過払い金は返済中でも請求できる?条件・デメリット・流れを解説

当サイトの記事はすべて司法書士三浦永二(東京司法書士会所属、登録番号7300号)が執筆しています。

「まだ借金を返済中だけど、過払い金は請求できるの?」

これは日々の相談で非常によく聞かれる質問ですが、結論から言えば、返済中でも過払い金は請求できます。

条件に当てはまれば借金がゼロになり、返金も可能です。まずは無料診断で、あなたの取引に過払い金があるか確認すべきです。

返済中で過払い金が発生するのはどのような条件なのか?返済中に請求する際のデメリットはないのか解説します。

参考:過払い金を請求できるケースとは?-東京司法書士会

目次

借金返済中でも過払い金は請求できる

返済中でも過払い金が発生することはありますか?

返済中の状態でも過払い金が発生することはあります。

返済中の借入に過払い金が発生していた場合は、借入が全てなくなり過払い金を回収することになります。

過払い金は、利息制限法の上限金利を超えて支払った利息を返還してもらう制度です。

返済が続いていても、過去の借入期間に「グレーゾーン金利」があった場合、その分を計算し直すことで過払い金が判明します。

過払い金が発生する条件

  • 過払い金は過去に下記の法律の制限を超える利息での取引があった時だけ発生する
  • 2007年頃まで、上記の制限を超える「29%前後」の金利で貸付をしていた業者が多く存在した
利息制限法の金利の上限
10万円未満の借入20%まで
10万円以上~100万円未満の借入18%まで
100万円以上の借入15%まで

過去に法律よりも高い利息での取引があったら、取引の当初から法律の制限内の利息に直して計算をします。

完済前でも引き直し計算が可能

  • 法律の上限を超えていた場合、引き直し計算をすると利息が減り、その分元金の減り方が早くなる
  • 返済中でも、計算上すでに完済していた時点以降の支払いは払いすぎ=過払い金になる

過払い金が発生していれば、残りの返済は不要で、むしろ返金を受けられる立場になります。

2003年に利息25%で50万円を借りて返済中のケース

2003年の借入当初からの取引を利息18%で計算をした結果、2020年頃には実は借金は完済していて、

その後2021~現在まで支払った分が過払い金として発生することがある。

引き直し計算前
現在も返済中
引き直し計算後
2020年完済
以降の返済が過払い金になる

【返済中に過払い金請求を行った事例】

60代 男性

20年以上借入を続けていました。完済まであと2年の予定でしたが、司法書士に相談すると過払い金が残債を上回っているとわかり、その場で手続きを依頼。借金がゼロになり、さらに20万円が返ってきました。『もっと早く相談していれば』と心から思いました。

【返済中に過払い金が発生する流れ】

STEP
利率が法律の上限を超えている
STEP
引き直し計算で元金が早く減る
STEP
計算上、途中で借金が完済している
STEP
完済後の返済が過払い金になる
STEP
過払い金請求で残債ゼロ+返金が可能

過払い金が発生する条件については、以下の記事でも詳しく解説しています。

返済中でも引き直し計算をすると過払い金発生する

返済中に過払い金請求をするメリット

【返済が不要になった事例】

50代 男性

月5万円の返済が負担でした。過払い金請求で残債がゼロになり、返済が即ストップ。家族にも内緒で進められたのが助かりました。

返済が不要になる

過払い金が残債を上回れば、その時点で借金は完済扱いとなり、以降の返済は不要になります。

家族に秘密で手続きができる

  • 早く返済を終えることで、家族に借金を知られるリスクを軽減できる
  • 面談は原則1回のみ、以降は電話・郵送・メールで対応可能
  • 郵送は郵便局留め等の郵送方法の指定ができ、プライバシーを確保できる

返済額の軽減

過払い金で残債が減れば、毎月の返済負担も軽くなります。

利息負担の解消

引き直し計算で減額後に任意整理を行えば、任意整理後の利息もカットできます。

返済中に過払い金請求をするメリット

返済中に過払い金請求をするデメリット・注意点

返済中に過払い金請求をするデメリットはありませんか?

過払い金が発生している場合のデメリットは、請求したカードが解約になることぐらいです。

計算の結果、借入が減ったけど0円にならなかったら、残った金額を任意整理することになりブラックリストに登録されます。

過払い金が発生している場合

  • デメリット:請求した会社のカードは解約になる
  • ブラックリスト:基本的には登録されない

過払い金請求の手続き中、一時的にブラックリストに登録される可能性はあります。

仮に登録された場合、遅くても過払い金が返金されるまでの間に、ブラックリストの登録はなくなります。

カード解約については、以下の記事でも詳しく解説しています。

借金は減額されたが0円にはならないケース

  • 減額された残債を任意整理して分割返済することになる
  • ブラックリストに登録される:任意整理をすると信用情報機関に登録される

50万円の借入を計算したら20万円まで減額になるケース

上記では減額された20万円を任意整理して、分割で支払っていくことになります。

ブラックリストの影響については、以下の記事でも詳しく解説しています。

ショッピング残高がある場合

ショッピングリボ・分割払い利用中に過払い金請求すると、以下のように相殺されます。

過払い金 > ショッピング残高
過払い金 < ショッピング残高
  • 相殺後の残額を回収可能
  • ブラックリストには登録されない
    (手続き中一時登録の可能性あり)
  • 差額を任意整理して返済
  • ブラックリストには登録される

ショッピングリボ等の残債がある状態で過払い金の請求をすると、ショッピングの残金と過払い金とで相殺されます。

過払い金の方が少なく、相殺しきれないと残金を任意整理することになり、ブラックリストに登録されます。

任意整理については、以下の記事でも詳しく解説しています。

ポイントまとめ

  • 過払い金請求でカードは解約になる
  • 過払い金が残債より多ければ、基本的にはブラックリストなし
  • 過払い金が残債より少ないと、任意整理になるのでブラックリストに登録
  • ショッピング残高がある場合は、相殺の結果で登録有無が変わる

デメリットを回避する方法

ポイント】

  • いきなり請求せず、まずは「過払い金があるかどうか」を調査
  • 調査後の結果に応じて、請求のタイミングを決める

過払い金の診断については、以下の記事でも詳しく解説しています。

手順

STEP
借入先から取引履歴を取得
STEP
引き直し計算を実施(自分でするか専門家に依頼)
STEP
結果に応じて対応を選択

調査結果ごとの対応

調査結果対応方法
借金がゼロ+過払い金ありすぐに過払い金請求
借金残あり+過払い金なし・完済後に請求
・返済を継続して過払い金が発生したタイミングで請求

補足

  • 取引履歴は本人でも請求可能
  • 弁護士・司法書士に依頼すれば、履歴取得~計算まで代行可能
  • 調査だけ依頼してもOK(請求するかは後で決定できる)

引き直し計算については、以下の記事でも詳しく解説しています。

返済中に過払い金請求をするデメリット

ケース別:返済中の過払い金請求可否

消費者金融・カードローン返済中

2007年以前から取引があれば、過払い金が発生している可能性が高いです。

クレジットカードのキャッシング返済中

キャッシング枠利用分は対象となる可能性がありますが、ショッピング利用分は対象外です。

クレジットカードも2007年以前からキャッシングの取引があれば、過払い金が発生している可能性が高いです。

銀行カードローン

銀行は法律の制限よりも高い利息になることはないため、過払い金は発生しません。

銀行の過払い金については、以下の記事でも詳しく解説しています。

返済中に請求する手順と流れ

STEP
相談~契約
STEP
取引履歴の開示請求(業者に書面で請求)
STEP
引き直し計算(過払い金の有無と金額を算定)
STEP
相殺または返還請求
STEP
和解交渉または訴訟

【体験談】

40代 女性

司法書士に依頼したら、まず業者に取引履歴を請求してくれました。自分は依頼をするだけ。スムーズで、面倒な作業はありませんでした。

過払い金請求の流れについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

専門家に依頼したほうが良いケース

  • 取引が長期かつ複雑な場合
  • 時効が迫っている場合
  • 複数社借入している場合
  • 残債が多く債務整理も視野に入れる場合

よくある質問(FAQ)

返済中でも過払い金があれば借金はなくなりますか?

残債と過払い金を相殺してゼロになることがあります。

返済中に過払い金請求をする際に費用面で注意することはありますか?

返済中に請求をする時は減額報酬に注意が必要です。

減額報酬が必要ない事務所に依頼をしたほうが手元に返ってくる金額が増えることになります。

返済中で過払い金がない場合はどうなりますか?

返済が難しい状況でしたら、任意整理をすることが可能です。

返済中の過払い金請求後、業者との取引を継続できますか?

請求した業者とは原則取引は終了しますが、他社との利用は可能な場合があります。

まとめ|司法書士からのアドバイス

返済中でも過去に法律の制限を超える利息で取引があると、過払い金が発生している可能性があります。

計算の結果借金がなくなり、過払いの状態であれば過払い金請求をすると返済をする必要がなくなります。

計算で借金が減額になったけど過払い金がでていない時は、減額後の借金の任意整理になり、ブラックリストに登録されます。

正式な依頼前に過払い金の有無を調べるため、引き直し計算をして過払い金の調査を行うことができます。

計算結果次第で借入がなくなり過払いになっているなら過払い金請求をする。

過払いの状態ではない=請求はしない、という選択ができるので、これによりブラックリストに載るリスクを回避できます。

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