過払い金請求でいつから借りたかを確認する方法6つを司法書士が解説

当サイトの記事はすべて司法書士三浦永二(東京司法書士会所属、登録番号7300号)が執筆しています。

「いつからの取引だったのか覚えていない」「当時の書類も捨てたので何も残っていない」

過去に消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用していたものの、借入時期を覚えていない方は多いです。

ただ、過払い金が発生するかどうかは「借り始めた時期」が非常に重要です。

  • 過払い金の対象になる「借入時期」の目安
  • いつから借りたか確認する具体的な方法
  • よくある疑問や注意点

専門家の視点で分かりやすく解説します。

目次

過払い金請求で「いつから借りたか」が重要な理由

過払い金請求で「いつから借りたか」と聞かれるのはなぜですか?

法律で定められた金利より高い「グレーゾーン金利」時代の借入だけが、過払い金の対象となるからです。

借入の時期によって過払い金が発生している可能性があるかどうかが決まります。

まずは、自分がいつから借り始めたのかを確認することが重要です。

過払い金が発生する仕組み

かつて多くの貸金業者や消費者金融は、利息制限法の上限金利(年15〜20%)を超える「グレーゾーン金利」で貸し付けていました。

この利息制限法を超える部分が、実は本来払う必要のない「過払い金」に該当します。

過払い金請求は、払いすぎた利息を取り戻す正当な手続きです。

利息制限法の金利の上限
10万円未満の借入20%まで
10万円以上~100万円未満の借入18%まで
100万円以上の借入15%まで

過払い金の対象になる借入時期の目安

いつから借りていると過払い金が発生しやすいんですか?

2007年以前から借入をしていた場合、過払い金が発生している可能性が高いといえます。

一方、2008年以降に新規借入をした場合は、過払い金の発生はほとんどありません。

借入時期と過払い金の関係を一覧で解説

借入開始時期過払い金発生の可能性
2007年以前高い
2007年~2008年要確認
2008年以降ほぼなし

※アプラスやニッセン等、貸金業者によっては2008年~2010年頃まで過払い金が発生する利息での取引を行っていた会社もあります。

弁護士や司法書士に依頼をする場合

  • いつからの借入かが正確にわからなくても問題ありません。
  • 弁護士や司法書士が業者から「取引履歴」を取得して、借入開始時期を確認します。

【最終的に専門家に依頼をした事例】

50代 女性

自分ひとりでは調べきれずに困っていました。司法書士さんにお願いしたら、面倒な履歴の取り寄せから請求手続きまで全部サポートしてもらえました。

過払い金の仕組みについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

自分で「いつから借りたか」確認する具体的方法

いつから借りていたかを覚えていない場合はどうすればいいですか?
  • 過去の契約書や明細で、契約日が記載されていれば確認できます。
  • 口座引き落としで返済していたのであれば、通帳等で引き落としの日付を確認できます。
  • 書類がない場合は、電話でいつからの取引だったのかを確認できる可能性があります。
  • その他、取引履歴を取り寄せたり、信用情報を取得する方法もあります。

書類が残っている場合

契約書・カード・明細書で調べる

まずは、手元に残っている契約書やカード、明細書、通帳を確認しましょう。

最初の借入日や利用開始日が記載されていれば、それが「いつから借りたか」を知る手がかりになります。

【書類が出てきて請求をすることにした事例】

60代 男性

自宅を整理していたら、昔のカードや明細が見つかりました。記載された日付を見て、司法書士に依頼をすることにしました。

通帳に記載がある場合

口座引き落としで返済していた場合は、通帳で引き落とし日が確認できるので少なくともその日よりも前から取引があったことを確認できます。

ただし、通帳ではキャッシングかショッピング、どちらの取引だったかを確認することはできません。

書類が残っていない場合

書類が残っていない場合は、まずは電話で確認をして、2007年以前の取引であれば取引履歴を取り寄せる方法がおすすめです。

電話で確認

貸金業者によっては、電話でいつからの借入だったのか?当初の利息が何%だったのかを確認することができます。

ただし、電話では教えてもらえない貸金業者もあります。

貸金業者から取引履歴を取り寄せる方法

貸金業者に「取引履歴開示請求」を行えば、いつからいくら借りていたか、すべての記録が開示されます。

請求方法は電話やWeb、書面(郵送)などがあります。

どの業者も請求をすれば、問題なく取引履歴を開示してくれます。

信用情報機関で確認

信用情報機関から信用情報を取得すると、貸金業者ごとの契約日を確認することができます。

取引履歴の取得は1社ごとに行う必要があります。

しかし、信用情報では登録している貸金業者の、いつから借入をしていたのかをまとめて確認することができます。

契約終了から5年以上経っている場合は、情報が削除されていて確認できないことがあります。

取引があった会社がまとめて開示されるので、取引をしていた会社名がわからない場合に、会社名を確認することもできます。

どこからの借入だったかを確認する方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。

「いつから借りたか分からない」場合のよくある質問(Q&A)

契約書やカードが全く残っていません。それでも確認できますか?

取引履歴の開示請求や信用情報機関での本人開示によって、多くの場合は確認が可能です。

また、弁護士や司法書士に依頼をすれば、弁護士や司法書士が代行して取引履歴を取得します。

取引履歴を請求したら費用はかかりますか?

一般的には無料ですが、一部の業者や信用情報機関では数百円~千円程度の手数料が必要な場合があります。

古い借入で業者名すら覚えていません。どうしたら調べられますか?

信用情報機関(CIC、JICC)に開示請求することで、過去の契約業者名や取引開始時期を確認できます。

残っているカードの有効期限から借入時期は分かりますか?

カードの有効期限だけでは正確な借入開始時期は分かりませんが、カードを作成した時期の参考になります。

過払い金請求と「時効」の関係

  • 借金を完済してから10年
  • 過払い金請求ができると知ってから5年

上記のどちらかの期間を過ぎると、過払い金は時効で回収することができなくなります。

このため、「いつから借りたか」と同時に「いつ完済したか」も確認しておくことが重要です。

時効の基本ルール

基本的には完済してから10年です。

2017年に完済した場合
2017年完済
2027年で時効になる

時効を止める方法・注意点

時効が迫っている場合は、「催告」や「裁判」をすることで時効完成の猶予や中断ができます。

時効完成間近の場合は、専門家に相談することをおすすめします。

【1社が時効になってしまった事例】

60代 女性

1社が時効になっていましたが、まだ完済から10年以内の会社については、しっかり返金してもらえました。時効を知っておけばと後悔しました。

時効については以下の記事でも詳しく解説しています。

専門家に相談したほうが良いケース

  • 書類が全く見つからない
  • 業者が合併している
  • 借入先が複数あり整理できない
  • 時効が迫っている

このような場合は、司法書士や弁護士に相談することで、適切な方法で調査・請求手続きを進めることができる可能性があります。

専門家は、複雑なケースでも確実に過払い金を回収できるようサポートします。

まとめ

書類がある場合の確認方法
  • 契約書で確認
  • 明細で確認
  • 通帳で確認
書類が残ってない場合
  • 電話で確認
  • 取引履歴を取り寄せて確認
  • 信用情報を取り寄せて確認

過払い金請求は、「いつから借りたか」「いつ完済したか」の確認がスタート地点です。

時効を過ぎて請求できなくなったというケースもあるので、早めの情報収集と専門家の活用が有効です。

過払い金請求の第一歩として、「借入時期の確認」からはじめましょう。

書類がない場合は電話でいつからの取引だったのかを確認し、2007年以前からの取引であれば取引履歴を取得するという方法がおすすめです。

借りていた会社の名前がわからない場合は、信用情報機関から信用情報を取得することで確認できます。

弁護士や司法書士に依頼をする場合は、弁護士や司法書士が取引履歴を取り寄せます。

そのため、書類が残っていなく開始時期が曖昧な場合、無理に自分で調べる必要はありません。

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