過払い金請求の事務所選び|後悔しない選び方と5つの質問を司法書士が解説

当サイトの記事は、 司法書士 三浦永二(東京司法書士会/登録番号7300号) が執筆・監修しています。

過払い金請求は、どの事務所に依頼するかで、手元に戻る金額も解決までの安心感も変わります。

特に注意したいのは、過払い金が出ると思って相談したのに実際には出ず、任意整理を勧められるケースです。

司法書士の立場から、事務所の見極め方と、契約前に確認したい5つの質問を解説します。

この記事のポイント

依頼先
1社140万円以下なら認定司法書士にも依頼できる
費用
「着手金無料」だけではなく、差し引かれる費用の全体で比べる
担当者
依頼後に誰が対応し、誰が方針を決めるかを確認する
返済中
先に引き直し計算をして、請求するかを選べる事務所を選ぶ
金額の断言
取引履歴を見る前の「〇万円戻る」には根拠がない

参考元:過払金の返還請求-東京弁護士会

目次

弁護士と司法書士、どちらに依頼すべきか

過払い金請求は弁護士と司法書士のどちらにも依頼できますが、扱える金額と裁判での代理に違いがあります。

依頼先扱える過払い金額訴訟の代理業者が控訴した場合
弁護士制限なし簡裁・地裁・高裁引き続き代理できる
認定司法書士1社あたり140万円以下簡易裁判所のみ地裁では代理できない
(書類作成で支援)

140万円を超えるかどうかは、取引履歴を取り寄せて計算するまで分かりません。

計算の結果140万円を超えた会社については、弁護士に依頼する必要があります。

根拠

司法書士法3条1項6号・7号
認定司法書士が代理できるのは、
簡易裁判所の訴訟と、
紛争の目的の価額が140万円以下の
裁判外の和解に限られます。
最高裁平成28年6月27日判決
債務整理で認定司法書士が代理できるかは、
依頼者が受ける経済的利益ではなく、
個別の債権ごとの価額が140万円を超えるかで
判断されます。

引き直し計算については、以下の記事で詳しく解説しています。

事務所選びの3つのチェックポイント

過払い金請求を依頼する事務所を選ぶときは、次の3点を確認してください。

01

費用

差し引かれる費用を
明確に示せるか

02

回収方針

業者ごとの見通しを
示せるか

03

担当と連絡

司法書士本人が
最後まで担当するか

1. 費用|「着手金無料」より、差し引かれる費用の全体で比べる

過払い金請求では、着手金・基本報酬・成功報酬・減額報酬・実費・訴訟費用といった名目で費用が差し引かれます。

「着手金無料」と書かれていても、基本報酬や実費を含めると、手元に残る金額が思ったより少なくなることがあります。

費用は安ければよいわけではありません。

ただ、名目ごとの金額をはっきり説明できない事務所は、精算のときにトラブルになりやすいため注意が必要です。

成功報酬の%だけでなく、最終的に手元へいくら残るかで比較する見方は、以下の記事で試算しています。

2. 回収方針|業者ごとの見通しを説明できるか

過払い金請求は一見シンプルですが、取引の分断や悪意の受益者など、業者と争いになる論点が複数あります。

業者の対応も一律ではありません。

任意の交渉で利息まで上乗せする業者もあれば、元金の半分程度しか提示しない業者、判決まで争う業者もあります。

業者の対応は年々変わるため、最新の傾向を把握しているかどうかも重要です。

不慣れな事務所では、業者の提示額をそのまま受け入れて回収額が下がったり、見通しのないまま手続きが長引いたりすることがあります。

訴訟をすれば必ず増えるとは限りません

裁判で業者の主張が認められると、かえって回収額が減ることがあります。
特に注意が必要なのは、取引の分断(一連一体性の否定)と、貸付停止による時効の主張です。
どちらかが認められると、過払い金の元金そのものが時効で減ってしまいます。

当事務所では、相手の業者ごとに回収の見込みを事前にお伝えし、その条件に納得いただいた方からご依頼をお受けしています。

3. 担当者と連絡体制|依頼後も本人が関与するか

過払い金請求は、依頼から返還まで2〜6か月、訴訟になれば4か月〜1年以上かかることもあります。

その間の対応で差が出やすいのが、担当者と連絡体制です。

相談件数が多い事務所では、初回相談・委任契約・和解交渉・訴訟・入金管理といった段階ごとに担当部署が分かれていることがあります。

担当が変わるたびに事情を説明し直したり、前回伝えた内容が共有されていなかったりすると、不安や不信感につながります。

新規相談にはすぐ返信が来たのに、依頼した後は質問しても翌日以降まで返事がないなど、契約の前と後で対応が変わるケースもあります。

取引の分断や時効、訴訟をするかどうかなど、案件ごとの判断が必要な手続きです。

だからこそ、最初から経緯を把握している弁護士・司法書士本人が継続して関与しているかどうかが重要です。

当事務所の対応

当事務所でも電話で即時に対応できないことがあります。

その代わり、チャット・LINE・メールで内容を記録に残し、確認したうえで個別に返信しています。

口頭で急いで説明するよりも、記録に残る形でやり取りしたほうが、後日の行き違いを防ぎやすくなります。

返済中の場合は調査を先にする事務所を選ぶ

過払い金請求の相談では、相談者の方から次のような話を聞くことがあります。

「電話では過払い金が出そうと言われた」
「事務所に行ったら、実際には過払い金はないと言われた」
「その後、任意整理を勧められた」

残債がある場合に任意整理を検討すること自体は間違いではありません。

問題なのは、過払い金を取り戻す相談のつもりが、事故情報の登録される任意整理を選ぶことになる点です。

請求の前に、調査だけを先に依頼する

これを防ぐには、請求の前に調査だけを依頼し、結果を見てから進め方を決めることが大切です。

調査とは、取引履歴を取り寄せて引き直し計算をし、借金が残るかどうかを確かめることです。

調査の結果、借金がゼロになれば過払い金請求として進み、信用情報に事故情報は登録されません。

借金が残れば任意整理の扱いとなり、事故情報が登録されます。完済してから請求する選択肢もあります。

どちらに進むかは、調査の結果を見たうえで、依頼者本人が決めることです。

調査を先にしてくれる事務所の見分け方

事務所を選ぶときは、「調査だけを先に依頼できるか」「調査の段階で費用がかかるか」を確認してください。

電話やメールの段階で「〇〇万円戻ります」と断言する事務所は、この調査を飛ばして金額を約束していることになります。

注意したい対応

  • 計算前に「過払い金は出ます」と断言し、契約を急がせる
  • 「出なくても任意整理にすればよい」と、信用情報への影響を軽く扱う

安心できる対応

  • 先に取引履歴を取り寄せ、引き直し計算をする
  • 結果を見てから、請求に進むかを本人に決めてもらう

過払い金が見込めないときほど誠実さが出る

過払い金が出ない場合に大切なのは、なぜ出ないのかという説明と、借金が残るなら任意整理を検討する必要があるのかという説明を、分けて行うことです。

当事務所では、過払い金請求と任意整理を別の手続きとして説明しています。
借金が残る場合は、任意整理のメリットだけでなく、信用情報への影響まで理解していただいたうえで判断していただいています。

認定司法書士 三浦永二

返済中の方の調査の進め方や、請求するかどうかの判断基準は、以下の記事で解説しています。

依頼前に確認しておきたい5つの質問

契約前には、少なくとも次の5つを相談時に聞いてみてください。

答え方を見ると、その事務所の姿勢がある程度分かります。

相談時の質問安心できる答え注意したい答え
① 過払い金は出そうか 見込みを説明し、
出ない場合はその理由も伝える
銀行カードローンやショッピングだけでも
「調べれば出るかも」と来所を促す
② 金額は分かるか 正確な金額は、
取引履歴を取り寄せて計算してから
「〇万円は確実」「必ず戻る」と断言する
③ 出なかったらどうなるか 調査費用の有無と、
借金が残る場合の選択肢を説明する
「任意整理にすればよい」と、
信用情報への影響に触れない
④ 依頼後の担当と連絡 担当者・連絡方法・返信の目安・
進捗報告の時期を答えられる
「担当部署から連絡します」と、
担当者が決まっていない
⑤ 最終的な費用 報酬・実費・訴訟時の追加費用を、
名目ごとに説明する
「着手金無料」「成功報酬〇%」
だけを強調する

相談時に伝えたい情報

過払い金が出るかどうかは、借入先や取引時期によって変わります。

相談時には、分かる範囲で次の情報を伝えましょう。

  • 借入先
  • 借り始めた時期
  • 完済した時期
  • 現在も返済中か
  • キャッシングかショッピングか
  • 銀行カードローンか消費者金融か

銀行カードローンやショッピング利用だけの場合、過払い金は発生しません。

過払い金の発生条件については、以下の記事で詳しく解説しています。

大手事務所にもメリットはある|ただし対応体制は確認する

テレビCMや広告を出している大手事務所には、相談件数や対応実績が多いというメリットがあります。

貸金業者ごとの対応傾向を把握していることや、全国対応の相談窓口が整っていることは、相談しやすさにつながります。

一方で、相談件数が多い分、手続きの段階ごとに担当部署が分かれていることがあります。

大手だから悪い、小さい事務所だから安心、ということではありません。

規模にかかわらず、費用・担当者・連絡体制・回収方針を契約前に確認できるかどうかで判断してください。

確認の仕方は「依頼前に確認しておきたい5つの質問」にまとめています。

事務所選びでよくある質問Q&A

複数の事務所に同時に相談・依頼してもいいですか?

複数の事務所に相談することは問題ありません。 ただし、正式な依頼(委任契約)は1事務所に絞る必要があります。同じ過払い金請求を複数の事務所に同時依頼することはできません。

家族や勤務先に知られずに手続きできますか?

連絡方法や郵送方法に配慮すれば、家族に知られにくく進められることが多いです。また、過払い金請求だけであれば、通常、勤務先に連絡が行く手続きではありません。

依頼した事務所の対応に不安がある場合、変更できますか?

委任契約は解約でき、別の事務所に依頼し直すことも可能です。ただし、途中変更は手続きの引き継ぎで手間や時間がかかるため、最初の事務所選びで費用・担当者・連絡体制を確認しておくことが大切です。

完済から時間がたっている方は、迷っているうちに時効で権利を失うおそれがあるため、早めに相談することをおすすめします。

過払い金の時効については、以下の記事でも詳しく解説しています。

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