債務整理すると賃貸は退去?入居審査や更新への影響も司法書士が解説

当サイトの記事は、 司法書士 三浦永二(東京司法書士会/登録番号7300号) が執筆・監修しています。

「債務整理をしたら賃貸を退去させられる?」「新規で部屋は借りられる?」

結論からいうと、家賃の支払いさえ続けていれば、多くの場合は今の部屋に住み続けられます。

司法書士としての実務経験をもとに、退去・入居審査・更新・家賃滞納・保証人への影響を整理して解説します。

この記事のポイント

  • 今の部屋

    家賃の滞納がなければ、債務整理を理由に退去を求められることはない

  • 家賃を滞納中

    滞納分を対象に含めると契約が解除される。任意整理なら外せる

  • 新規の入居

    信販系の保証会社は審査に通りにくい。独立系やURなら可能性がある

  • 更新審査

    大家からの更新拒絶には正当事由が必要。保証会社の審査には影響あり

  • 保証人

    家賃を滞納しなければ、他の借金を整理しても請求は行かない

参考元:債務整理-東京司法書士会

目次

先に結論:債務整理と賃貸契約の関係

債務整理をすると賃貸している部屋はどうなりますか?

基本的には、債務整理をしても借りている部屋から退去する必要はありません。

ただし、家賃を滞納している状態で、その滞納分も債務整理の対象にすると、賃貸借契約が解除され、退去を求められる可能性が高くなります。

債務整理をすると賃貸の部屋から退去する必要がある?

「債務整理をした」という事実だけでは、賃貸借契約を解除する正当な理由にはあたりません。

家賃をきちんと払っている限り、一方的に契約を打ち切ることは難しいためです。

注意が必要なのは、家賃をすでに滞納していて、その滞納家賃を債務整理の対象に含めた場合です。

この場合は賃貸借契約が解除され、退去を求められる可能性が高くなります。

家に住み続けられる?手続き選びの「3つのステップ」

1 現在、家賃を滞納していますか?

していない退去リスクはほぼありません
している次の質問へ

2 家賃以外の借金を減らせば、家賃を払い続けられますか?

YES家賃を対象外にして、他の借金だけを任意整理します
NO次の質問へ

3 個人再生や自己破産を含めて検討する

これらの手続きはすべての借金が対象になるため、滞納家賃も含まれます。
退去を前提にした生活プランが必要になることが多く、住まいをどうするかも含めて方針を立てます。

どの手続きが適しているかは、「家賃滞納の有無・金額」「他の借金の総額」「収入・家族構成・今後の見通し」などによって変わります。

自己判断で決めず、賃貸契約への影響も含めて司法書士と一緒にシミュレーションすることが大切です。

債務整理が賃貸に影響しなかった事例

20代 女性

司法書士に相談し家賃を対象外にして任意整理を進めました。今も同じ部屋に住めており、返済額も減り精神的に楽になりました。

債務整理後の新規入居審査に与える影響とは?

債務整理をすると賃貸の引っ越しに影響はでますか?

債務整理をするとブラックリストに登録されるため、その影響で入居審査に通らない可能性があります。

賃貸の保証会社が信販系の会社だったり、提携のクレジットカードを作らされる場合は注意が必要です。

ブラックリストに登録されていると、保証会社やクレジットカードの審査に通るのは難しいので、結果として部屋を借りることができない可能性があります。

参考元:信用情報とは-指定信用情報機関のCIC

債務整理をすると、信用情報機関にその記録が登録され、いわゆるブラックリスト状態になります。

ブラックリストの影響については以下の記事でも詳しく解説しています。

賃貸に影響が出る「信販系保証会社」とは?

  • オリコフォレントインシュア
  • ジャックス
  • エポス
  • アプラス
  • クレディセゾン
  • ライフカード
  • SBIギャランティなど

上記の「信販系の保証会社」は、信用情報機関に加盟していることから、信用情報を確認できます。

債務整理をしてブラックリストに登録されていると、「信用力がなくなった」と判断し、入居審査に影響が出ることがあります。

提携クレジットカードで家賃を支払う必要がある場合

一部の物件では、入居時に提携クレジットカードを発行し、家賃をカード決済することが条件になっている場合があります。

ブラック状態ではクレジットカードの審査に通らず、結果的に物件を借りられないケースがあります。

ブラックリストでも賃貸契約をするための「3つの選択肢」

「信用情報(ブラックリスト)に傷があっても、引っ越しはできるのか?」

結論から言うと、物件の選び方と相談の仕方次第で十分に可能です。

具体的な3つの方法をご紹介します。

1. 「独立系」の家賃保証会社を選ぶ

これが最も現実的で、多くの人が利用している方法です。

家賃保証会社には「信販系(カード会社系)」と、それ以外の「独立系・協会系」があります。

狙い目の保証会社(独立系・協会系)

  • 日本賃貸保証(JID)
  • フォーシーズ
  • 日本セーフティー
  • 全保連 など

これらの会社は、信販系とは別の独自の審査基準を持っています。

過去に家賃滞納さえしていなければ、他で借金の整理をしていても審査には影響しない可能性があります。

2.審査の仕組みが違う「UR賃貸・公営住宅」を選ぶ

UR賃貸や公営住宅(市営・都営住宅など)は、民間賃貸とは審査の仕組みが異なります。

UR賃貸住宅

信用情報
参照されない
保証人
不要
審査基準
家賃の4倍の月収など

礼金・仲介手数料・更新料も不要です

公営住宅(市営・都営)

信用情報
参照されない
家賃
相場より安い
審査基準
所得制限あり

人気が高く抽選になることが多いです

定められた条件を満たしていれば、過去の借金に関係なく入居できる可能性があります。

参考:お申込み資格-UR都市機構

都営住宅の入居資格 – 東京都住宅政策本部

3. 「連帯保証人」を立てて契約する

最近は保証会社必須の物件が増えていますが、「連帯保証人」を立てられるなら、保証会社を利用せずに契約できる物件も存在します。

すべての物件で認められるわけではありませんが、まずは不動産会社に保証人で契約できる物件がないか聞いてみましょう。

不動産会社の担当者に「正直に」相談する

不動産会社は「入居を決めてもらうこと」が仕事であり、あなたの味方です。

不動産会社の担当者によっては、事情を理解したうえで適切な物件を紹介してくれる場合もあります。

ブラックリストに登録されていることを正直に話して相談をすることをおすすめします。

ブラックリストに登録される期間については以下の記事で詳しく解説しています。

債務整理後に更新審査は通る?

大家側から契約の更新を拒絶するには正当事由が必要となります。

「債務整理をした」「信用情報に事故情報が登録された」という事情だけで、直ちに更新を断られるわけではありません。

ただし、信販系の保証会社を利用している場合は、更新時の審査によって保証契約を継続できない可能性があります。

その場合は、別の保証会社への変更や連帯保証人を立てることを求められることがあります。

家賃を滞納している場合はどうなる?

滞納した家賃も借金なので、債務整理の対象にすることは可能です。

ただし対象に含めると、賃貸借契約が解除されて立ち退きを求められます。

なお、家賃を債務整理の対象にしなくても、2か月以上滞納すると立ち退きを求められる可能性が高くなります。

家賃を滞納している場合の扱い

任意整理

滞納家賃
対象から外せる
退去
回避できる可能性がある
保証人
請求が行かない可能性がある

個人再生・自己破産

滞納家賃
対象に含まれる
退去
求められる可能性が高い
保証人
請求が行く

家賃の滞納がなければ
どの手続きでも賃貸契約に影響はありません

家賃滞納がある場合の「動き方」3ステップ

1 滞納家賃と他の借金の状況を書き出す

何か月分でいくら滞納しているか、他の借金の総額と毎月の返済額を紙にまとめます。
家賃を守るために、他のどの返済を減らすべきかが見えやすくなります。

2 任意整理で家賃を対象外にできるか相談する

任意整理では、手続きの対象とする債権者を選べます。
家賃を外して他社の借金だけを整理することで、退去を避けつつ生活再建を進められます。

3 住まいをどうするかも含めて方針を立てる

個人再生・自己破産を選ぶ場合は、退去を前提にした生活プランが必要になることが多くなります。

任意整理

家賃を滞納している状態で任意整理をするとどうなりますか?

滞納している家賃を任意整理すると、立ち退きを求められることになります。

ただし、任意整理は手続きする業者を選択することができるので、滞納している家賃を任意整理の対象から外すことが可能です。

家賃以外の借金の返済額を減らすことで毎月の家計に余裕をつくり、その余裕分を滞納家賃の支払いに回すイメージです。

そのうえで、大家さんと「滞納分の分割払い」などについて早めに相談し、退去を避けながら滞納解消を目指します。

ただし、任意整理だけでは状況が改善しないほど借金が大きい場合には、

  • 滞納家賃も含めて任意整理するか
  • 個人再生・自己破産に切り替えるか

といった検討が必要になります。

体験談:任意整理で家賃の滞納も解消できた

30代 男性

家賃の支払いも難しい状況でした。借金の任意整理をした後は少し余裕もできて、家賃の支払いも滞ることがなくなり毎月の生活が安定しました。

任意整理については以下の記事で詳しく解説しています。

個人再生・自己破産

家賃を滞納している状態で個人再生や自己破産をするとどうなりますか?

基本的には賃貸物件からの退去を求められます。

個人再生と自己破産は全ての債務を対象にしなければいけないので、滞納している家賃も対象になります。

家賃を債務整理すると賃貸借契約は解約になる可能性が高く、解約になった場合は退去を求められます。

個人再生、自己破産後も賃貸に住み続ける方法

第三者に払ってもらう

手続きの開始前に、親族などの第三者に滞納分を支払ってもらう方法です。
家賃が対象から除外され、賃貸に住み続けられる可能性があります。

自分で払うのは危険

手続き開始前に自分で支払うと、偏頗弁済に該当する可能性があります。
手続き自体が認められなくなることもあるため、必ず事前に専門家へ相談してください。

自己破産後に支払う旨の交渉

自己破産をすると借金の支払いは免除されますが、自己破産後に自分から返済をすることは可能です。

大家さんへ「住み続けたいので少しずつでも滞納分を支払いたい」と申し出て、住み続けることを認めてもらえるケースもあります。

すべての大家さんが応じてくれるわけではありませんが、一度相談してみる価値はあります。

個人再生と自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。

家賃の保証人に迷惑はかかる?

家賃を滞納していなければ、カードローンや消費者金融を債務整理しても、賃貸の保証人へ請求が行くことはありません。

注意が必要なのは、家賃を滞納している場合で、債務整理の方法によって扱いが変わります。

  • 任意整理:滞納家賃を対象から外し、滞納を解消すれば保証人へ請求が行かない可能性がある
  • 個人再生・自己破産:すべての債務が対象になるため、滞納家賃も含まれ、保証人へ請求が行く

保証人への影響を避けたい場合は、家賃滞納を作らないこと、または任意整理で家賃を対象外にすることが基本です。

なお、債務整理の有無にかかわらず、家賃を滞納した時点で保証人へ請求が行く可能性が高い点には注意してください。

保証人を守るための具体的な方法、相続との関係など、保証人問題そのものの詳細は以下の記事で解説しています。

よくある質問

家賃保証会社に債務整理をした会社が含まれている場合、更新時に影響しますか?

債務整理をした会社と保証会社が同一だと、更新を拒絶される可能性があります。

債務整理をしても、家財保険や火災保険の更新に影響はありますか?

影響しません。これらの保険契約は信用情報を参照しないため、通常どおり更新可能です。

債務整理中に引っ越しをすると、司法書士や弁護士への連絡は必要ですか?

はい。住所変更を伝えないと、債権者との書類や和解通知が届かず、手続きが滞る可能性があります。早めに専門家へ連絡しましょう。

家賃をクレジットカードで支払っていた場合、カードが止まるとどうなりますか?

債務整理後はカードが使えなくなります。口座振替や銀行振込に切り替える手続きを、手続き前または受任通知送付前に済ませておきましょう。

まとめ

  • 家賃の滞納がなければ、債務整理をしても退去を求められることはありません。
    • 「信用情報に事故情報が載る」ことと「住めなくなる」ことは別です。
  • 家賃を滞納している場合は、任意整理なら対象から外せます。
    • 個人再生・自己破産ではすべての債務が対象になるため、退去を避けるには事前の対処が必要です。
  • 新しい住まいを探すときは、信用情報を参照しない選択肢を検討してください。
    • 独立系の保証会社、UR賃貸、公営住宅などがあります。

債務整理は借金問題を解決する大切な手段です。

しかし、住まいの確保に関しては家賃の滞納や保証人の有無によって影響が異なるため、慎重に対応することが求められます。

迷ったら早めに専門家に相談し、最適な手続きと住まいの確保を両立できる方法を見つけましょう。

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