任意整理で遅延損害金はカットできる?上乗せ和解の返済額と例外を解説

当サイトの記事は、 司法書士 三浦永二(東京司法書士会/登録番号7300号) が執筆・監修しています。

任意整理を検討している方から、「遅延損害金はカットできるのか」という質問をよく受けます。

近年はカットに応じない業者が増え、遅延損害金を元金に上乗せして和解するケースが多くなっています。

この記事のポイント

利率の上限
キャッシングは年20%、ショッピングは年14.6%が上限です。
現在の傾向
将来利息はカットされても、遅延損害金は元金に上乗せして和解することが増えています。
一括の場合
一括で払える場合は、遅延損害金のカットに応じる業者もあります。
依頼後の増加
依頼後も和解が成立するまで増え続けるため、和解までの期間で総額が変わります。
払えない時
上乗せ後の返済額でも厳しければ、個人再生や自己破産を検討します。
目次

遅延損害金とは?利率の上限と計算方法

遅延損害金は、返済期日に遅れたとき、遅れた日数分だけ加算されるお金です。

返済が遅れたことへの賠償金なので、通常の利息より高い利率で計算されます。

借入の種類 遅延損害金の
上限
100万円を
半年滞納
キャッシング 年20% 約10万円
カードの
ショッピング
年14.6% 約7.3万円

遅延損害金の上限は、キャッシングが利息制限法で年20%、ショッピングが消費者契約法9条1項2号で年14.6%です。

多くの貸金業者やカード会社は、どちらも上限と同じ利率に設定しています。

遅延損害金の計算方法

キャッシング100万円を90日滞納した場合

  1. 計算式 元金 × 遅延損害金の利率 × 遅延日数 ÷ 365日
  2. 数字を当てはめる 100万円 × 20% × 90日 ÷ 365日

遅延損害金約49,315円

実際の金額は、契約内容・残高・計算方法によって異なります。

一括請求を受ける前は、遅れた回の返済額にだけ遅延損害金がかかります。

一括請求を受けた後は、残っている元金全体にかかるため、一気に増えます。

任意整理の依頼後も和解まで増え続ける

遅延損害金は、任意整理を依頼した後も止まらず、和解が成立するまで増え続けます。

受任通知から和解までの分を、実務上「経過利息」と呼び分けることもあります。

どちらも元金に上乗せされる負担なので、この記事ではまとめて「遅延損害金」と呼びます。

種類 発生する期間 任意整理での扱い
遅延損害金 返済が遅れた日から
受任通知まで
元金に上乗せ
されることが多い
経過利息 受任通知から
和解成立まで
遅延損害金と
合わせて上乗せ
されることが多い
将来利息 和解成立から
完済まで
カットされる
ことが多い
(業者による)

任意整理で遅延損害金はカットできるのか

任意整理は、司法書士や弁護士が貸金業者と直接交渉して、将来利息や遅延損害金のカットを目指す手続きです。

ただし現在は、遅延損害金のカットに応じない業者が増えています。

以前

元金のみ

将来利息も
遅延損害金もカット

→

現在

元金+
遅延損害金

将来利息はカットされても
遅延損害金は上乗せ

以前は、将来利息も遅延損害金もカットし、元金だけを分割返済する和解が一般的でした。

現在は、社内基準で「遅延損害金は原則カットしない」と定める業者が増えている印象です。

遅延損害金は契約上発生したお金で、業者から見れば本来請求できる金額だからです。

滞納が長い場合や、すでに一括請求や裁判に進んでいる場合は、さらにカットが難しくなります。

遅延損害金が上乗せされた場合の返済額まで、事前に確認しておくことが大切です。

任意整理と裁判の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。

一括で払える場合はカットに応じることがある

カットに応じない業者でも一括で完済する場合は、遅延損害金の一部のカットに応じることがあります。

長期分割より一括の方が確実に回収でき、回収の手間も省けるためです。

家族からの援助や貯金で一括払いできる場合は、分割とは別の条件で交渉できる可能性があります。

遅延損害金はカットされなくても、毎月の返済額は下げられた事例

毎月の返済額が高く、半年ほど滞納していた方の事例です。
貸金業者は、遅延損害金のカットには応じない方針でした。

しかし、将来利息のカットと長期分割(5年払い)には応じてもらえたため、月々の負担を現実的な水準まで下げることができました。

遅延損害金のカットに応じない業者でも、将来利息のカットと長期分割には応じるケースは多くあります。
任意整理の効果は、遅延損害金のカットだけではありません。

和解までの期間で上乗せされる遅延損害金が変わる

遅延損害金は和解まで日々増えるため、早く和解できるほど上乗せされる金額は小さくなります。

和解まで4か月 約65,753円
和解まで8か月 約131,506円

元金100万円・遅延損害金年20%で計算。

依頼から和解までの期間が4か月延びるだけで、遅延損害金に約6万6,000円の差が生まれる計算です。

和解までの期間は、事務所の対応スピードと、費用の積立期間で変わります。

費用が高いと積立に時間がかかり、和解交渉に入るのが遅れるためです。

費用と積立期間の関係は「債務整理の費用相場」「任意整理の積立金」で解説しています。

依頼から和解までの期間の目安は「任意整理の流れと期間」をご覧ください。

遅延損害金が上乗せされた場合の返済額

カットされなかった場合は、元金に遅延損害金を足した金額を、3〜5年で分割返済します。

元金100万円・遅延損害金30万円なら、毎月の返済額は次のように変わります。

分割回数 元金のみで和解
(100万円)
遅延損害金を上乗せ
(130万円)
36回払い 約27,800円 約36,200円
60回払い 約16,700円 約21,700円

この金額を払い続けられる見込みがあれば、任意整理で進められる可能性があります。

払えるかどうかの確かめ方は「任意整理ができないケース」で解説しています。

返済が厳しいなら個人再生・自己破産を検討

上乗せ後の返済額でも厳しい場合は、個人再生や自己破産を検討します。

どちらも、遅延損害金を含めた借金全体が対象になります。

個人再生は借金全体を減額して原則3年で返済し、自己破産は免責が認められれば支払い義務が免除されます。

どの手続きを選ぶかは「債務整理の優先順位」で解説しています。

参考:債務整理-東京司法書士会

長期滞納なら時効、取引が長いなら過払い金を先に確認

滞納が長い借金や取引が長い借金は、任意整理の前に次の順番で確認してください。

1 過払い金が発生していないか確認

2007年以前からキャッシングをしている場合は、過払い金が発生している可能性があります。
引き直し計算で借金が減ったり、残高がゼロになったり、返金を受けられたりします。

2 時効になっていないか確認

最後の返済から5年以上たっていれば、時効の援用で遅延損害金も含めて払わずに済む可能性があります。
ただし、裁判を起こされていたり、支払いを認める発言をしていたりすると、時効が完成していないことがあります。
長く滞納している借金の請求が来たら、支払う前に確認してください。

3 返済が苦しければ債務整理を検討

過払い金も時効も使えず返済が苦しい場合は、任意整理・個人再生・自己破産から、返済できる手続きを選びます。

参考:過払い金を請求できるケースとは?-東京司法書士会

よくある質問(FAQ)

遅延損害金はどうやって計算されますか?

滞納した元金×遅延損害金率(通常年20%)×遅延日数÷365で計算します。

遅延損害金は自己破産や個人再生でもカットされますか?

自己破産では、免責が認められれば、遅延損害金を含めた借金の支払義務は原則として免除されます。

個人再生では、遅延損害金を含めた債務全体をもとに再生計画を作成し、法律に基づいて返済額が圧縮されます。

遅延損害金の支払いを拒否するとどうなりますか?

支払いを拒否すると、訴訟や強制執行に発展するリスクがあります。

遅延損害金の発生を防ぐためにできることはありますか?

早めの返済計画の見直しや、支払いが難しいと感じた時点ですぐに専門家へ相談することが大切です。

任意整理を依頼すれば必ず遅延損害金はカットされますか?

必ずカットされるわけではありません。近年はカットに応じない貸金業者が増えており、元金に上乗せされて返済対象になるケースも多いです。事務所の対応スピードで結果が変わることもあります。

過去にカットできた事例はありますか?

一部の業者では現在でも遅延損害金のカットに応じることがあります。また、本来はカットに応じない業者も一括で完済ができる場合はある程度の遅延損害金のカットに応じてもらえる可能性があります。

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