債務整理と法テラス|相談無料の条件・費用・流れを司法書士が解説

当サイトの記事は、 司法書士 三浦永二(東京司法書士会/登録番号7300号) が執筆・監修しています。

借金の返済が困難で債務整理を検討しても、弁護士や司法書士にかかる費用の支払いがネックになることがあります。

そうした場合は、法テラス(日本司法支援センター)の利用を検討しましょう。

収入や資産の条件を満たせば、費用を抑えて債務整理ができ、その費用を立て替えてもらえる制度があります。

利用できる条件、手続きごとの費用、申込の流れを司法書士が解説します。

この記事のポイント

  • 無料になるもの

    法律相談のみ。手続きの費用は無料にならない

  • 立替制度

    収入・資産の基準を満たせば費用を立て替えてもらえる(審査あり)

  • 返済

    契約の2か月後から、月5,000〜10,000円程度の分割で返済する

  • 費用が安くなる目安

    任意整理は2社以上なら相場より安くなる

  • 申込ルート

    法テラスへ直接、または法テラスと契約している事務所経由

参考元:民事法律扶助業務-法テラス

目次

法テラスとは?何が無料になる?

法テラスは、法律トラブルについて一定の要件のもとで支援を行う公的機関です。

どこに相談すればいいか分からない場合の窓口案内もしています。

費用の捻出ができない人には、法テラスが費用を立て替える「民事法律扶助」という制度があります。

借金問題や債務整理の相談にも対応しており、条件を満たす方に次の支援を提供しています。

法律相談援助

  • 弁護士・司法書士への法律相談が無料
  • 1回30分まで
  • 同一の事件で3回まで利用可能

代理援助

  • 弁護士・司法書士が代理人として交渉・手続きを行う
  • 代理人に依頼する費用を立て替えてもらえる

書類作成援助

  • 弁護士・司法書士への書類作成費用を立て替えてもらえる
  • 司法書士に個人再生・自己破産の書類作成を依頼する場合はこの援助になる

法テラスで債務整理を相談→申込→立替の流れ

法テラスの民事法律扶助を利用するにはどうすればいいですか?

法テラスに電話かWEBで相談の予約を入れる方法になります。

法テラスと契約している弁護士や司法書士へ直接連絡をして、民事法律扶助を利用したいと伝える方法も可能です。

法テラスと契約している事務所かどうかは法テラスがHPで公開しています。

参考元:無料法律相談のご利用の流れ-法テラス

1 電話またはWEBから予約する

相談方法は地域によって異なるため、お住まいの地域の法テラスのページを確認してください。
地域によってはWEB相談ができないこともあります。

2 弁護士や司法書士と相談する

法テラスの事務所または専門家の事務所での対面、オンライン相談、電話相談から選べます。
相談は1回30分まで、同一の事件で3回まで無料です。

3 援助申込書と必要書類を提出する

給与明細・源泉徴収票・年金証書などの収入資料、固定資産評価証明書、住民票を提出します。
これらをもとに、条件を満たしているかの審査を受けます。

4 立替が決まり、手続きを開始する

審査に通れば費用が立て替えられ、債務整理の手続きが始まります。
返済は契約した日の2か月後から始まります。

誰が法テラスを使える?収入・資産の条件

法律相談を無料で受ける条件

  • 月収が基準以下であること
  • 現金・預貯金が一定額以下であること
  • 報復や宣伝、権利の濫用目的の訴訟でないこと

費用の立替を受ける条件

  • 月収が基準以下であること
  • 現金・預貯金が一定額以下であること
  • 報復や宣伝、権利の濫用目的の訴訟でないこと
  • 勝訴の見込みがないとは言えないこと

たとえば、請求額が少額で費用倒れになるようなケースや、相手に支払い能力がない場合は対象外となる可能性があります。

月収と資産の基準

民事法律扶助の対象になるには、世帯収入と保有資産の両方が基準を下回っている必要があります。

配偶者がいる場合は、申込者と配偶者の合計の手取り金額(賞与含む)で判断されます。

家族構成月収(一般)月収(大都市)資産の上限
単身182,000円200,200円180万円
2人家族251,000円276,100円250万円
3人家族272,000円299,200円270万円
4人家族299,000円328,900円300万円
※5人家族以降は1人増えるごとに30,000円(大都市圏は33,000円)加算。
月収の上限金額

保有資産から自宅は除きます。

大都市圏は東京23区以外にも、埼玉県ならさいたま市や川口市など、都内近郊が該当する可能性が高いです。

詳細は法テラスの下記のページ(生活保護の基準に定める一級地)にて確認でき、記載がある市町村は大都市圏に該当します。

家賃・住宅ローンがある場合

家賃や住宅ローンを支払っている場合は以下の範囲内で家賃や住宅ローン分が加算されます。

家族構成一般地域東京23区
単身41,000円53,000円
2人家族53,000円68,000円
3人家族66,000円85,000円
4人家族71,000円92,000円
家賃、住宅ローンの加算額

具体例:夫婦2人世帯、東京23区に居住

基準額

月収の基準
344,100円
(276,100円+家賃加算68,000円)
資産の上限
250万円

この世帯の状況

手取り月収
320,000円
預貯金と現金
180,000円
その他の財産
なし

月収も資産も基準を下回るため、民事法律扶助を利用できる可能性があります

法テラスを利用した債務整理の費用

法テラスでは、債務整理の手続きに関して明確な費用基準が定められています。

民事法律扶助を利用できる人は、この基準に沿った費用で債務整理が可能です。

個人再生と自己破産は司法書士に代理権がないため、司法書士の場合は書類作成援助のみになります。

任意整理の費用

法テラスでは以下の基準が設定されています。債権者(貸金業者)の数によって費用が異なります。

件数費用
1社43,000円
2社64,500円
3社86,000円
4社108,000円
5社135,000円
6社~10社179,000円
11社~20社206,000円
21社以上233,000円
民事法律扶助による任意整理の費用

一般的な任意整理の相場は1社あたり5~10万円程度のため、1社のみの場合は法テラスを利用しても費用面のメリットは少ないかもしれません。

しかし、2社以上になると基本的に法テラス基準の費用の方が安くなってきます。

個人再生の費用(司法書士・弁護士別)

個人再生

司法書士
着手金110,000円+実費20,000円
弁護士
着手金165,000〜220,000円+実費35,000円

再生委員が選任されない場合は
33,000円が加算される可能性があります

自己破産

司法書士
着手金88,000円+実費17,000円
弁護士
着手金165,000〜220,000円+実費35,000円

債権者が21社以上の場合
司法書士の着手金は99,000円になります

予納金や再生委員の報酬は立替の対象外です
(生活保護受給者は立替制度あり)

※事件の難易度によって着手金が増減する場合があります。

立て替えてもらった費用の分割払い

法テラスに立替てもらった費用は、原則として契約した日の2ヶ月後から分割で返済をします。

1回の返済額は5000円~10000円程です。

ただし、以下のいずれかに該当する場合は返済が免除されることがあります。

  • 生活保護と同程度の困窮状態と認められる
  • 生活保護を受給している

民事法律扶助を利用できない場合

収入や資産が基準を超えていて民事法律扶助を利用できない場合でも、債務整理を諦める必要はありません。

多くの事務所では、費用の分割払いや後払いに対応しています。

返済を止めている期間に積み立てる形なので、依頼時にまとまったお金を用意する必要はありません。

くわしくは下記のページを参照ください。

よくある質問

法テラスを使えば、債務整理の費用は無料になりますか?

無料になるのは法律相談だけです。弁護士や司法書士の費用は立て替えてもらえますが、返済する必要があります。

ただし、生活保護を受給している方や、生活保護と同程度の困窮状態と認められる方は、返済が免除される可能性があります。

法テラスは誰でも利用できますか?

いいえ、審査があります。

無料相談も費用の立替も、収入と資産が基準を下回っているかを審査されます。基準を超えている場合は利用できません。

最寄りの法テラス窓口や電話番号はどこで確認できますか?

法テラス公式サイトで確認できます。

法テラスを利用すると信用情報(ブラックリスト)に影響しますか?

影響はありません。法テラスを利用した事実が信用情報に記録されることはありません。

ただし、債務整理を行った場合は影響がでます。

法テラスの利用は一度きりですか?

同一の案件ではなく、新たに法的問題が発生した場合には改めて相談できます。

まとめ

民事法律扶助を利用できれば、債務整理の費用を抑えながら、立替制度を利用して分割で返済できます。

ただし、利用には収入や資産などの条件があり、審査に通らなければ利用できません。

司法書士からのアドバイス

費用が不安でも、借金問題をそのまま放置すると利息や遅延損害金によって負担が増える可能性があります。

まずは民事法律扶助を利用できるか確認し、難しい場合は分割払いに対応している弁護士・司法書士へ相談してみましょう。

早めに相談することが、生活を立て直す第一歩になります。

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