- 今月だけ支払いが難しい時はどうすればいいのか?
- 任意整理後に今月だけ払えない場合は?
- 任意整理後に返済ができない状態が一時的ではないケース
「今月だけ返済ができない」という状況は、誰にでも起こりうるものです。
しかし、この段階で安易に任意整理を選ぶと、今後の生活や信用に大きな影響を及ぼす可能性があります。
この記事では、「一時的な返済困難」に対してどのように対応すべきか、また「任意整理が本当に必要なケース」とはどんな場合かについて、司法書士の視点で丁寧に解説します。
参考元:債務整理-東京司法書士会
今月だけ借金の返済ができないとき、任意整理すべきか?
- 今月だけ借金の返済ができない場合はどうすればいいですか?
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今月だけ返済ができないけど、来月以降は問題なく支払って行けるという、一時的なものであれば返済を待ってもらえることもあります。
まずは正直に借入をしている会社に相談してみるべきです。
相談しても返済を待ってもらえかったり、返済ができない状況が一時的なものではないのであれば、任意整理を検討したほうがいいでしょう。
一時的に返済ができない場合の対応策
「今月だけ支払いができない」「来月には通常通り返済できる」という状況であれば、任意整理をせずに乗り切る方法があるかもしれません。
というのも、任意整理をするとブラックリストに登録されるためです。
以下のような対応をしてもらえないか、まずは貸金業者に相談してみましょう。
- 返済日の延長や分割変更を交渉する
- 利息の一部免除をお願いする
- 次月にまとめて支払う猶予をもらう
なかなか難しいとは思いますが、返済の意思があり、継続的な支払い能力があることを伝えれば、柔軟に対応してくれる業者もあります。
ただし、必ず事前に連絡することが大前提です。
連絡もなく滞納すると、状況を考慮してもらうことは難しくなります。
返済できない状態が一時的ではないなら任意整理を検討
以下のような状況で、継続的に返済ができそうにないのであれば、任意整理を検討する必要があります。
- 返済の目処が立たず、毎月の支払いが継続できない
- 貸金業者に相談しても返済猶予に応じてもらえない
- 複数社への借入があり、返済が生活を圧迫している
任意整理を弁護士や司法書士に依頼すると、手続き開始後は債権者への支払いが一時的に停止され、督促も止まります。
任意整理後は利息をカットし、元本だけを原則3〜5年で分割返済していく仕組みです。
ただし、任意整理をするとブラックリストに登録されるというデメリットも存在します。
短期間だけ返済が難しい場合に任意整理を選ぶと、このデメリットだけを被る結果になりかねません。
そのため、一時的に今月だけ支払いができない時はなるべくは任意整理をしないで今月を乗り切る方法を検討するべきです。
- 今月だけ返済できない時は、貸金業者に返済を待ってもらえないか話してみる
- 継続的に返済が難しいのであれば、任意整理を検討する


借金を滞納しているとどうなる?
- 借金を滞納しているとどうなりますか?
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返済をしないでいると「残金を一括で支払え」と請求されてしまう可能性があります。
また、長期間滞納しているとブラックリストに登録されます。
その後の督促も無視していると、今度は支払い督促や裁判を起こされ、給与や財産が差し押さえられる可能性もあります。
毎月の借金の支払ができないと、以下のようなことが起こります。
- ブラックリストに登録される
- 一括での返済を請求される
- 裁判や支払い督促により、給与や財産の差し押さえを受ける可能性がある
滞納でもブラックリストに登録される
借金の返済を2ヶ月~3ヵ月ほど滞納していると、ブラックリストに登録されます。
一度滞納でブラックリストに登録されると、登録が消去されるまでの期間は信用情報機関により異なります。
滞納でブラックリストに登録される期間 | |
JICC | 契約日が2019年9月30日以前は滞納の解消から1年 契約日が2019年10月1日以降は完済等の契約終了から5年 |
CIC | 完済等の契約終了から5年 |
KSC | 完済等の契約終了から5年 |

一括請求を受けたときの対処法
借金の返済を長期のあいだ滞納していると、貸金業者から一括で返済を求められます。
一括請求をされたら、以下のように対応しましょう。
- 再度分割で返済できないか交渉する
- 任意整理を検討する
交渉次第では分割返済に応じてもらえる可能性もありますが、難しい場合は専門家に相談して任意整理などの債務整理を進めるべきです。
裁判を受けたときの対処法
借金を返済せずにそのまま滞納していると、貸金業者から裁判を起こされたり、支払い督促という手続きをとられることがあります。
しかし、裁判になったとしても、裁判の中で和解が成立すれば、分割での返済が認められることもあります。
一方で、判決が下されると、財産や給与の差し押さえといった強制執行を受けるリスクが高まります。
さらに、裁判所からの通知が自宅に届くことで、家族に借金の事実が知られてしまう可能性があります。
また、給与の差し押さえが行われれば、勤務先にも借金の滞納が知られてしまうことになります。
答弁書の提出を怠ったり、裁判に欠席すると、相手側の主張がそのまま認められ、早期に判決が出されてしまいます。
そうなる前に、以下のいずれかの対応を取りましょう。
- 裁判に出席し、分割返済の交渉を行う
- 早急に弁護士または司法書士へ相談し、専門的な対応を依頼する
適切に対応すれば、差し押さえや信用情報への悪影響を防げる可能性があります。
「もうダメだ」と諦めず、冷静に対処することが非常に重要です。

任意整理後に返済できなくなったら
- 任意整理をした後に、今月だけ返済ができない場合はどうすればいいですか?
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事情があって一時的に、例えば今月だけ返済ができないような、短期間の滞納であれば返済を待ってもらえることもあります。
まずは依頼した弁護士や司法書士、または相手方の会社に話してみるべきです。
任意整理を行った後に返済ができない月があったら、すぐに以下のいずれかに連絡を入れるべきです。
- 弁護士・司法書士が継続して業務を行っている場合⇒まずはそちらに連絡
- 弁護士・司法書士が継続して業務を行っていない場合⇒直接返済中の貸金業者に事情を説明する
弁護士や司法書士が継続して業務を行っているか不明な場合は、弁護士や司法書士へ連絡すれば確認することができます。
任意整理後に一時的に支払いできない場合
一時的に事情があって今月の返済ができないけど、その後は支払っていけそうであれば返済を待ってくれることがあります。
返済を待ってもらうことができないのであれば2度目の任意整理か、個人再生や自己破産を検討するべきです。
任意整理後に支払いできない状態が一時的でない場合
- 任意整理をしましたが返済ができなくなった場合はどうですかいいですか?
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任意整理後に返済ができなくなってしまったら、2回目の任意整理をするか個人再生や自己破産を検討するべきです。
返済不能の状態が一時的ではなく継続的である場合は、次の選択肢を検討してください。
- 2回目の任意整理を検討
- 任意整理ができない、または再整理しても返済が難しい⇒個人再生や自己破産を検討
貸金業者によっては2回目の任意整理にも応じて、さらに長期の分割も認めてもらえる可能性もあります。
しかし、再度の整理に応じてもらえなかったり、分割回数が短くなることもあります。

まとめ:返済困難なときの判断基準と行動
支払いができなくなってしまうと、貸金業者に対して連絡をするのはとても勇気がいることだと思います。
しかし、どのような事情があるにせよ連絡もなく返済を滞納されたのでは、貸金業者側としては事情を考慮することもできません。
早めの相談が、最悪の事態を防ぐ方法です。
まずは一人で抱え込まず、専門家へ相談することから始めましょう。
- 一時的に支払いができなくなってしまったのであれば、その旨を話して少しの間支払いを待ってもらいその後は再度分割で支払っていく
- 返済を待ってもらえない、返済ができない状態が一時的ではないなら任意整理を検討する
- 任意整理をした後返済ができなくなってしまったら、まずは貸金業者か専門家へ返済ができない旨を連絡し、返済を待ってもらうように交渉をする
- 返済を待ってもらえない、返済をできない状態が一時的なものではない時は2度目の任意整理を検討する
- 支払いができない状態が一時的なものではない、2回目の任意整理が出来ない時は個人再生や自己破産を検討する