任意整理で裁判になるか?訴状が届いた時の対応を司法書士が解説

当サイトの記事はすべて司法書士三浦永二(東京司法書士会所属、登録番号7300号)が執筆しています。

  • 「裁判所から書類が届いたが今から任意整理できる?」
  • 「任意整理をすると貸金業者から訴えられるのでは?」
  • 「財産を差押えられるのでは?」

このような質問を受けることがあります。

任意整理をすると本当に裁判になるのか、裁判になった後でも任意整理で解決できるのか──この点はよく質問されるポイントです。

本記事では、任意整理と裁判・差押えの関係について、司法書士がわかりやすく解説します。

先に結論|任意整理と裁判・差押えのポイント

  • 滞納している場合は、任意整理をしても裁判を起こされることがある
    • きちんと対応すれば多くは「裁判上の和解」で解決できる
  • 訴状や支払督促を放置すると
    • 判決→給与・口座差押えに進むリスクが高い
  • 差押え後は任意整理で止めるのは難しい
    • 自己破産・個人再生を検討する場面もある
目次

よくある質問まとめ

滞納していたら訴状が届いた、どうすればいい?

放置せず、期日までに「答弁書」を提出し分割払いでの和解を申し出ることが重要です。専門家に依頼をする方法もあります。

支払督促とは?

簡易裁判所が送る書面です。2週間以内に異議申立てをしないと確定し、強制執行(差押え)につながります。

任意整理をして貸金業者から訴えられることはありますか?

あります。任意整理前にすでに延滞をしていたり、和解までに時間がかかると訴えてくる会社があります。

裁判後でも任意整理はできる?

可能です。 ただし、判決が確定した後は条件が厳しくなるため、早めの相談が必要です。

裁判所に出廷は必要になる?

弁護士や司法書士に任意整理をしている場合は、多くのケースでは本人が出廷する必要はありません。

任意整理をしても裁判になることはある?訴えられるケースと傾向

任意整理中に訴えられるケースは多くはありませんが、延滞や交渉の長期化などで提訴されることはあります。

法律上、貸金業者は任意整理中でも債務者本人を訴えることができますが、実際に裁判を起こす業者は少ないです。

訴えられるケース

  • 任意整理前から延滞・滞納が続いている
  • 和解交渉が長引いている
  • 貸金業者の方針

実務では、どの業者がどのタイミングで裁判を選びやすいか、ある程度傾向があります。

そのため、

  • 裁判に踏み切りやすい業者が相手の場合は、早めに交渉をまとめる
  • どうしても時間がかかる場合は、訴訟対応も視野に入れておく

といった対応が重要になります。

専門家に依頼していれば、こうした業者ごとの方針も踏まえて、訴訟に発展する前に和解を目指すのが一般的です。

任意整理については以下の記事で詳しく解説しています。

任意整理をしても可能性の図解

裁判を起こされた後でも任意整理できる?条件と注意点

訴えられて、裁判所から通知が来ている場合も任意整理はできますか?

既に訴えられている場合は任意整理ではなく、裁判上の和解になることが多いです。

訴えられても貸金業者との話し合いがまとまれば、任意整理と同様に「将来利息のカット」「分割返済」で和解できることもあります。

ただし、判決や支払督促が確定してしまうと、裁判所での和解はできなくなるため、できるだけ早めの対応が必要です。

裁判中でも話し合いで分割払いにできる

  • 訴状が届いた場合
    • 裁判でも貸金業者と話し合いができる
    • 元金のみの分割払いで和解できるケースが多い
  • 支払督促が届いた場合
    • 異議申立てを行えば通常の裁判に移行する
    • 移行後は裁判所で話し合うことが可能になる

あくまでも話し合いなので、貸金業者が和解に応じなければ、一括で支払えという内容の判決になることもあります。

専門家に依頼すれば、

  • 答弁書の作成
  • 和解条件の交渉(分割回数・利息カットなど)

を代理人として行ってもらうことができます。

訴えられた後に依頼をした事例

20代 男性

訴状が来てから相談。利息カットして分割払いにしてもらえました。裁判所の対応も司法書士さんに全部お任せできました。

裁判所から書類が届いたときの3STEP

STEP
届いた書類を必ず開封し、種類と期限を確認する

訴状・支払督促など、書類名と「いつまでに何をする必要があるか」を確認します。

STEP
時効の可能性と返済の見通しをざっくり整理する

最後に支払った時期・借金の残高・毎月いくらなら払えそうかをメモにします。

時効が成立している可能性があるかどうかも、この段階で意識しておきましょう。

STEP
期限内に専門家へ相談し、答弁書や異議申立てを行う

自分だけで判断せず、司法書士・弁護士に書類を見せたうえで、

  • 任意整理
  • 裁判上の和解
  • 時効援用

など、どの方針が望ましいか相談します。

既に判決や支払督促が確定していると任意整理は難しい

  • 判決や支払督促が確定した後は、「裁判上」での和解はできない
  • 債権者によっては判決後でも「裁判外」での交渉に応じてくれる場合がある
  • ただし、債権者側に任意整理へ応じるメリットが少ないため、交渉は難航しやすい

判決等が確定した後は判決がでる前に比べると、任意整理に応じない可能性が非常に高くなります。

なるべくなら訴えられる前に専門家に相談すべきです。

任意整理に応じてもらえなく、返済ができない時は個人再生や自己破産を検討する必要があります。

個人再生や自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。

裁判上の和解が判決後は難しい旨の図解

書類別に見る|届いたときの対応方法

訴状+口頭弁論期日呼出状

  • 内容: 裁判が始まる通知書
  • 期限: 裁判所に指定された期日まで
  • 対応
    • 期日までに「答弁書」を提出する
    • 分割払いでの和解を希望する場合は、その旨を記載する
    • 必要に応じて専門家に依頼する

支払督促

  • 内容: 簡易裁判所から送られる請求書類
  • 期限: 受け取ってから2週間以内
  • 対応: 異議申立てを提出(放置厳禁)
    • 異議を出せば通常訴訟に移行し、話し合いが可能になる

少額訴訟呼出状

  • 内容: 60万円以下の少額債権を対象とした訴訟
  • 期限: 書面に記載された指定期日まで
  • 対応: 分割払いの提案や和解交渉を行う

これらの書類を放置すると「判決・支払督促の確定」→「差押え」へ進行する可能性があります。

任意整理中に裁判所へ行く必要はある?出廷が必要なケース

  • 任意整理を依頼していれば、基本的には司法書士や弁護士が代理人として対応する
    • 簡易裁判所の民事事件(訴額140万円以下)では、認定司法書士も訴訟代理が可能

事案や裁判所の指示により、本人出廷を求められる場合がありますが、本人が出廷を求められるのは例外的です。

通常は代理人が答弁書の提出や出廷、和解交渉を行います。

訴えられた後でも弁護士や司法書士に依頼をして、出廷や和解交渉を任せることも可能です。

裁判上の和解と任意整理の違い

比較項目任意整理裁判上の和解/判決
手続方法裁判外の交渉裁判手続の中で成立
利息利息カットが多い利息カットが多い
分割回数3〜5年が一般的3〜5年が一般的
延滞時の扱い再交渉可能な場合あり直ちに強制執行可能
  • 裁判上の和解は判決と同じように既判力というものがある
  • 和解内容通りに返済ができない場合
    • 給与差押え等の強制執行をされる可能性がある

借金の時効と訴えられたときの対応

STEP
5年以上返済していない借金は、時効が成立している可能性がある

最後に返済した日・借入先・契約状況を確認する

STEP
裁判所から届いた書類の期限を確認する

時効が成立していても、訴状や支払督促を放置すると時効を主張できなくなる

STEP
裁判所や相手に対して「時効を援用する」という意思を伝える必要あり

「時効を援用します」と答弁書等で明確に伝える必要がある

STEP
専門家に確認し、誤りなく手続きを進める

書き方や状況判断を間違えると、時効が認められないケースがある

5年以上支払っていない借金がある場合は、

  • 本当に時効が成立しているか
  • 時効の中断(更新)がされていないか

を含め、早めに専門家へ相談し、対応方針を決めることが重要です。

時効が成立していても裁判を放置して判決が確定すると、時効を主張できなくなるので注意が必要です。

10年以上前に利用していた債権者から突然訴状が届きました。司法書士に相談したところ時効の手続きをしてもらい支払いが不要になりました。

時効については以下の記事でも詳しく解説しています。

任意整理で差押えされることはある?裁判・支払督促との関係

任意整理をして、財産が差押えられてしまうことはありますか?

任意整理そのものが理由で、いきなり差押えになることはありません。

任意整理後に訴えられて判決が確定するところまでいかないと差押えはできませんし、そもそも任意整理をしても訴えられる可能性は低いです。

任意整理後に返済ができず訴えられて、判決を取られると財産が差押えられる可能性があります。

  • 任意整理しただけで財産が差押えられることはほとんどない
  • 判決や支払督促が確定しなければ債権者は差押えを行うことはできない

差押えが行われるのは、以下のような流れをたどった場合です。

STEP
返済を滞納し、督促状や一括請求を無視する

電話やSMS、メール、封書での督促を放置していると、法的手続きに移行する

STEP
訴状や支払督促を受け取り、それも放置する

裁判所からの書類を無視すると、判決や支払督促が確定してしまう

STEP
判決・支払督促が確定し、給与や預貯金が差押えられる

勤務先や銀行に差押命令が送られ、給料の一部や口座の残高が差し引かれる

この流れを止めるには、「裁判所からの書類を放置しないこと」が何より重要です。

滞納中の場合は任意整理をしても訴えられることはありますが、きちんと対応していれば、

  • 裁判上の和解
  • 分割払いでの合意

で終わることが多く、きちんと対応していれば差押えまで進むケースは多くありません。

任意整理では差押えはないが、訴えられると可能性がある旨の図解

銀行を任意整理する際は口座凍結に注意

  • 銀行からの借金を任意整理すると銀行口座が凍結される
  • 口座凍結後は、預金残高と借金が相殺される可能性がある

任意整理前に生活費を確保するために、

・給与振込口座を変更しておく
・対象となる銀行の口座から必要な資金を引き出しておく

といった対策が重要です。

銀行の債務整理については以下の記事でも詳しく解説しています。

自動車ローン返済中の場合は車が引き上げられる可能性がある

  • 自動車ローン返済中の会社を任意整理すると
    • 車は引き上げられて売却される可能性あり
  • 任意整理は「どの債権者を対象にするか」を選べる
    • 自動車ローン会社を対象外にして車を残すことが可能

自動車ローンを外して任意整理をして、返済が続けられるかどうか、家計全体を見ながら慎重に判断する必要があります。

債務整理と自動車の関係については以下の記事でも詳しく解説しています。

差押え後の任意整理では差押えは止まらない【自己破産なら止まる】

差押えられた後に任意整理をして、差押えを止めることはできますか?

差押え実行後は、任意整理では原則として差押えの解除はできません。 差押え前の早めの相談が重要です。

債権者からすると、

・裁判を起こし
・判決を取り
・差押え手続まで進めた

という時間と手間をかけているため、任意整理に応じて差押えを解除するメリットがほとんどありません。

自己破産で差押えは止まる

自己破産を申立てると、裁判所が「破産手続開始決定」を出した時点で、

  • 差押え
  • その他の強制執行

はいったん停止されます。

給与が差押えられている場合
  • 管財事件の場合:給料差押えが止まり、全額受け取れるようになる
  • 同時廃止の場合:開始決定後〜免責確定までは、差押え分の給料を取り戻せないことが多い

いずれにしても、差押えが始まってから任意整理で巻き返すのは難しいです。

差押えを根本的に止める必要がある場合は、自己破産や個人再生を含めた検討が必要になります。

まとめ|裁判になっても任意整理で解決できる可能性はある

  • 任意整理をして訴えられる可能性は低い
  • 一部訴えてくる会社も、早めに和解をすれば問題なし
  • 既に訴えられている場合、裁判所で和解ができることがある
  • 裁判を放置していると差押えられる可能性あり

司法書士からのアドバイス

借金の返済が難しく、訴状や支払督促が届くと不安で冷静な判断ができなくなる方が多く見られます。

しかし、裁判や督促が来ても話し合うことが可能です。

  • 期限内に対応すれば、強制執行(差押え)を防ぎ、分割和解で解決できる可能性が高い
  • 時効が成立している場合は、適切に援用すれば支払義務を免れることもある
  • 書類を放置するよりも、早めに専門家へ相談する方が圧倒的に有利

司法書士に依頼すれば、下記をあなたに代わって行うことができます。

  • 答弁書の作成
  • 和解交渉(分割案・利息カット)
  • 時効援用の手続き

「訴状が届いた」「支払督促を受け取った」段階であれば、まだ対応は可能です。

焦らず、まずは状況を整理し、専門家へ相談することが解決への第一歩です。

今すぐできる「やること3STEP」

STEP
届いている書類をすべて出し、内容と期限をチェックする

訴状・支払督促・督促状などが届いている場合、いつまでに何をする必要があるのかを確認します。

STEP
借金の残高・最終返済日・毎月出せる金額を書き出す

「どこに・いくら借りているか」「最後に支払ったのはいつか」「毎月いくらなら払えそうか」を紙にメモしておきます。

STEP
そのメモと書類一式を持って、専門家に相談する

自分だけで判断せず、司法書士や弁護士に現状を見てもらう。

任意整理・個人再生・自己破産・時効援用など、どの手続が一番現実的か一緒に検討してもらいましょう。

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