任意整理を途中でやめるリスク|後悔しない対処法を司法書士が解説

当サイトの記事はすべて司法書士三浦永二(東京司法書士会所属、登録番号7300号)が執筆しています。

任意整理は借金問題を解決する有効な手段ですが、依頼後に「やっぱりやめたい」「このまま続けて良いのか不安」

と感じる方は意外と多くいらっしゃいます。

  • どのタイミングならキャンセルできるのか
  • 途中解約のリスク
  • 後悔しないための事務所の選び方

上記を司法書士が専門的な視点と実際の相談例も交えて解説します。

目次

任意整理を「やめたい」と思う主な理由と相談実例

  • 依頼した事務所の対応や説明が良くなかった
  • ネットで他社の費用や評判を知り、乗り換えたくなった
  • ブラックリスト登録が現実味を帯びてきて不安になった
  • 家族や職場にバレないか心配になった
  • 返済プランを冷静に見直したい

【実際の相談例】

30代 男性

「ネットで調べ直したら、もっと安い費用や親身な対応の事務所が見つかり後悔しました」

20代 女性

「ブラックリストについて十分な説明がされず、不安になって途中で相談先を変えたくなりました」

任意整理はいつまでキャンセルできる?手続きの流れと判断ポイント

任意整理を依頼した後に依頼を取り消すことはできますか?

任意整理の和解が成立する前であれば、依頼を取り消すことは可能です。

和解が成立した後は取り消すことはできません。

手続きがどの段階なのかは、依頼をしている事務所に問い合わせれば確認することができます。

任意整理にはキャンセルできる段階と、もう戻れない段階があります。

任意整理の基本的な流れ

STEP
司法書士・弁護士へ依頼
STEP
受任通知を債権者へ送付

この時点で信用情報機関へ事故情報登録

STEP
債権者と和解交渉
STEP
和解成立

利息のカットや、毎月いくらの返済になるのかが決まる

STEP
分割返済の開始

依頼から交渉が完了するまでの期間は3ヶ月~6ヵ月ほどです。

キャンセルできるタイミングは「和解成立前」まで

  • 和解成立前なら、基本的に依頼の取り消し・キャンセルが可能です
  • 和解成立後は、原則として手続きをやめることはできません

既に和解済みの場合は取り消しできないので、早めの意思表示が重要です。

【実例】

50代 男性

「依頼後2週間で『やっぱりやめたい』と連絡したら、和解前だったのでキャンセルが認められました。」

任意整理の流れについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

キャンセル・途中解約のデメリットと注意点

任意整理を途中でやめるとデメリットはありますか?

基本的には、手続きを取り消してもブラックリストの登録は残ることになります。

事務所によっては着手金が返ってこなかったり、違約金が発生することもあります。

依頼を途中でキャンセルするデメリット
  • ブラックリストの登録は残る
  • 返金されない可能性
  • 督促が再開される、本人で交渉を行う必要がある

ブラックリスト(信用情報機関への登録)は消せない

  • 受任通知送付の時点で「事故情報」が信用情報機関に登録されます
  • 手続きを途中でやめても、ブラックリストの登録は5年程度残ります

受任通知送付後でも、信用情報機関に登録される前に取り消した場合は登録されない可能性があります。

後で後悔しないように、事前に十分な説明を受けて、納得したうえで依頼をすることが重要です。

ブラックリストの登録期間

任意整理でブラックリストに登録されたら、その借金を完済してから5年間登録が残ります。

これはブラックリストに登録された後、途中で任意整理をキャンセルした場合も変わりません。

任意整理開始+完済から5年間
ブラックリストに登録される
任意整理開始
完済後5年影響が残る

ブラックリストに登録されたか確認する方法

依頼をしている弁護士や司法書士から、貸金業者に問い合わせれば確認することができます。

既にブラックリストに登録されているのであれば、そのまま手続きを進めるという選択もあります。

ブラックリストの影響については、以下の記事でも詳しく解説しています。

ブラックリストに載るとできなくなること

支払った着手金・積立金が返金されない可能性

  • 着手金は返金されない可能性が高いです
  • 積立金も返金されないことがあります
  • 途中解約の「違約金」を請求されることもあります

キャンセル時の返金や違約金については、契約書等に記載があると思います。

契約書に記載がない場合は、依頼をした事務所に直接聞くという方法もあります。

督促・返済の再開、遅延損害金の発生

  • 依頼中は督促が止まりますが、キャンセル後は督促や返済請求が再開されます
  • 依頼中に返済を止めていた分の「遅延損害金」も請求されます

別の弁護士や司法書士に、再度任意整理を依頼すれば督促は止まります。

トラブル時の相談先

費用の返金等で事務所とトラブルになった場合は、消費生活センター(消費者ホットライン188)や法テラスへ相談しましょう。

キャンセル後・途中でやめた後の選択肢と再スタート方法

他の専門家へ再依頼はできる

別の弁護士や司法書士に、再度任意整理を依頼することができます。

事務所選びのコツ・やり直しポイント

  • 費用体系や口コミ、実績、対応の誠実さを複数比較
  • 疑問点・リスク・返金規定は事前に必ず確認
  • 納得できるまで「無料相談」を活用

個人で交渉を続ける場合の注意点

弁護士や司法書士に依頼をせず、個人で債権者を交渉をするという方法もあります。

ただし、以下の点には注意が必要です。

  • 今後の返済について、自分で債権者と交渉しなければなりません。
  • 返済計画や和解条件の設定は、専門知識がないと不利になる場合があります。

よくある質問Q&A

途中でやめた後、同じ事務所に再度任意整理を依頼できますか?

可能な場合もありますが、信頼関係や事務所の方針によって断られることもあります。

理由を明確にして相談してみましょう。

任意整理を途中でやめたら、自宅や車など財産は差し押さえられますか?

督促や裁判手続きが再開されるため、状況によっては差し押さえのリスクが高まります。

任意整理を途中でやめて自己破産や個人再生に変更することはできますか?

債務整理の方針を変更することは可能ですが、どちらも注意点や条件があります。

依頼をしている弁護士や司法書士に、早めに相談してみましょう。

任意整理を途中でやめた場合、家族にバレるリスクは高くなりますか?

督促や裁判が再開されると郵便物や連絡が増えるため、家族に知られる可能性が高まります。

実際の体験談・専門家が見た後悔パターンとアドバイス

20代 男性

「事務所の対応や費用に不満があって途中でやめたが、そこまでに支払った費用が返金されなかった。最初からよく比較すればよかったです。」

50代 女性

「家族に内緒で手続きしたが、途中で不安になりキャンセル。情報不足が原因だったので、もっと説明を求めるべきだったと後悔しています。」

専門家のアドバイス

  • 「最初の事務所選び」が重要。複数の事務所を比較して後悔を減らしましょう。
  • わからない点は遠慮せず何度も質問を。納得してから依頼することが一番のリスク回避です。
  • 強引な勧誘や不誠実な対応、費用の説明が不明確な事務所は避けましょう。

まとめ|後悔しない事務所選びを

  • 任意整理は和解前ならキャンセル可能だが、ブラックリストや返金されないリスクがある
  • 手続きを進めるか迷ったら、事務所へ「どこまで進んでいるか・費用返金規定」を確認
  • 「不安」「後悔」につながらないよう、慎重な比較と納得のうえで依頼を決めることが重要です。

途中でやめることがないように、事務所選びは慎重に行い、対応が良くないと感じたら他の事務所に相談してみるべきです。

依頼前のチェックリスト

任意整理を依頼する際は、下記をチェックすることが重要です。

  • 事前に「費用」「返金規定」「リスク」説明を受けたか
  • 複数事務所を比較したか
  • 担当者の説明や対応が丁寧か
  • 強引な勧誘や契約急がせはなかったか
  • 口コミ・評判・実績をネット等で確認したか
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