は発生しない
旧モビット
- 法律内の利息での貸付のみ
- 過払い金は一切発生しない
過払い金や減額がある場合の交渉の流れ
- 借金が減額される場合
- 例:30万円の借入を計算したら10万円に減額
- 減額後の10万円だけを利息0%で分割返済(任意整理)
- 借金が全額なくなり過払い金が発生する場合
- 例:30万円の借入を計算したら過払い金30万円が発生
- 任意整理ではなく「過払い金請求」へ切替
引き直し計算については、以下の記事でも詳しく解説しています。


まとめ
- 三井住友カード:2005年以前のキャッシング一括払いのみ過払い金の可能性あり
- 旧SMBCファイナンスサービス:2007年までのキャッシングは過払い金発生の可能性あり
- 旧モビット:過払い金は発生しない
- 引き直し計算の結果によっては、
- 借金減額後に任意整理
- 借金ゼロ+過払い金返還請求
という2パターンの交渉になる


三井住友カードを任意整理するデメリット
- 三井住友カードを任意整理する際のデメリットは何がありますか?
-
三井住友カードは解約となり、信用情報に登録されるため他のカードも解約になる可能性があります。
三井住友カードは解約になる
- 任意整理をすると、その会社のクレジットカードはすべて解約になる
- 三井住友カードを任意整理した場合
- 三井住友カードは解約
- モビットや旧SMBCファイナンスサービスのカードもある場合
- モビットや旧SMBCファイナンスサービスも解約になる
解約すると貯まっているポイントは失効する可能性があるため、注意が必要です。
ブラックリストに登録される
任意整理をすると、信用情報機関に「事故情報」として登録され、いわゆるブラックリスト状態になります。
ブラックリスト中に起こること
- お金を借りられない
- カードローン・キャッシングなど新たな借入ができない
- ローンが組めない
- 住宅ローン・自動車ローン・スマホ端末の分割払いも困難
- クレジットカードが持てない
- 任意整理をしていないカードも、信用情報の定期確認で解約になる可能性あり
ブラックリストの影響については、以下の記事でも詳しく解説しています。


ブラックリストの影響がでる期間
- ブラックリストへの登録は任意整理後、完済してから5年間残る
- 5年を過ぎれば事故情報は削除される
- 再びクレジットカードやローンの審査を受けられるようになる
ブラックリスト中の生活手段
- 現金での生活
- 日常の支払いは問題なく可能
- デビットカード
- 口座残高の範囲で使えるため、クレジットカードの代わりになる
- PayPayなどのQR決済
- ネットショッピングや普段の買い物にも利用できる
デビットカードやスマホ決済については、以下の記事でも詳しく解説しています。




まとめ
項目 | 任意整理の影響 |
---|---|
三井住友カード | 解約(ポイントは失効) |
他のクレジットカード | 解約になる可能性あり |
借入・ローン | 新規契約不可 住宅 自動車 スマホ分割も困難 |
ブラックリスト期間 | 完済後5年で解除 |
代替手段 | 現金 デビットカード スマホ決済等 |


三井住友カードを任意整理する流れ
- 三井住友カードの任意整理の手続きはどのように進んでいくんですか?
-
まず受任通知という書類を三井住友カードへ送付して、その後に利息のカットや分割払いの回数の交渉を行っていきます。
依頼から交渉が完了して、返済が再開されるまでは3ヶ月~6ヵ月ほどです。
専門家が行う手続き
- 弁護士や司法書士と面談
- 借入内容・返済状況・収入や支出を申告
- 費用・注意点の説明を受ける
- 基本的には面談は1度のみ
- 専門家が三井住友カードに受任通知を送付
- これにより返済は一時ストップ
- この間に依頼者は積立金を行う
- 督促が来ることはない
- 三井住友カードと交渉
- 利息のカット(0%化)
- 分割回数(36〜60回など)の決定
- 過去に法律以上の利息で取引があれば引き直し計算を行い、減額された金額で交渉
- 交渉成立後、決定した条件で返済開始
- 元金のみを分割払い(利息0%)
依頼者が行うこと
- 受任通知送付後は支払いを一時停止
- 停止中も三井住友カードから督促が来ることはない
- 返済を止めている間に、専門家へ積立金を支払う
- 目的は
- 任意整理後に返済を続けられるかの確認
- 専門家の費用を分割払いするため
- 積立金ができないと任意整理が進められず、個人再生や自己破産を検討する必要もある


- 任意整理の交渉がまとまるのは3〜6か月程度
- その後は合意内容に沿って返済を再開し、完済を目指す
【三井住友カードを任意整理した事例】



面談は1回で済み、あとは司法書士に任せられました。三井住友カードからの請求が止まり、督促も来なくなって安心しました。無理のない金額で返済を再開できました。
任意整理の流れについては、以下の記事でも詳しく解説しています。




FAQ(よくある質問)
家族や勤務先に三井住友カードの任意整理が知られる可能性はありますか?
家族や会社に連絡が行くことはありません。
ただし、クレジットカードが急に使えなくなった場合に気づかれる可能性はあります。


三井住友カードを任意整理している途中で返済ができなくなったらどうなりますか?
返済が滞ると和解条件が破棄され、一括請求や法的手続きに移行する可能性があります。
その場合は個人再生や自己破産を検討することになります。
三井住友カード以外の借入も一緒に任意整理できますか?
はい、任意整理は複数の債権者をまとめて交渉することができます。
状況に応じて対象を選択することも可能です。
三井住友カードの家族カードやETCカードはどうなりますか?
本会員のカードが解約されると、付帯している家族カードやETCカードも自動的に利用停止になります。


まとめ
- 三井住友カード(旧モビット)を任意整理すると
- 利息は0%
- 36〜60回程度の分割返済になる
- 旧SMBCファイナンスサービスや旧モビットとの契約
- 現在は三井住友カードに統合されている
- 任意整理の交渉先は三井住友カード
- 過払い金は一部の古いキャッシング取引を除き発生しないが、引き直し計算をすることで借金が減額される可能性もある
- 任意整理をするとブラックリストに登録される
- カードやローンは利用できなくなる
- 影響は完済から5年で消える
- 家族や会社に知られずに手続きできる可能性が高い
司法書士からのアドバイス
任意整理は「もう返済できない」と思ったときの最後の手段ではなく、返済が苦しいと感じた時点で早めに相談すべきです。
早く動くほど和解交渉も有利に進み、訴訟や差押えといったリスクを避けられます。
また、三井住友カードは取引内容や、契約時期によって対応が変わることがあるのも特徴です。
借金問題は「放置すること」が一番のリスクです。